一昨日、横浜の福富町方面の韓国ショップに行ってみたら、先の記事で紹介したココミョン(꼬꼬면)とナガサキ・チャンポン(나가사키짬뽕)を売っていました。
ココミョンは、袋入り(140円)の他にカップ麺(180円)もありました。
とりあえずココミョンの2種類を2つずつ買ってきました。しかしまだ食べていないので、なんとも書きようがありません。
ナガサキ・チャンポンの方は、「辛ラーメンの倍辛い」という言葉がチラついて、今回は敬遠。誰かをだまくらかして食わせてみる、という手もあったかと後で思いましたが、根が善人の私ヌルボは、その時は考えつきませんでした。
さて、前回の記事では2つの白スープ麺のパロディの「カカセキ・チャンポン」と「ココスミョン」の画像を12月18日ネットで公開して話題をよんだ人物が昌原地裁の李政烈(イ・ジョンニョル)部長判事だということを記しました。
以前から李明博大統領批判の意見を表明している、左翼陣営の側からは<概念判事>と評価され、政府側や<朝中東>と称される保守系3大紙の朝鮮日報・中央日報・東亜日報の側からは<偏向判事>とされる人物です。
[ここから②のB]これだけでも十分に近ごろ話題の人なのに、さらに新しいネタが重なってしまいました。1月18日公開以来もう約300万人もの観客を動員した話題の映画、あの韓国の国民俳優アン・ソンギ主演の「折れた矢」にも関わっているのです。
もう少し正確にいうと、「折れた矢」のモチーフとなった<石弓テロ事件>の裁判に関わっているということです。
<石弓テロ事件>については、本ブログの韓国映画関係の記事の中であらましを紹介しました。
2007年1月15日に起こったこの事件は、裁判に敗れた金明浩(キム・ミョンホ)前成均館大学数学科教授が、判決を下したソウル高裁のパク・ホンウ部長判事を自宅アパートで待ち伏せして「石弓(クロスボウ)で射た」というもの。判事は矢を腹に受けました(?)が、「全治3週間の創傷」で、生命に別条はありませんでした。
大学の前教授が、石弓という特異な武器で、判事を狙ったということで、事件当時新聞でも大きく報じられて話題になったようです。
※パク・ホンウ部長判事は、先の記事で書いた「私はコムスだ」で人気のチョン・ボンジュ前議員に対する第2審の裁判で有罪判決(名誉棄損罪)を下した判事でもある。
金元教授が敗訴とされた裁判というのは、1996年彼が成均館大学に再任用が認められなかったのは不当であるとして提訴した訴訟です。彼によると、1995年の大学入試で問題のミスを指摘して受験生全員に点を与えることを主張したため停職3ヶ月の懲戒を受け、再任用からも落とされたとのことです。
この石弓事件がなんとも面妖な事件で、金元教授は実際に矢を撃ったことがないと潔白を主張し、裁判は難航します。
その過程で、検察側の不可解な点がいくつも露わにされています。決定的な証拠のはずの「折れた矢」は行方が不明で、事件当時部長判事が着ていたYシャツには、貫通された穴ではなく右腕の後部に血痕がある等々の疑問点も指摘されています。また部長判事の傷を撮った写真は1枚もなく、Yシャツ以外の衣服に付いた血痕が部長判事のものかどうかをDNA検査で確認してくれとの要請は、控訴審でなぜか棄却されています。
結局金元教授は2007年10月懲役4年の実刑を宣告され、2011年1月に出所しました。
・・・本筋に戻って、カカセキ・チャンポンの画像を流した李政烈部長判事、彼が偶然この金元教授が提訴した再任用脱落無効訴訟の控訴審主審判事だったのです。彼が映画公開後ウェブサイトの掲示板にコメントを寄せ、「金元教授の訴えを退ける判決を下した。だが、当初は金・元教授の訴えを認める判決を下そうとしたものの、新たに問題を発見し、金元教授の訴えを退けた」と記しています。
しかし、強硬な反李明博政権の側のネチズンたちの多くは金元教授を「英雄視」し、一時は<概念判事>として支持していた李政烈部長判事を<偽善者>として非難する声も上がっています。
李政烈部長判事はというと、裁判所組織法に反していることを知りつつ、金元教授の復職訴訟の裁判所合議内容を公開し、それに対して昌原地方裁判所は31日李部長判事に対する懲戒を最高裁懲戒委員会に請求したと1月31日「ハンギョレ」は報じています。そして、「李部長判事に対する懲戒請求の知らせが伝えられるやネチズンの反応は大きく交錯した」として、「裁判所組織法を論じる前に、あなたたちは正義と国民の情緒に符合する司法権を行え」「大統領も告発しろ、実定法に違反したのに…。良心ある人を告発する君たちは何者か」というネチズンの声を紹介しています。
左翼系の「ハンギョレ」は、この記事の見出しも「保守言論の攻撃のため? イ・ジョンニョル判事 懲戒請求」とつける等、やはり反李明博政権のネチズン寄りの書き方をしています。
一方、その保守言論を代表する「朝鮮日報」は、1月26日付(日本語版)の社説「映画『折れた矢』に見る司法への警告」で「わずか1週間で100万人近い観客動員数を記録したのは、韓国社会に深く根付いている司法部への不信があるからだろう」と書きながらも、以後は金元教授や「折れた矢」については懐疑的もしくはやや否定的な記事が目につきます。
たとえば、2月2日の社説「"折れた矢"のブーメラン」(→自動翻訳)では「「折れた矢」の標的になった1人が李政烈部長判事である。彼は<ガカセキ・チャンポン>など李明博大統領をバカにするパロディで反MB陣営のスターになったが、皮肉なことに、自分と理念的志向が同じだと思われる映画と、その熱血観客たちの矢を逆に浴びているのだ」と評し、「この映画をきっかけに、司法府が反省しなければならないという主張には同意するが、この映画で見せてくれる"事実"が果たして公正かつ客観的に取捨選択されたかの判断は別問題である」と距離を置いた書き方をしています。
また、これも2月2日「憲法訴願だけで585件・・・'石弓教授(金明浩元成均館大)'は訴訟王」という記事の載せ、金元教授が特異な人物であると印象づけているように思われます。
たしかに「彼が憲法裁判所に出した585件の憲法訴願のうち終了した565件すべて却下•棄却に終わった。・・・金元教授はこれを"裁判テロ犯たち(司法部のこと)のテロ"と述べている」という記述や、「新東亜」2月号掲載のインタビュー記事中で、石弓を持ってパク・ホンウ判事を待ち伏せした理由を問われて「法を守らない判事たちがいるということを国民に知らせるため」と答え、「憲法前文に示されている国民の抵抗権である」と主張していること等をみるかぎり、相当に「思い込みの強い」人であるように私ヌルボには思えます。
石弓事件も再任用脱落の件も、そもそも事実が不明確なのではっきりしたことは言えないですが、韓国のサイトをいくつか読んでみた中で、個人的に現時点で共感したのが(なぜか)ソウル大植物発達遺伝学のサイト中の「折れた矢と変人数学者」と題した記事です。(→自動翻訳)
この記事の要点は次の通りです。
映画のストーリーだけ追うと、間違いなく司法が司法の権威をつけるために証拠を操作したものと判断することになる。
しかし、評論家陳重権(チン・ジュングォン)は、公判記録を見たところでは金元教授はバカなふるまい(꼴통 짓과)をしているにもかかわらず、映画では英雄のように描かれていることに不快感を感じ、また担当判事に不当な非難が降り注いでいることを厳しく指摘している。
誰が正しい話をしているか判断できないが、ただツイート空間では司法への不信が累積されており、この映画が発火点となって司法の人民裁判が進められていることを感じる。
ただ、チン•ジュングォンは、金元教授は一緒に過ごすには不快なほどのすごいバカだったし、学生たちにも良い指導者ではなく、再任用脱落は不当ではなかったという主張しているが、これは納得できない。当時、多くのメディアは金教授が研究者として優れた資質を持っていることを確認している。
法廷が金元教授の異議申し立てを棄却した理由は、司法の権威を事あるごとに無視して法廷でとんでもない主張を並べる元教授を見たからなのでは? 法廷を掻き回して勝手に状況を裁断してしまうバカ教授の姿が目に浮かぶ。
しかし、私は成均館大が再任用に脱落させたことが間違っていると判断する。時にはバカであってもアカデミーでは許可されなければならないという考えだ。科学者たちのバカを許してこそ彼らの創造性を最大化することができる。スティーブ•ジョブズもバカなふるまいで有名である。一緒に過ごすのが不快な仲間だったという証言も出ている。これらの芽を即刻摘み取ったりした場合は、新しいコンセプトの創造は不可能だろう。学者たちにバカを認めろ!
たしかに、私ヌルボもこの金明浩元教授という人をかなり非常識な人、「空気が読めない」人ではないか、と思います。社会的には「困ったちゃん」ですね。
あいかわらずの左右対立の構図がくり返されている中で、彼を英雄視する左派陣営、批判されるネタにこと欠かない右派陣営、どちらもこの「困ったちゃん」に振り回されている印象を受けます。
そんな「困ったちゃん」でも、優れた研究者であれば大学は受け容れるべしという意見はなるほどなーと思いました。
最後にもうひとつ、ナットクしたあるネチズンのコメント=「アン•ソンギが主人公になった時点で観客は教授側にしかないようです」。
ココミョンは、袋入り(140円)の他にカップ麺(180円)もありました。
とりあえずココミョンの2種類を2つずつ買ってきました。しかしまだ食べていないので、なんとも書きようがありません。
ナガサキ・チャンポンの方は、「辛ラーメンの倍辛い」という言葉がチラついて、今回は敬遠。誰かをだまくらかして食わせてみる、という手もあったかと後で思いましたが、根が善人の私ヌルボは、その時は考えつきませんでした。
さて、前回の記事では2つの白スープ麺のパロディの「カカセキ・チャンポン」と「ココスミョン」の画像を12月18日ネットで公開して話題をよんだ人物が昌原地裁の李政烈(イ・ジョンニョル)部長判事だということを記しました。
以前から李明博大統領批判の意見を表明している、左翼陣営の側からは<概念判事>と評価され、政府側や<朝中東>と称される保守系3大紙の朝鮮日報・中央日報・東亜日報の側からは<偏向判事>とされる人物です。
[ここから②のB]これだけでも十分に近ごろ話題の人なのに、さらに新しいネタが重なってしまいました。1月18日公開以来もう約300万人もの観客を動員した話題の映画、あの韓国の国民俳優アン・ソンギ主演の「折れた矢」にも関わっているのです。
もう少し正確にいうと、「折れた矢」のモチーフとなった<石弓テロ事件>の裁判に関わっているということです。
<石弓テロ事件>については、本ブログの韓国映画関係の記事の中であらましを紹介しました。
2007年1月15日に起こったこの事件は、裁判に敗れた金明浩(キム・ミョンホ)前成均館大学数学科教授が、判決を下したソウル高裁のパク・ホンウ部長判事を自宅アパートで待ち伏せして「石弓(クロスボウ)で射た」というもの。判事は矢を腹に受けました(?)が、「全治3週間の創傷」で、生命に別条はありませんでした。
大学の前教授が、石弓という特異な武器で、判事を狙ったということで、事件当時新聞でも大きく報じられて話題になったようです。
※パク・ホンウ部長判事は、先の記事で書いた「私はコムスだ」で人気のチョン・ボンジュ前議員に対する第2審の裁判で有罪判決(名誉棄損罪)を下した判事でもある。
金元教授が敗訴とされた裁判というのは、1996年彼が成均館大学に再任用が認められなかったのは不当であるとして提訴した訴訟です。彼によると、1995年の大学入試で問題のミスを指摘して受験生全員に点を与えることを主張したため停職3ヶ月の懲戒を受け、再任用からも落とされたとのことです。
この石弓事件がなんとも面妖な事件で、金元教授は実際に矢を撃ったことがないと潔白を主張し、裁判は難航します。
その過程で、検察側の不可解な点がいくつも露わにされています。決定的な証拠のはずの「折れた矢」は行方が不明で、事件当時部長判事が着ていたYシャツには、貫通された穴ではなく右腕の後部に血痕がある等々の疑問点も指摘されています。また部長判事の傷を撮った写真は1枚もなく、Yシャツ以外の衣服に付いた血痕が部長判事のものかどうかをDNA検査で確認してくれとの要請は、控訴審でなぜか棄却されています。
結局金元教授は2007年10月懲役4年の実刑を宣告され、2011年1月に出所しました。
・・・本筋に戻って、カカセキ・チャンポンの画像を流した李政烈部長判事、彼が偶然この金元教授が提訴した再任用脱落無効訴訟の控訴審主審判事だったのです。彼が映画公開後ウェブサイトの掲示板にコメントを寄せ、「金元教授の訴えを退ける判決を下した。だが、当初は金・元教授の訴えを認める判決を下そうとしたものの、新たに問題を発見し、金元教授の訴えを退けた」と記しています。
しかし、強硬な反李明博政権の側のネチズンたちの多くは金元教授を「英雄視」し、一時は<概念判事>として支持していた李政烈部長判事を<偽善者>として非難する声も上がっています。
李政烈部長判事はというと、裁判所組織法に反していることを知りつつ、金元教授の復職訴訟の裁判所合議内容を公開し、それに対して昌原地方裁判所は31日李部長判事に対する懲戒を最高裁懲戒委員会に請求したと1月31日「ハンギョレ」は報じています。そして、「李部長判事に対する懲戒請求の知らせが伝えられるやネチズンの反応は大きく交錯した」として、「裁判所組織法を論じる前に、あなたたちは正義と国民の情緒に符合する司法権を行え」「大統領も告発しろ、実定法に違反したのに…。良心ある人を告発する君たちは何者か」というネチズンの声を紹介しています。
左翼系の「ハンギョレ」は、この記事の見出しも「保守言論の攻撃のため? イ・ジョンニョル判事 懲戒請求」とつける等、やはり反李明博政権のネチズン寄りの書き方をしています。
一方、その保守言論を代表する「朝鮮日報」は、1月26日付(日本語版)の社説「映画『折れた矢』に見る司法への警告」で「わずか1週間で100万人近い観客動員数を記録したのは、韓国社会に深く根付いている司法部への不信があるからだろう」と書きながらも、以後は金元教授や「折れた矢」については懐疑的もしくはやや否定的な記事が目につきます。
たとえば、2月2日の社説「"折れた矢"のブーメラン」(→自動翻訳)では「「折れた矢」の標的になった1人が李政烈部長判事である。彼は<ガカセキ・チャンポン>など李明博大統領をバカにするパロディで反MB陣営のスターになったが、皮肉なことに、自分と理念的志向が同じだと思われる映画と、その熱血観客たちの矢を逆に浴びているのだ」と評し、「この映画をきっかけに、司法府が反省しなければならないという主張には同意するが、この映画で見せてくれる"事実"が果たして公正かつ客観的に取捨選択されたかの判断は別問題である」と距離を置いた書き方をしています。
また、これも2月2日「憲法訴願だけで585件・・・'石弓教授(金明浩元成均館大)'は訴訟王」という記事の載せ、金元教授が特異な人物であると印象づけているように思われます。
たしかに「彼が憲法裁判所に出した585件の憲法訴願のうち終了した565件すべて却下•棄却に終わった。・・・金元教授はこれを"裁判テロ犯たち(司法部のこと)のテロ"と述べている」という記述や、「新東亜」2月号掲載のインタビュー記事中で、石弓を持ってパク・ホンウ判事を待ち伏せした理由を問われて「法を守らない判事たちがいるということを国民に知らせるため」と答え、「憲法前文に示されている国民の抵抗権である」と主張していること等をみるかぎり、相当に「思い込みの強い」人であるように私ヌルボには思えます。
石弓事件も再任用脱落の件も、そもそも事実が不明確なのではっきりしたことは言えないですが、韓国のサイトをいくつか読んでみた中で、個人的に現時点で共感したのが(なぜか)ソウル大植物発達遺伝学のサイト中の「折れた矢と変人数学者」と題した記事です。(→自動翻訳)
この記事の要点は次の通りです。
映画のストーリーだけ追うと、間違いなく司法が司法の権威をつけるために証拠を操作したものと判断することになる。
しかし、評論家陳重権(チン・ジュングォン)は、公判記録を見たところでは金元教授はバカなふるまい(꼴통 짓과)をしているにもかかわらず、映画では英雄のように描かれていることに不快感を感じ、また担当判事に不当な非難が降り注いでいることを厳しく指摘している。
誰が正しい話をしているか判断できないが、ただツイート空間では司法への不信が累積されており、この映画が発火点となって司法の人民裁判が進められていることを感じる。
ただ、チン•ジュングォンは、金元教授は一緒に過ごすには不快なほどのすごいバカだったし、学生たちにも良い指導者ではなく、再任用脱落は不当ではなかったという主張しているが、これは納得できない。当時、多くのメディアは金教授が研究者として優れた資質を持っていることを確認している。
法廷が金元教授の異議申し立てを棄却した理由は、司法の権威を事あるごとに無視して法廷でとんでもない主張を並べる元教授を見たからなのでは? 法廷を掻き回して勝手に状況を裁断してしまうバカ教授の姿が目に浮かぶ。
しかし、私は成均館大が再任用に脱落させたことが間違っていると判断する。時にはバカであってもアカデミーでは許可されなければならないという考えだ。科学者たちのバカを許してこそ彼らの創造性を最大化することができる。スティーブ•ジョブズもバカなふるまいで有名である。一緒に過ごすのが不快な仲間だったという証言も出ている。これらの芽を即刻摘み取ったりした場合は、新しいコンセプトの創造は不可能だろう。学者たちにバカを認めろ!
たしかに、私ヌルボもこの金明浩元教授という人をかなり非常識な人、「空気が読めない」人ではないか、と思います。社会的には「困ったちゃん」ですね。
あいかわらずの左右対立の構図がくり返されている中で、彼を英雄視する左派陣営、批判されるネタにこと欠かない右派陣営、どちらもこの「困ったちゃん」に振り回されている印象を受けます。
そんな「困ったちゃん」でも、優れた研究者であれば大学は受け容れるべしという意見はなるほどなーと思いました。
最後にもうひとつ、ナットクしたあるネチズンのコメント=「アン•ソンギが主人公になった時点で観客は教授側にしかないようです」。