ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国では、チャンポンがホット!(3) 映画「折れた矢」と石弓事件のこと等

2012-02-11 23:56:23 | 韓国の時事関係(政治・経済・社会等)
 一昨日、横浜の福富町方面の韓国ショップに行ってみたら、先の記事で紹介したココミョン(꼬꼬면)とナガサキ・チャンポン(나가사키짬뽕)を売っていました。
 ココミョンは、袋入り(140円)の他にカップ麺(180円)もありました。
 とりあえずココミョンの2種類を2つずつ買ってきました。しかしまだ食べていないので、なんとも書きようがありません。
 ナガサキ・チャンポンの方は、「辛ラーメンの倍辛い」という言葉がチラついて、今回は敬遠。誰かをだまくらかして食わせてみる、という手もあったかと後で思いましたが、根が善人の私ヌルボは、その時は考えつきませんでした。

 さて、前回の記事では2つの白スープ麺のパロディの「カカセキ・チャンポン」と「ココスミョン」の画像を12月18日ネットで公開して話題をよんだ人物が昌原地裁の李政烈(イ・ジョンニョル)部長判事だということを記しました。
 以前から李明博大統領批判の意見を表明している、左翼陣営の側からは<概念判事>と評価され、政府側や<朝中東>と称される保守系3大紙の朝鮮日報・中央日報・東亜日報の側からは<偏向判事>とされる人物です。

 [ここから②のB]これだけでも十分に近ごろ話題の人なのに、さらに新しいネタが重なってしまいました。1月18日公開以来もう約300万人もの観客を動員した話題の映画、あの韓国の国民俳優アン・ソンギ主演の折れた矢にも関わっているのです。
 もう少し正確にいうと、「折れた矢」のモチーフとなった石弓テロ事件の裁判に関わっているということです。

 <石弓テロ事件>については、本ブログの韓国映画関係の記事の中であらましを紹介しました。
 2007年1月15日に起こったこの事件は、裁判に敗れた金明浩(キム・ミョンホ)前成均館大学数学科教授が、判決を下したソウル高裁のパク・ホンウ部長判事を自宅アパートで待ち伏せして「石弓(クロスボウ)で射た」というもの。判事は矢を腹に受けました(?)が、「全治3週間の創傷」で、生命に別条はありませんでした。
 大学の前教授が、石弓という特異な武器で、判事を狙ったということで、事件当時新聞でも大きく報じられて話題になったようです。
※パク・ホンウ部長判事は、先の記事で書いた「私はコムスだ」で人気のチョン・ボンジュ前議員に対する第2審の裁判で有罪判決(名誉棄損罪)を下した判事でもある。

 金元教授が敗訴とされた裁判というのは、1996年彼が成均館大学に再任用が認められなかったのは不当であるとして提訴した訴訟です。彼によると、1995年の大学入試で問題のミスを指摘して受験生全員に点を与えることを主張したため停職3ヶ月の懲戒を受け、再任用からも落とされたとのことです。

 この石弓事件がなんとも面妖な事件で、金元教授は実際に矢を撃ったことがないと潔白を主張し、裁判は難航します。
 その過程で、検察側の不可解な点がいくつも露わにされています。決定的な証拠のはずの「折れた矢」は行方が不明で、事件当時部長判事が着ていたYシャツには、貫通された穴ではなく右腕の後部に血痕がある等々の疑問点も指摘されています。また部長判事の傷を撮った写真は1枚もなく、Yシャツ以外の衣服に付いた血痕が部長判事のものかどうかをDNA検査で確認してくれとの要請は、控訴審でなぜか棄却されています。
 結局金元教授は2007年10月懲役4年の実刑を宣告され、2011年1月に出所しました。

 ・・・本筋に戻って、カカセキ・チャンポンの画像を流した李政烈部長判事、彼が偶然この金元教授が提訴した再任用脱落無効訴訟の控訴審主審判事だったのです。彼が映画公開後ウェブサイトの掲示板にコメントを寄せ、「金元教授の訴えを退ける判決を下した。だが、当初は金・元教授の訴えを認める判決を下そうとしたものの、新たに問題を発見し、金元教授の訴えを退けた」と記しています。

 しかし、強硬な反李明博政権の側のネチズンたちの多くは金元教授を「英雄視」し、一時は<概念判事>として支持していた李政烈部長判事を<偽善者>として非難する声も上がっています。

 李政烈部長判事はというと、裁判所組織法に反していることを知りつつ、金元教授の復職訴訟の裁判所合議内容を公開し、それに対して昌原地方裁判所は31日李部長判事に対する懲戒を最高裁懲戒委員会に請求したと1月31日「ハンギョレ」は報じています。そして、「李部長判事に対する懲戒請求の知らせが伝えられるやネチズンの反応は大きく交錯した」として、「裁判所組織法を論じる前に、あなたたちは正義と国民の情緒に符合する司法権を行え」「大統領も告発しろ、実定法に違反したのに…。良心ある人を告発する君たちは何者か」というネチズンの声を紹介しています。
 左翼系の「ハンギョレ」は、この記事の見出しも保守言論の攻撃のため? イ・ジョンニョル判事 懲戒請求」とつける等、やはり反李明博政権のネチズン寄りの書き方をしています。

 一方、その保守言論を代表する「朝鮮日報」は、1月26日付(日本語版)の社説「映画『折れた矢』に見る司法への警告」「わずか1週間で100万人近い観客動員数を記録したのは、韓国社会に深く根付いている司法部への不信があるからだろう」と書きながらも、以後は金元教授や「折れた矢」については懐疑的もしくはやや否定的な記事が目につきます。
 たとえば、2月2日の社説「"折れた矢"のブーメラン」(→自動翻訳)では「「折れた矢」の標的になった1人が李政烈部長判事である。彼は<ガカセキ・チャンポン>など李明博大統領をバカにするパロディで反MB陣営のスターになったが、皮肉なことに、自分と理念的志向が同じだと思われる映画と、その熱血観客たちの矢を逆に浴びているのだ」と評し、「この映画をきっかけに、司法府が反省しなければならないという主張には同意するが、この映画で見せてくれる"事実"が果たして公正かつ客観的に取捨選択されたかの判断は別問題である」と距離を置いた書き方をしています。
 また、これも2月2日「憲法訴願だけで585件・・・'石弓教授(金明浩元成均館大)'は訴訟王」という記事の載せ、金元教授が特異な人物であると印象づけているように思われます。
 たしかに「彼が憲法裁判所に出した585件の憲法訴願のうち終了した565件すべて却下•棄却に終わった。・・・金元教授はこれを"裁判テロ犯たち(司法部のこと)のテロ"と述べている」という記述や、「新東亜」2月号掲載のインタビュー記事中で、石弓を持ってパク・ホンウ判事を待ち伏せした理由を問われて「法を守らない判事たちがいるということを国民に知らせるため」と答え、「憲法前文に示されている国民の抵抗権である」と主張していること等をみるかぎり、相当に「思い込みの強い」人であるように私ヌルボには思えます。

 石弓事件も再任用脱落の件も、そもそも事実が不明確なのではっきりしたことは言えないですが、韓国のサイトをいくつか読んでみた中で、個人的に現時点で共感したのが(なぜか)ソウル大植物発達遺伝学のサイト中の「折れた矢と変人数学者」と題した記事です。(→自動翻訳)
 この記事の要点は次の通りです。

 映画のストーリーだけ追うと、間違いなく司法が司法の権威をつけるために証拠を操作したものと判断することになる。
 しかし、評論家陳重権(チン・ジュングォン)は、公判記録を見たところでは金元教授はバカなふるまい(꼴통 짓과)をしているにもかかわらず、映画では英雄のように描かれていることに不快感を感じ、また担当判事に不当な非難が降り注いでいることを厳しく指摘している。
 誰が正しい話をしているか判断できないが、ただツイート空間では司法への不信が累積されており、この映画が発火点となって司法の人民裁判が進められていることを感じる。
 ただ、チン•ジュングォンは、金元教授は一緒に過ごすには不快なほどのすごいバカだったし、学生たちにも良い指導者ではなく、再任用脱落は不当ではなかったという主張しているが、これは納得できない。当時、多くのメディアは金教授が研究者として優れた資質を持っていることを確認している。
 法廷が金元教授の異議申し立てを棄却した理由は、司法の権威を事あるごとに無視して法廷でとんでもない主張を並べる元教授を見たからなのでは? 法廷を掻き回して勝手に状況を裁断してしまうバカ教授の姿が目に浮かぶ。
 しかし、私は成均館大が再任用に脱落させたことが間違っていると判断する。時にはバカであってもアカデミーでは許可されなければならないという考えだ。科学者たちのバカを許してこそ彼らの創造性を最大化することができる。スティーブ•ジョブズもバカなふるまいで有名である。一緒に過ごすのが不快な仲間だったという証言も出ている。これらの芽を即刻摘み取ったりした場合は、新しいコンセプトの創造は不可能だろう。学者たちにバカを認めろ!


 たしかに、私ヌルボもこの金明浩元教授という人をかなり非常識な人、「空気が読めない」人ではないか、と思います。社会的には「困ったちゃん」ですね。
 あいかわらずの左右対立の構図がくり返されている中で、彼を英雄視する左派陣営、批判されるネタにこと欠かない右派陣営、どちらもこの「困ったちゃん」に振り回されている印象を受けます。
 そんな「困ったちゃん」でも、優れた研究者であれば大学は受け容れるべしという意見はなるほどなーと思いました。

 最後にもうひとつ、ナットクしたあるネチズンのコメント=「アン•ソンギが主人公になった時点で観客は教授側にしかないようです」
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[2月3日(金)~5日(日)]

2012-02-07 23:51:44 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 「J・エドガー」は、いろんなことを語っている深みのある映画だと思いました。観た人たちの評点は必ずしも高くないようですが、イーストウッド監督はやはり私ヌルボの期待を裏切ることとはありません。

 先週書こうと思いつつうっかりしていたのが、ユーロスペースで4日から始まっている<死刑映画週間>のこと。韓国映画は「私たちの幸せな時間」だけですが、内容的に多くの人に観てほしい映画がそろっています。中でも「休暇」は日本の死刑の実態、刑務官の仕事を具体的に、それも静かな語り口で描いた作品で特にオススメです。

 4日に「キネマ旬報 2月下旬決算特別号」が出ました。<2011年キネマ旬報ベスト・テン結果>が載っています。そして<2012年劇場公開予定作品ラインナップ>も。後者には韓国映画が26作品もリストアップされています。この号ばかりはしかたない、大枚はたいて買いましたがな。(特別定価1800円) その分は吉野家の牛鍋丼(280円)で埋め合わせだ~。この「キネ旬」については別記事にしますね。

         ★★★ Daumの人気順位(2月7日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①折れた矢(韓国)  9.6(2408)
②オペラ座の怪人 25周年特別公演  9.5(91)
③猫おどり(韓国)  9.3(71)
④古い人力車(韓国)  9.1(59)
⑤パーフェクト・ゲーム(韓国)  9.0(1082)
⑥ミンク・コート(韓国)  9.0(28)
⑦ペースメーカー(韓国)  8.9(711)
⑧コアラ・キッド:英雄の誕生(韓&米)  8.9(65)
⑨ダンシング・クィーン(韓国)  8.9(1067)
⑩フレンズ もののけ島のナキ(日本)  8.9(103)

 若干順位変動はありましたが、10本の顔ぶれは変わりません。この3週間、こんな感じ。

【専門家による順位】

①自転車に乗った少年  8.8(6)
②古い人力車(韓国)  8.0(1)
③奇跡(日本)  7.8(6)
④折れた矢(韓国)  7.7(7)
⑤ミッション:インポッシブル  7.6(5)
      ゴースト・プロコトル
⑥犯罪との戦争:悪いやつらの全盛時代(韓国)  7.3(6)
⑦ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女(2009)  7.3(3)
⑧豚の王(韓国)  7.0(5)
⑧ドラゴン・タトゥーの女  7.0(5)
⑩神々と男たち  7.0(4)

 ⑥だけが新登場。後述します。

   ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[2月3日(金)~5日(日)] ★★★

         チェ・ミンシク、ハ・ジョンウ主演の「犯罪との戦争」が1位。

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(16)・・犯罪との戦争・・・・・・・・・・・・・・・・2/02 ・・・・・・・・・・・・・918,560・・・・・・・・・・1,094,168・・・・・・・・・8,580・・・・・・・701
         悪いやつらの全盛時代(韓国)
2(1)・・折れた矢(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・1/18 ・・・・・・・・・・・・・406,982・・・・・・・・・・2,642,667・・・・・・・・19,965・・・・・・・454
3(2)・・ダンシング・クィーン(韓国)・・・・・・・1/18 ・・・・・・・・・・・・・322,976・・・・・・・・・・2,734,968・・・・・・・・20,583・・・・・・・436
4(3)・・チョンバギ: ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1/26 ・・・・・・・・・・・・・220,329 ・・・・・・・・・・・662,538・・・・・・・・・6,147・・・・・・・320
         韓半島の恐竜3D(韓国)
5(19)・・パパ(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/01 ・・・・・・・・・・・・・214,063 ・・・・・・・・・・・292,412・・・・・・・・・1,968・・・・・・・414
6(新)・・ハッピー・フィート 2 ・・・・・・・・・・・・・2/02 ・・・・・・・・・・・・・・99,666 ・・・・・・・・・・・109,402・・・・・・・・・・・912・・・・・・・312
         踊るペンギン レスキュー隊
7(4)・・長靴をはいたネコ ・・・・・・・・・・・・・・・1/11 ・・・・・・・・・・・・・・83,219 ・・・・・・・・・・2,005,885 ・・・・・・・17,038・・・・・・・247
8(5)・・センター・オブ・ジ・アース2・・・・・・・・1/19 ・・・・・・・・・・・・・・36,079・・・・・・・・・・・1,119,566 ・・・・・・・・9,573・・・・・・・174
         神秘の島
9(新)・・ケイト・レディは負け犬じゃない・・・・2/02 ・・・・・・・・・・・・・・30,348 ・・・・・・・・・・・・39,869・・・・・・・・・・・308・・・・・・・165
10(6)・・ミッション・インポッシブル ・・・・・・・12/15 ・・・・・・・・・・・・・・17,472 ・・・・・・・・・7,538,585・・・・・・・・57,522・・・・・・・・89
         ゴースト・プロコトル

       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 新登場は4作品です。
 1位、「犯罪との戦争」が圧倒的な数字でトップに。始まりは1982年の釜山。解雇の危機に陥った不正税務官(チェ・ミンシク)はヒロポンの日本への密輸等を手がけ、安企部とのコネを利用したりして暴力団のボスに成長してゆく。さらに一儲けしようと釜山の最大組織の若頭(ハ・ジョンウ)に近づき、信頼を得ることに成功するが・・・。90年盧泰愚大統領が「犯罪との戦争」を宣布されるまでの物話。チェ・ミンシクによれば「明るい作品」なのだそうですが、そりゃ「悪魔を見た」を基準にすればほとんどそうでしょ。さて、このチェ・ミンシクの役名が崔益鉉(チェ・イクヒョン)。抗日義兵闘争に関わった韓国では有名な愛国者と同名で、「なぜヤクザに同じ名をつけたのか?」との抗議が相次いでいるとのニュースが報じられています。もしかして、歴史や家系についての考え方が(人によって)少し変わってきたのかな? 原題は「범죄와의 전쟁:나쁜놈들 전성시대」。

        
 【「犯罪との戦争」のポスター。いやー、悪人ヅラばかりですね。上方の字は「カッコよく生きなくっちゃならないじゃないか?」。】

 5位は「パパ」。スター歌手を連れて逃亡した後輩マネージャーを追ってアメリカに渡ったマネージャー(パク・ヨンウ)、不法滞留を免れるためには市民権が必要。一方、姉妹が離れ離れにならないために法的保護者が必要な長女(コ・アラ)をはじめとする6人姉妹。お互いのために予想外の契約結婚で、彼は偽家族で6人の子持ちに・・・。その子どもたちが皮膚の色も言葉もさまざまで・・・、というアメリカが舞台のコメディです。
 6位「ハッピー・フィート 2」はオーストラリアのアニメ。日本では昨年11月公開されました。
 9位、アリソン・ピアソンの小説「ケイト・レディは負け犬じゃない」の映画化。原題は「I DON'T KNOW HOW SHE DOES IT」ですが、韓国題は「하이힐을 신고 달리는 여자(ハイヒールをはいた女)」です。ロンドンの金融会社役員をしている2児の母ケイト・レディが家事・育児と仕事の両立に奮闘するコメディ、だそうです。日本公開未定。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・自転車に乗った少年 ・・・・・・・・・・・1/19・・・・・・・・・・・・・・・・2,334・・・・・・・・・・・・・17,397・・・・・・・・・・138・・・・・・・・・19
2(新)・・Welcome to the Rileys・・・・・・・・2/02・・・・・・・・・・・・・・・・1,850 ・・・・・・・・・・・・・・2,523・・・・・・・・・・・19・・・・・・・・・15
3(3)・・神々と男たち・・・・・・・・・・・・・・・・・・1/19・・・・・・・・・・・・・・・・1,149・・・・・・・・・・・・・・・6,005・・・・・・・・・・・46・・・・・・・・・・5
4(2)・・奇跡(日本)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12/22 ・・・・・・・・・・・・・・・・・915・・・・・・・・・・・・・・37,406・・・・・・・・・・289・・・・・・・・・10
5(6)・・チコとリタ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1/05 ・・・・・・・・・・・・・・・・・795・・・・・・・・・・・・・・12,065・・・・・・・・・・・96・・・・・・・・・・6
                                      
 初登場の2位「Welcome to the Rileys」は、2010年公開のアメリカ映画。韓国題は「웰컴 투 마이 하트(ウェルカム・トゥ・マイ・ハート)」です。15歳だった娘を事故で亡くしてから妻と疎遠になったインディアナポリスに住む男。ニューオーリンズで娘にそっくりな10代の少女と出会うが、彼女は売春で生計を立てている。そんな彼女を救おうと面倒をみるようになり、やがて妻にも紹介するが・・・。うーむ、いかにも<多様性映画>らしい設定。
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韓国では、チャンポンがホット!(2)

2012-02-06 22:13:08 | 韓国の時事関係(政治・経済・社会等)
うーむ、政治的なネタは資料を読み解くのも難しいし、それについてどう書くかも難しい・・・ということで、3日も間が空いてしまいました。

 はい。今回もチャンポンの話、といってもなぜか政治・社会ネタなんですよ。

 とりあえずは、次の写真を見てみてください。

   
      【「間違い探し」のような2枚の画像ですが・・・。右がオリジナルのナガサキ・チャンポン。】

 前の記事にも載せた韓国のナガサキ・チャンポンの袋が2つ、と思ったら、違っているところがいくつも・・・。

 商品名からして나가사끼짬뽕(ナガサキ・チャンポン)ではなく가카새끼짬뽕(カカセキ・チャンポン)で、右上のメーカー名は「BBK명박(明博)」
 つまり、この画像は李明博大統領を風刺したパロディ画像なんですね。「가카새끼(カカセキ)」の「カカ」「(大統領)閣下」「セキ(새끼)」は韓国語の悪口で多用される「野郎」というような意味の言葉です。チャンポンの写真の上の字「풍부한 꼼수와 비리로 우려낸 역겨운 매국의 맛」「豊富なセコさと不正で絞り出したむかつく売国の味」
 またBBKというのは2007年の大統領選挙当時、李明博候補が関与したとの疑惑があった株価操作事件です。※詳細は→コチラ
 さらに左上隅の絵、店ののれんには「재테크(財テク)」、その下には「도덕적으로 완벽한 맛(道徳的に完璧な味)」と記されています。
 隅々まで、まあ手の込んだものです。ところが、同様のパロディ画像がココミョンの方にもあるのです。

   
      【こちらも右が本来のココミョンです。左、ずいぶんテマヒマかけて作ってますねー。】

 コチラのデタラメ品名は꼼수면(コムスミョン)「꼼수(コムス)」は「セコい」という意味と、李明博政府批判の立場の人気インターネット放送나는 꼼수다(ナヌン コムスダ.私はセコい)」(略称ナ・コムス)に基づいています。品名の上の「시커먼 땟국물」「真っ黒な垢」。李大統領の顔と一緒に「가카가 쳐말아먹은 비릿한 바로 그맛!(閣下が混ぜて食べる生臭いまさにその味!)」。さらに袋の左上には「새로운 역겨움 MB(新しいムカツキ明博)」

 いやあ、なんとも凝っているものです、ハハハのハ。

 さて、問題はこの画像を12月18日SNSにupした人物。昌原(チャンウォン)地裁の李政烈(イ・ジョンニョル)部長判事という話題の人です。

 彼について説明する前に、「ナヌン コムスダ」について、かなり長い脇道に入ります。
 この反李政権のラジオ放送で人気の「四人衆」が、昨年のベストセラー本キム・オジュン「黙って政治(닥치고정치)やキム・ヨンミン「「私はコムスだ」裏話」の著者2人と、週刊誌「時事IN」のチュ・ジンウ記者、鄭鳳株(チョン・ポンジュ)民主党前議員です。

 そして上記2007年のBBK事件にあたり李明博陣営を厳しく追及したのがその鄭鳳株前議員だったのです。しかし彼は虚偽事実の流布と名誉毀損の罪で大法院(最高裁)で有罪判決を受け懲役1年が確定し、昨年暮れ12月26日拘束収監されてしまいました。
 彼は、昨年末韓国環境財団選定の第7回「世の中を明るくした人たち」33人の中に選ばれたとのニュースも流されました。寄付、献身、挑戦、情熱、感動、笑いで韓国社会を明るくしてくれた個人や団体を表彰するというものとのことです。(→関連記事)
 つまり、そんな左翼陣営に人気のある前議員を有罪とし、収監してしまったことで、当然それを非難する声は高まります。
 たとえば、鄭鳳株前議員に対して有罪判決を下した大法院のイ・サンフン判事に対して、ネチズンたちのツイッター等による「集団攻撃」があったようで、12月24日付「朝鮮日報」では「懲役刑言い渡したイ・サンフン裁判官に腹いせ」という見出しでそれを報じています。いかにも保守紙の代表らしい記事内容です。
 また、鄭鳳株前議員の釈放を求める運動が展開されはじめた中で、1月21日、「胸が張り裂けるほど鄭鳳株の釈放を願う」と胸に書いたビキニ姿の女性の写真が「『出てこい! 鄭鳳株』国民運動本部」のHPに掲載したことから、運動本部は同様の写真の投稿を呼びかけました。
 これがビキニ・デモですが、これに対しては、これまで「ナ・コムス」を支持してきた作家孔枝泳さんは批判しています。また過去セクハラ問題を追及してきた左翼傾向の女性団体の多くは沈黙しています。一方、「朝鮮日報」はすかさずこの亀裂を突いた(?)記事を載せています。

※「나는 꼼수다」の番組名は大人気の歌番組나는 가수다(ナヌン カスダ.私は歌手だ)」(略称ナ・カス)から。なお、昨年12月23日からMBCでは「웃고 또 웃고(笑ってまた笑って)」という番組中で「나는 하수다(ナヌン ハスダ.私は下手だ)」という「ナ・コムス」のパロディが好調なスタートを切っています。この「ナヌン ハスダ」、「オーマイニュース」の記事では「意外に高クォリティ」と評価してます。(朴槿惠や安哲秀も登場したりして・・・。(もちろんニセ者。)→YouTube)

 「ナ・コムス」と鄭鳳株前議員について長々と記しました。
 ここで本筋の「カカセキ・チャンポン」と「コムスミョン」の産みの親、李政烈(イ・ジョンニョル)部長判事の話に戻ります。

 12月22日の「オーマイニュース」のインタビュー記事等によると、2004年に良心的兵役拒否に対して無罪判決を下して注目されました。そして最近ではSNSやラジオ出演を通じて韓米FTA強行処理に対する反対を表明する等、李明博政権批判を積極的に展開している<概念判事3人衆(개념판사 3인방)>の1人です。
 彼らに対して、「朝鮮日報」と並ぶ保守紙の「東亜日報」は12月9日付(日本版)「裁判所に「政治判事」が溢れているようでは」と題した社説で「政治的中立条項に違反している」と批判しています。
※この社説で、かつて日本で注目された青法協(青年法律家協会)を引き合いに出して、彼ら進歩的な裁判官たちが所属するウリ法研究会への対処を大法院長に求めている点に注目。

 ・・・つまり、李明博政権に対する、左右の政治的対立の中で、とくに左翼色の強いネット社会で法曹界にある判事までが明確な政府批判の意見表明するに至り論議をよんでいる・・・そんな中で、家中の人物が風刺の笑いを込めた作品としてこれら2つの人気の白スープ麺のパロディが登場したということですね。

 「ナヌン コムスダ」が笑いの要素が武器になっているように、この2つのパロディ画像も笑えるという点で相当に注目されたようです。
 左派陣営の代表メディアの1つオーマイニュースの12月23日の記事「ココミョンとナガサキ・チャンポン、ほんとにすみません」はとても楽しそうに書かれています。「今や麺(ミョン)の全盛時代です」と添書きして、ネチズンの「鄭鳳株は赦免(サミョン)! 民主党は睡眠(スミョン)(..)ZZZ 、ハンナラ党は仮眠(×.×)、国民は不眠(プルミョン)(T.T)」等々のおもしろいカキコミを紹介したりして・・・。

 ・・・ところが、コトはまだ現在進行中。
 今回の記事は[②のA]止まりで、さらに[②のB]へとつづくのです。ふー。
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韓国では、チャンポンがホット!(1)

2012-02-02 22:08:47 | 韓国料理・食べ物飲み物関係
 最初におことわりしておきますが、この記事のジャンルは①食べ物 についてだけではなく②韓国の政治・社会 にまたがっています。
 また、それぞれ2つのネタが含まれていますが、①と②の2回に分けて書くことにします。

 えーと私ヌルボ、麺類の好みは名古屋生まれだもんで、まずはきしめん。以下は美味しい蕎麦、美味しいうどん、美味しいラーメンと続きます。

 チャンポンは、とくに嫌いというわけではないのですが、今までの人生でまだ10回も食べていないと思います。リンガーハットで食べたものも含めてです。一応どんなものだか知っている程度。

 さて、[ここから①のA]このチャンポンが韓国にもあるということは以前から知っていました。
 韓国の中華料理屋、よくある店名が○○楼(○○루)で、およそどんな所にも出前することで有名(?)です。野遊会をやっている河原とか、一般人立入禁止の漢江の中洲とか・・・。
※映画「彼とわたしの漂流日記」参照。中洲で原始的に暮らす男を双眼鏡で発見した女性が10万ウォンでチャジャンミョンの出前を頼むのです。

 その出前の一番ポピュラーな品目はチャジャンミョン(ジャージャー麺)なのですが、チャンポンも韓国の中華料理店ではごくふつうのメニュー。

 ・・・ということだけアタマで知っていて、数年前韓国に行った時に仲間と中華料理店に入り、チャンポンを注文してみました。
すると出てきたのがこれ!

     
              【この凶悪な色を見よや!】

 コチュジャンはすごくキライというのではないが、二者択一だと避ける側。しかし来るものは拒まないのが信条(?)だから、食べてみました。やっぱり見かけ通り辛(から)い。すごく辛くて辛(つら)い。8月の猛暑も相俟って、流れる滝は汗のごとく、の反対。梅干しだって顔に汗をかく身だから・・・。
 その上、分量が多い! 大体、韓国の食堂ではどのメニューも分量が多すぎる!!(←やり場のない怒りがフツフツとよみがえってきました。)
 結局、必死の努力の末完食しましたが・・・。(えらいぞ、自分!)

 ・・・ということで、韓国のチャンポンの何たるやをご存知ない皆さんは、韓国に出かけるにあたってはくれぐれもご用心を・・・。

 さて、[ここから①のB]ところがその韓国で、昨年7월22일に「ナガサキ・チャンポン(나가사끼 짬뽕)」というインスタント麺が発売されたのです。
※韓国のラーメン類は、基本的にみんなインスタント麺。

         
       【袋の図柄はおとなしそうですが、だまされてはいけません!(笑)】

 このチャンポンが画期的な点は、スープが赤くないこと。
 すでに日本でも販売されていますが、食べた人の感想によれば、赤くなくても辛いのだそうです。
 <美味しい韓国!!>というブログのキムチ王子さんは「夜中に不意打ちをされた感じです(笑) 辛ラーメンより倍くらい辛いと思います」と記しています。また→コチラのブログの♪ LOVE☆コリアさんは「『超激辛』で、誇張ではない、並大抵ではない激辛だったので、正直びっくりしました(苦笑)」とのこと。ご両人とも(笑)で辛さをごまかしていらっしゃいます。)

※「赤くなくても辛い」韓国のカップラーメンには、ヌルボも過去2回だまされました。あ、製造元はだます意図がないことはわかってます。蛇足ですが・・・。

 この「ナガサキ・チャンポン」、発売直後から人気で、12月1日のニュースによると、Eマート11月期の売上げで、長くトップを維持してきた日本でもおなじみの辛ラーメンにかわって1位を記録したとか。

 実は、「ナガサキ・チャンポン」に先がけて昨年夏以来ヒットしている白スープ麺が8月8日に発売されたココミョン(꼬꼬면.ココ麺)です。<꼬꼬(ココ)>とはニワトリの俗称。日本語と同じでわかりやすいですね。

       
    【品名の上に「담백하고 칼칼한(淡白でヒリヒリ辛い)」と記されています。】

 ネットで収集した情報によると、「KBS2テレビのバラエテイ「ハッピー・サンデー」の男の資格コーナーで、人気コメディアンのイ・ギョンギュが作ったラーメンを商品化したもの」で、「鶏のスープをベースにして、チキンの味と香りがたっぷり」なのだそうです。TV番組がらみで発売前から注目され、年末にはサムソン経済研究所<今年の10大ヒット>の1位になるほどの大ヒット商品になりました。
 こちらも辛いのですが、先の<美味しい韓国!!>の別記事によると「ちょうどいい辛さ」なんだそうです。<サランヘヨ韓国>というブログ記事にも「さっぱりした辛さなので、辛いのが苦手な私でもおいしくいただけました」とありました。

 このココミョンがまずブームになって、その人気が一段落した時に、同じ白スープ麺でココミョンの少し前に発売されたナガサキ・チャンポンに人々の目が向けられるようになったようです。
 そして10月半ばの時点で、「中央日報」は「白いスープの反乱」と題した記事でこの2つの白スープ麺の人気を報じています。この記事によると、その人気の秘訣は「さっぱりした味」なのだそうです。

 前述したように、ナガサキ・チャンポンが辛ラーメンからトップの座を奪ったことは韓国ラーメン史で特筆されることかもしれません。ただ、それが一時的なものか、長期的にみて(コチュジャン文化の変容のような)大きな変化につながるものかどうかは、もう少し経たないとわかりませんね。

 ・・・と、自分ではまだ食べてないくせに昨夏からの白スープ麺ブームについて記しました。近いうちにココミョンの方は1度食べてみようと思います。

 続きは、ナガサキ・チャンポンじゃなくて「カカセキ・チャンポン」についてです。

 あ、この記事のタイトルの「チャンポンがホット!」の「ホット!」というのは、「熱い!」と「辛い!」をかけたつもりなんですよ・・・。
コメント (4)
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