愛欲と情痴
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私が変態性欲者であるかどうかは私の今までの事を調べてもらえば良く判ると思います。今までどんな男にも石田と同じような事をした訳ではありません。
今までは自分を忘れて男と関係したことはなく好きな男だと思い金をもらわないで遊んだこともずいぶんありました。それでも自分を忘れず時と場合と考えて簡単に別れておりました。
例えば中川朝次郎さんにしても寝た時は良いが顔や姿の悪いアラが良く判っており、同人と関係して自分が眠っている間に帰られ、今頃は奥様を抱いているなと想像しても平気でした。
大阪で淫売している時に知り合った八木幸次郎という人は様子も良いし表面金離れもよかったし、かなり惚れ合っていましたが金もないのに取りつくろって見栄をはる様子が目に付き、別れるのを何とも思いませんでした。
今まで私はそれほどに理性が勝って男にビックリされた事もありました。
ところが石田だけは一点の非の打ち所がなく、強いて言えば品がありませんが、かえってその粋な所を私が好いたので全く身も心も惚れ込んでしまったのです。
女として好きな男を好くのは当り前です。私の事は世間に判ったから可笑く騒がれるのですが、女が男のモノをすごく好きになるのは世間にざらにあると思います。
早い話が女が刺身を好かなくとも亭主が好けば自然と好くようになり、亭主の留守に枕を抱えて寝たりする事は良くある事と思います。
自分の好きな男の丹前の臭いをかいで気持ちを悪くするような女がありましょうか。
好きな男が飲み残した湯呑の湯を呑んでも美味(おいし)いし、好きな男が噛んだものを口移しで食べても美味(うま)いと思う事もよく世間にあります。
芸者を落籍するのも結局、自分一人のものにしようとするからで、男に惚れた余り今度私がやった程度の事を思う女は世間に居るに違いないのです。
ただ、しないだけのことだと思います。
もっとも、女だって色々あり恋愛本位ではご飯が食べられないと思って物質本位の人もありますが、恋愛のため止むに止まれず今度私のしたような事件になるのも色気違いばかりではありません。
このことが分かって頂ければと思っております。
『自伝・阿部定の生涯 その6』より
僕は阿部定事件の予審調書を何度も何度も読んで『なつかしの映画・TV番組(うら話)掲示板』の『“愛のコリーダ” 2000年版』 スレッドに『自伝・阿部定の生涯』を書いたんですよ。
あたしも読ませていただきましたわ。
ほおォ~~。。。レンゲさんも読んでくれましたか。。。
デンマンさんが書く記事のように、とにかく長いですわね。あたしは面白く読めましたけれど、写真も絵もイラストもないから、普通の人にはつまらないと思いますわ。
そうでしょうか?
他の人の気持ちまでは良く分かりませんけれど、あたしはそんな印象を持ちました。とにかく長かったですわ。
でも、レンゲさんは面白く読めたのですか?
ええ、面白かったです。
つまりゲラゲラ笑ったわけですか?
デンマンさん、そう言う下らない冗談を言うのは止めてくださいな。あたしは、マジで興味深かったと言ったんですわ。
でも、他の人には面白くないと思うわけですか?
そうです。なぜなら、あたしは定さんと同じような境遇に居たと思うのです。だから興味深く読めたと思います。
女が男のモノをすごく好きになるのは世間にざらにあると思います。
(中略)
芸者を落籍するのも結局、自分一人のものにしようとするからで、男に惚れた余り今度私がやった程度の事を思う女は世間に居るに違いないのです。
ただ、しないだけのことだと思います。
恋愛のため止むに止まれず今度私のしたような事件になるのも色気違いばかりではありません。
このことが分かって頂ければと思っております。
あたしはこの部分にすごく共感したんです。
なるほど。。。定さんのような経験を持つことは普通の女性では極めてまれですよね。でも、レンゲさんは極めてまれな経験をしていますからね。
デンマンさん、あたしが共感した理由がお分かり頂けたでしょうか?
なんだかレンゲさんの口調までが定さんに似てきましたね?うへへへへ。。。。
デンマンさんは、あたしをからかうつもりなんですの?
まさかあああ~~
でも、心のどこかであたしをコケにしているように思えますわ。
僕は何度も言っているように、レンゲさんを“心の恋人”だと思っているんですよ。そう言う僕がレンゲさんを馬鹿にしているはずがないじゃありませんか?
でも、デンマンさんなら、ありえますわ。
僕はマジでレンゲさんを“心の恋人”として愛しているんですよ。決して馬鹿になどしていませんよ。
愛しているとおっしゃいますけれど、デンマンさんの愛しているは、あたしが思っているような愛し方ではありませんわ。
とにかく、僕はレンゲさんを馬鹿にしているのではなくて、愛しているんですよ。この話をすると、マタ脱線してしまいますからね、別の機会に話しましょうね。
そうやって、またヒヨルのですか?
そうじゃありませんよ。決して逃げるわけではありません。僕の記事がまた長くなってしまうから、本題に戻りたいんですよ。
分かりましたわ。
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デンマンさん、マタ、この写真を持ち出して何がおっしゃりたいのですかああああ?
“退屈だから、どこかへ連れて行ってくれません?”。。。レンゲさん決まってこう言うんですよね。これがレンゲさんの口癖のようになっていますよ。それで、仕事があって忙しかったのだけれど、こうしてスタンレーパークへレンゲさんを連れて行ったわけですよ。
仕事があって忙しかったのですか?
そうですよ。レンゲさんが居たから、なかなか仕事ができなかったんですよ。
でも、そのようなことを一度もお話になりませんでしたわ。
レンゲさんがせっかくバンクーバーへやって来たから、嫌な顔を見せずにレンゲさんをもてなしていたんですよ。
つまり、あたしはお邪魔だったわけですか?デンマンさんのお仕事の邪魔になっていたわけですの?
レンゲさんだって、知っていたでしょう?でもね、あなたは一人で居ると退屈で寂しいと言って僕のところに転がり込んできたんですよ。
でも、デンマンさんだってうれしそうでしたわ。
だって、嫌な顔をするわけにはいかないでしょう?
つまり、本当はあたしと一緒に居るのがイヤだったということですの?
レンゲさん、この話を続けるとマタ脱線してしまいますよ。
それで、何がおっしゃりたいのですか?
定さんは愛欲から吉蔵さんを独占したいあまりに情痴に溺れてしまった。吉蔵さんを殺したのは憎いからではなかった。愛欲のあまり独占したかった。吉蔵さんの死体から男の大切なものを切り取ったのも常軌を逸(いっ)したのではなく、吉蔵さんの“愛らしい化身”を身に着けて“二人で居たかった”からなんですよ。
デンマンさんは、あたしも愛欲から情痴に溺れているとおっしゃりたいのですか?
そうですよ。ファンディー(fundies)をはいてパンツの中でつながったままドライブに出かけるということは、まかり間違えば交通事故を起こして死んでしまう。しかし、普通の人にとっては、危険が大きすぎると言うよりも、馬鹿馬鹿しくてファンディーをはいてドライブなどする気になれないですよ。
そうでしょうか?
そうですよ。これまで僕の書いたレンゲさんの記事を読んでも、ほとんどの人は、レンゲさんと清水君が、ファンデーをはいて実際に長瀞までドライブしたなんて、僕がでっち上げた話だと思って信じていないはずですよ。それほど荒唐無稽ですよ。
。。。うふふふ。。。やっぱり、ちょっと可笑しいですか?
可笑しいどころじゃないですよ。ちょっと信じられないですよ。しかもですよ。レンゲさんは、すべての責任を清水君に押し付けようとしている。
そんな事していませんわ。
していますよ。次の会話を思い出してくださいよ。
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だって、洋ちゃんがそうしたいって言うから。。。。
だから、そういう時にはレンゲさんが引き止めるんですよ。レンゲさんにとって、愛し合うことは遊びですか?お互いに家庭を持とうと考えて付き合っているなら、そのような危険な愛し方はしないはずですよ。まるで退屈を紛らわせるために愛し合っているように見えますよ。僕は、清水君もレンゲさんと同じような不幸な家庭に育ったので、境界性人格障害を患っていると思いますよ。だから、レンゲさんも清水君も退屈さと空虚感が死ぬほど嫌なんですよね。それで、健常者には考え付かないような危険なことまでして愛し合う。
そうではありませんてばああああ。。。あたしは洋ちゃんと、いつでも愛し合いたいんです。いつまでも一緒に居たいんです。
だから、カップル専用パンツなどはかなくても、いつでも愛し合えるし、一緒に居られるでしょう?
だって、洋ちゃんがファンディーをはいて、つながったままでドライブに行きたいと言うから。。。
だから、なぜ、そのような危ない事は止めようと言わないのですか? もっと普通に愛し合おうと言わないのですか?
あたしは洋ちゃんに嫌われたくないんです。“下つき”だと言われたばっかりだし、洋ちゃんの言うことをイヤだと言って断ったら、あたし、ますます洋ちゃんに嫌われてしまうようで。。。そうなったら、またデンマンさんに、それ見ろ、と言われるし。。。
『いつでも愛し合いたい。いつまでも一緒に居たい』に基づいて編集
レンゲさんは、こうしていろいろと言い訳を言っているけれど、レンゲさん自身が “退屈だから、どこかへ連れて行ってくれません?”と幾度か言った事を僕はよく覚えているんですよ。
つまり、あたしも、ファンディーをはいてドライブに行きたかったとおっしゃりたいのですね?
そうですよ。違うのですか?
それは。。。
どうなんですか?
あたしだって、少しは。。。
でしょう?つまり、レンゲさんにだって、半分の責任があるんですよ。清水君だけが悪いのではないんです。後の半分は、レンゲさんが愛欲に駆られて情痴に溺れてしまうんですよ。それでレンゲさんの理性が追いやられてしまい、清水君と危険なドライブに出かけてしまう。どんな言い訳を並べようとも、レンゲさんの気持ちの中にも常軌を逸(いっ)して清水君に迎合(げいごう)しているところがあるんですよ。レンゲさんが愛欲に駆られて情痴に溺れると言うのは、そういうことですよ。僕の言っていることは間違っていますか?