☆休日の朝の散歩コースを変えたばっかりに
わが家の近くの街道沿いに新しいコンビニエンスストアが開店した。実にありがたい。
土曜日の朝、わんこたちの散歩コースをコンビニの前を通るルートに変更した。どんなものなのか外からだけでものぞいて見たかったからだ。
休日の朝の散歩コースは、シェラの希望でふだんの朝とは別の方角へ向かう。ひと言でいえば近場ですませる。休日の朝、毎朝のコースのほうへ向かおうとするとシェラが抵抗する。時間がいつもより遅いから今日は休日だとわかるのだろう。
新しいコンビニの前を通るルートは第三のコースである。ぼくはめったに使わない。したがって、土曜日もぼくの意外な行動に、シェラが若干の戸惑いと抵抗を見せた。
とはいえ、嫌いなルートではないだけに、すぐについてくる。古い住宅と新しい住宅が混在する細い道を抜けて街道へ出る。そこから街道沿いにまわりこんで帰路とする。コンビにはその帰路の途中にある。
☆老化は突然足にくる
コンビニの広すぎるほどの駐車場の前にさしかかったときだった。突然、ムギの歩き方がおかしくなった。右の後肢を引きずっている。
肉球でも切ったのではないか?
抱き上げ、ムギの身体を裏返して両方の後肢をたしかめた。想像していた出血はない。
路面に下ろして観察すると、相変わらずまともに歩けないままだ。
嫌な予感が頭をよぎる。ネットで知り合った滋賀県のロン君というコーギーが、ある日、突然歩けなくなり、たしか1年ほどで虹の橋を渡った。当時の年齢は、現在のムギの10歳よりふたつみっつ出ていたと思う。
それにしても、わんこの老化のシグナルが突然足にくるというのをつい最近もどこかで聞いていた。
すでにシェラもムギも朝のおつとめは終わっていた。ムギを抱き、シェラを急かせて帰路を急いだ。
重い。20キロのデブコギである。
「ダイエットさせるどころか、アイスクリームなんかやって太らせたままでいるママが悪い」とだんだん腹が立ってきた。
抱いているのが重いからではない。心配で心配で、デブのままだから足を痛めるのだと……。
およそ200メートルほどの道を、二度ばかりムギを下ろして抱きなおし、ようやくマンションのエントランス前にたどり着いた。
☆肉球が増えている!
「ムギが大変だ!」
部屋へ入るや否やぼくは大騒ぎだった。床に尻をついて座り、仰向けにしたムギを両脚の間にはさんで再度左右の足の裏を調べて見た。切り傷はおろか何かが刺さっている様子はない。
おそるおそる両方の肢を動かし、骨に異常がないか、痛がらないか調べて見た。
なんともない。ムギは涼しい顔をしたままだ。おかしいなぁ……と思いつつ、ひょいと前足を見て異常に気がついた。
なんと、肉球がひとつ増えているではないか。
真っ黒なもうひとつの肉球をつまんでみてようやく正体が判明した。ユビに感じた感触は、最初、その粘り気からアスファルトの塊りかと思ったが、食べかけの飴のかけらだった。
だれかの口から落ちた飴玉のかけらがムギの足の間にすっぽりはまったしまっただけだった。
休日の朝の、大いに心配させられた、わかってしまえばささやかな珍事だった。
【寝る子は太る?(7月のキャンプにて)】
わが家の近くの街道沿いに新しいコンビニエンスストアが開店した。実にありがたい。
土曜日の朝、わんこたちの散歩コースをコンビニの前を通るルートに変更した。どんなものなのか外からだけでものぞいて見たかったからだ。
休日の朝の散歩コースは、シェラの希望でふだんの朝とは別の方角へ向かう。ひと言でいえば近場ですませる。休日の朝、毎朝のコースのほうへ向かおうとするとシェラが抵抗する。時間がいつもより遅いから今日は休日だとわかるのだろう。
新しいコンビニの前を通るルートは第三のコースである。ぼくはめったに使わない。したがって、土曜日もぼくの意外な行動に、シェラが若干の戸惑いと抵抗を見せた。
とはいえ、嫌いなルートではないだけに、すぐについてくる。古い住宅と新しい住宅が混在する細い道を抜けて街道へ出る。そこから街道沿いにまわりこんで帰路とする。コンビにはその帰路の途中にある。
☆老化は突然足にくる
コンビニの広すぎるほどの駐車場の前にさしかかったときだった。突然、ムギの歩き方がおかしくなった。右の後肢を引きずっている。
肉球でも切ったのではないか?
抱き上げ、ムギの身体を裏返して両方の後肢をたしかめた。想像していた出血はない。
路面に下ろして観察すると、相変わらずまともに歩けないままだ。
嫌な予感が頭をよぎる。ネットで知り合った滋賀県のロン君というコーギーが、ある日、突然歩けなくなり、たしか1年ほどで虹の橋を渡った。当時の年齢は、現在のムギの10歳よりふたつみっつ出ていたと思う。
それにしても、わんこの老化のシグナルが突然足にくるというのをつい最近もどこかで聞いていた。
すでにシェラもムギも朝のおつとめは終わっていた。ムギを抱き、シェラを急かせて帰路を急いだ。
重い。20キロのデブコギである。
「ダイエットさせるどころか、アイスクリームなんかやって太らせたままでいるママが悪い」とだんだん腹が立ってきた。
抱いているのが重いからではない。心配で心配で、デブのままだから足を痛めるのだと……。
およそ200メートルほどの道を、二度ばかりムギを下ろして抱きなおし、ようやくマンションのエントランス前にたどり着いた。
☆肉球が増えている!
「ムギが大変だ!」
部屋へ入るや否やぼくは大騒ぎだった。床に尻をついて座り、仰向けにしたムギを両脚の間にはさんで再度左右の足の裏を調べて見た。切り傷はおろか何かが刺さっている様子はない。
おそるおそる両方の肢を動かし、骨に異常がないか、痛がらないか調べて見た。
なんともない。ムギは涼しい顔をしたままだ。おかしいなぁ……と思いつつ、ひょいと前足を見て異常に気がついた。
なんと、肉球がひとつ増えているではないか。
真っ黒なもうひとつの肉球をつまんでみてようやく正体が判明した。ユビに感じた感触は、最初、その粘り気からアスファルトの塊りかと思ったが、食べかけの飴のかけらだった。
だれかの口から落ちた飴玉のかけらがムギの足の間にすっぽりはまったしまっただけだった。
休日の朝の、大いに心配させられた、わかってしまえばささやかな珍事だった。
【寝る子は太る?(7月のキャンプにて)】