愛する犬と暮らす

この子たちに出逢えてよかった。

救われないムギ

2009-11-19 22:32:19 | 日記
☆換毛期の恐怖
 寒い朝だった。冬用の綿パンに昨日よりも厚手のフリースで朝の散歩に出た。寒いから、シェラもムギも元気である。
 
 このところ、わんこたちの抜け毛が激しい。冬の換毛期なのだろう。家の中を掃除しても追いつかない。すぐに毛が舞うと家人が嘆く。
 シェラもムギも夏毛が浮き気味なのがひと目でわかる。

 毎晩、ブラッシングをしてやるが、ぼくがブラシやコムを手にするまでもなく、シェラは気配を察して寝室に逃げ込んでしまう。ムギもあとに続く。

 寝室から強制的にシェラだけを連れ出しブラシをかける。ムギには見向きもしない。どうせすぐに飛び出してくるのがわかっている。

 ブラッシングも長い時間は無理だ。手早くすませてやらなくてはならない。まだ完全に夏毛が浮いていないから痛いらしい。
 シェラが「痛い!」と悲痛な声で叫ぶ。やめて……と。
 たちまちムギが飛んでくる。ママの一大事だからだ。

 ぼくに直接抗議をするわけではないけど、シェラのそばに寄り、甲高い声で吠え続ける。
 たいへんだ、たいへんだ……と。シェラも苛立ち、身体をよじって逃げようとする。ますますムギの吠える声が激しくなる。

☆どうぞお好きに
 シェラを放すと同時にムギを捉え、押さえつけてブラッシングをはじめる。
 こちらの抵抗は激しい。本気ではないがぼくの手に牙を立てようとする。カチカチと牙を鳴らして威嚇するのだ。
 運悪く牙に手が触れようものなら簡単に手の皮膚を破られる。
 過去に一度だけやられたことがある。驚いたのはムギのほうだった。「しまった!」とばかり渾身の力でぼくの腕をふりほどき、脱兎のごとく逃げ去った。

 同じようにブラッシングをされ、悲痛な声で「やめて……」というシェラにひきかえ、「ウォ、やめろ! 放せ!」と抗うムギ――同じわんこでもずいぶん違う。

 ただ、ムギが“ひどい目”にあっていてもシェラは涼しい顔をしている。外でほかの犬からムギが何かされそうになると身体を張って阻止するシェラだが、ぼくがやるぶんには、「どうぞ、お好きなように」という態度である。
 ムギもちょいと救われない。