☆うしろ足の衰えが目立つ
金曜日の祭日から3日間、ずっとシェラと一緒だった。もっとも、昨日は母の納骨で昼間の数時間、ぼくだけ留守にした。その間、家人ひとりではシェラも不安だろうし、家人はもっと不安がっていたので、せがれを呼んで一昨日からひと晩泊まりがけできてもらっていた。
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動きの鈍いシェラとじゃれつく機会をうかがうワルガキのルイ(26日朝)
今朝のシェラも、昨日の朝に続いて散歩にいこうというぼくの誘いに立ち上がろうとしなかった。自分の犬用ベッドで寝ているシェラの身体にハーネスを着け、痛くならないかと心配しながら起き上がらせた。ケージからルイを抱き上げ、シェラをうしろからゆっくりと促して玄関まで連れて出た。
まだ自力で動ける力がシェラに残っているだけでも「よし」とするべきだろう。20センチほどの高さのクレートにも自分から乗り込んでくれた。
歩く姿を見ていると、うしろ足の衰えが激しい。すっかり筋肉がおちて、ただでさえ細い脚がさらに細くなってしまった。ふつうに歩いていても、ときおりおぼつかなくよろけている。ルイがじゃれついて跳びかかればたちまち転んでしまうだろう。ルイは油断も隙もならないガキ犬である。そうならないように細心の注意を払いながらの散歩である。
今朝はオシッコしか出なかった。たくさん食べているのにそれはないだろうと思う。家に戻ってから、「昼間、外へ連れ出してくれ」と家人に託した。
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食べて寝る状態を維持しての延命(26日朝)
☆いつもぼくを探していてくれる
昨日、カートに乗せてスーパーまでいくとき、カートは家人が押し、ぼくは悪ガキのルイを連れていた。右に左に、前に後ろにとめまぐるしく、しかも敏捷に動くルイの面倒をみるのは並大抵ではない。おとなしく歩けるようにしつけてやりたいが、いまやシェラが中心の生活になっているので平日は運動不足だし、部屋の中でも大半がケージに入れているので、ストレスがかなりたまっているはずである。こんなときにしつけるのはしのびない。
もう少し、もう少しの辛抱だと心の中でルイにいいつづけている。シェラがいなくなったら、たくさん歩いてやるからな――そんな寂しい約束をしなくてはならないのが哀しい。
「前を歩いてくれないかしら。シェラがあなたを探して落ち着かないから……」
カートを押していた家人が振り向いていった。シェラはそういう子である。これを飼主への依存心が強いと見るか、従順と見る……。どちらにしても、ますます愛しくてならない。
ぼくはルイを連れてシェラが乗ったカートの前を歩きながら、ときおり振り向いてシェラにほほ笑みかけた。それだけでシェラは安心できるのである。
☆シェラとルイの意外な距離
夜、予定どおり2日ぶりに病院を訪ねた。体重は少し減っている。血液検査の結果、やっぱり若干数値が後退していた。しかし、どうやら先生が思っていたよりは踏みとどまっているらしい。これも衰えない食欲のおかげだろう。
「食べて寝る」状態を維持して様子をみることになった。点滴も家でおこない、次回の病院は病院が年末年始の休みに入る前日の30日。なんとか年を越せそうである。
帰り、簡単な買い物をするために駐車していたクルマの中のシェラとルイを見てぼくは驚いた。ルイがシェラにじゃれつかないようにふたりの席を離してある。シェラは後部座席にルイは運転席のとなりの助手席である。
しかし、ルイは少しでもシェラのそばに近づきたくてコンソールボックスの上に座り、いつもうしろを見ている。クルマの中にシェラとルイを残し、家人とともに外へ出た。先にぼくが戻ると、ルイがシェラの耳の中を舐めているではないか。
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いつの間にかこんな仲良しの関係になっていたとは(26日夜)
かつて、シェラがむぎにやっていた行為である。いま、逆にシェラがルイに舐めさせている。しかも、自分のほうから頭をルイのほうに突き出し、気持ちよさそうにしているではないか。
むぎのときは、まるで母犬が自分の子供を愛でているかのように見えたが、いまは、ルイという子犬が母犬に甘えているかのようである。どちらにしてもシェラは母犬の役割りだ。いつのまにか、シェラとルイはこれほど近しい関係を築いていた。ますます、今少しシェラを長生きさせてやりたいと思う。シェラのためのみならず、ルイのためにも……。
しかし、もう時間はない。
家での点滴3日目、シェラもぼくたちもだいぶ慣れてきた。
金曜日の祭日から3日間、ずっとシェラと一緒だった。もっとも、昨日は母の納骨で昼間の数時間、ぼくだけ留守にした。その間、家人ひとりではシェラも不安だろうし、家人はもっと不安がっていたので、せがれを呼んで一昨日からひと晩泊まりがけできてもらっていた。
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動きの鈍いシェラとじゃれつく機会をうかがうワルガキのルイ(26日朝)
今朝のシェラも、昨日の朝に続いて散歩にいこうというぼくの誘いに立ち上がろうとしなかった。自分の犬用ベッドで寝ているシェラの身体にハーネスを着け、痛くならないかと心配しながら起き上がらせた。ケージからルイを抱き上げ、シェラをうしろからゆっくりと促して玄関まで連れて出た。
まだ自力で動ける力がシェラに残っているだけでも「よし」とするべきだろう。20センチほどの高さのクレートにも自分から乗り込んでくれた。
歩く姿を見ていると、うしろ足の衰えが激しい。すっかり筋肉がおちて、ただでさえ細い脚がさらに細くなってしまった。ふつうに歩いていても、ときおりおぼつかなくよろけている。ルイがじゃれついて跳びかかればたちまち転んでしまうだろう。ルイは油断も隙もならないガキ犬である。そうならないように細心の注意を払いながらの散歩である。
今朝はオシッコしか出なかった。たくさん食べているのにそれはないだろうと思う。家に戻ってから、「昼間、外へ連れ出してくれ」と家人に託した。
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食べて寝る状態を維持しての延命(26日朝)
☆いつもぼくを探していてくれる
昨日、カートに乗せてスーパーまでいくとき、カートは家人が押し、ぼくは悪ガキのルイを連れていた。右に左に、前に後ろにとめまぐるしく、しかも敏捷に動くルイの面倒をみるのは並大抵ではない。おとなしく歩けるようにしつけてやりたいが、いまやシェラが中心の生活になっているので平日は運動不足だし、部屋の中でも大半がケージに入れているので、ストレスがかなりたまっているはずである。こんなときにしつけるのはしのびない。
もう少し、もう少しの辛抱だと心の中でルイにいいつづけている。シェラがいなくなったら、たくさん歩いてやるからな――そんな寂しい約束をしなくてはならないのが哀しい。
「前を歩いてくれないかしら。シェラがあなたを探して落ち着かないから……」
カートを押していた家人が振り向いていった。シェラはそういう子である。これを飼主への依存心が強いと見るか、従順と見る……。どちらにしても、ますます愛しくてならない。
ぼくはルイを連れてシェラが乗ったカートの前を歩きながら、ときおり振り向いてシェラにほほ笑みかけた。それだけでシェラは安心できるのである。
☆シェラとルイの意外な距離
夜、予定どおり2日ぶりに病院を訪ねた。体重は少し減っている。血液検査の結果、やっぱり若干数値が後退していた。しかし、どうやら先生が思っていたよりは踏みとどまっているらしい。これも衰えない食欲のおかげだろう。
「食べて寝る」状態を維持して様子をみることになった。点滴も家でおこない、次回の病院は病院が年末年始の休みに入る前日の30日。なんとか年を越せそうである。
帰り、簡単な買い物をするために駐車していたクルマの中のシェラとルイを見てぼくは驚いた。ルイがシェラにじゃれつかないようにふたりの席を離してある。シェラは後部座席にルイは運転席のとなりの助手席である。
しかし、ルイは少しでもシェラのそばに近づきたくてコンソールボックスの上に座り、いつもうしろを見ている。クルマの中にシェラとルイを残し、家人とともに外へ出た。先にぼくが戻ると、ルイがシェラの耳の中を舐めているではないか。
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いつの間にかこんな仲良しの関係になっていたとは(26日夜)
かつて、シェラがむぎにやっていた行為である。いま、逆にシェラがルイに舐めさせている。しかも、自分のほうから頭をルイのほうに突き出し、気持ちよさそうにしているではないか。
むぎのときは、まるで母犬が自分の子供を愛でているかのように見えたが、いまは、ルイという子犬が母犬に甘えているかのようである。どちらにしてもシェラは母犬の役割りだ。いつのまにか、シェラとルイはこれほど近しい関係を築いていた。ますます、今少しシェラを長生きさせてやりたいと思う。シェラのためのみならず、ルイのためにも……。
しかし、もう時間はない。
家での点滴3日目、シェラもぼくたちもだいぶ慣れてきた。