愛する犬と暮らす

この子たちに出逢えてよかった。

ルイの週末の寂しいはじまり

2012-05-26 23:05:04 | ルイとの日々

☆待ちくたびれて…… 
 「お父さんの帰りずっとまっていたのよね。もう待ちくたびれちゃったわよね」
 木曜日のことである。会社の後輩と飲む約束があり、話がはずんで家に帰り着いたのは午前12時近かった。飛び出してくるかと思ったルイはリビングで気怠そうに寝そべっていた。
 「ずっとおとなしくしていたのよ。ちょっといたずらしたくらい。お父さんがいないといい子なんだから……。ほら、ルイちゃん、待っていたお父さんが帰ってきたじゃない」
 家人に促されてルイがゆっくりと足下にやってきた。もう、「遊ぼう!」と催促する気力はないようだった。

 「しつけ教室に入れなくてよかった」
 家人がしみじみという。果たしてその判断が正しいかどうかはわからないが、ルイは大きな図体ながら家人に抱かれておとなしくぼくを見ている。手を伸ばせばその手をペロリと舐め、顔を近づけるとすぐに舐めてくれる。文字どおり「待ちくたびれた」という風情が濃厚なルイである。まだ1歳にならない幼犬なのだからこんなものなのだろう。


☆ぼくの部屋へやってきた 
 風呂から出て自分の部屋でパソコンに向かってメールのチェックをしていると、足下に何か違和感を感じる。「おや?」と思ってのぞくとデスクの下にルイが入り込み、何かおもちゃになるものはないかと首を突っ込んでいた。どうやらぼくを追いかけてきたらしい。いつも部屋へは入れないようにしているものの、ぼくが油断したときに何度か入り込んでいるくらいで、堂々とやってきたのはこれがはじめてだった。

 しばらくぼくの足下にいて、やがて、部屋を出ていったルイが玄関からぼくの靴をくわえてリビングのほうへと走り去るうしろ姿がみえた。放っておくわけにはいかない。すぐに追いかける。こうなるとルイの「遊ぼうぜ!」のスイッチが入ってしまうのは時間の問題である。いや、すでに入ってしまったかもしれない。時刻はすでに午前1時近い。とんでもない話である。
 だが、幸いにしてリビングには家人がいた。ぼくだとひたすらすばしこく逃げ回るルイだが、家人が手を伸ばすとくわえていたぼくの靴をあっさり渡した。家人には従順である。


☆疲れはてて迎えた金曜日 
 そして金曜日――。
 会社から早く帰ろうと思っていたのに、結局、いつもどおりの午後8時近くなってしまった。それでもルイは喜んでぼくを迎えてくれた。今夜こそ遊んでもらえると思ったのだろう。
 たしかに、ぼくもそのつもりだった。昨夜遊べなかった分まで遊んでやろうと思ってオフィスで一日を過ごして帰路についた。もう少しばかり早く帰るつもりが遅くなったが、ルイと遊ぶのを楽しみにしている気持ちに変わりはなかった。
 
 だが、この日は家人の仕事が遅くなり、ぼくが帰って着替えをすませるとすぐに外食のために出かけた。むろん、ルイもクルマに乗せていった。近所のファミレスで食事を終えると、ルイを遊んでやらなくてはとの思いからそそくさと家に戻った。
 
 それなのに、戻ったとたん、一週間分の疲れがぼくに襲いかかった。今週はとりわけ忙しい一週間だった。ファミレスから帰ったあと、形だけルイを遊んでやったものの、すぐに寝室に入り、ベッドに横になって眠ってしまった。ルイが起こしにきたのはうっすらと知っていたが、着の身着のまま朝まで深く眠った。風呂へも入らず、顔も洗わず、歯も磨かずに……。
 何度かぼくを起こしにいって無駄だとわかったあとのルイはリビングでずっとおとなしくしていたという。かわいそうなことをしてしまった。


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