今日、知り合いに会ってきた。彼の奥さんは末期がんを患っていて、ずっと付っきりで介護に当たっているようだ。奥さんの末期がんであると知らされ、家事もできなくなってから、彼は体調を崩してしまったという。もともと心臓の持病があったらしく、さまざまな検査を受けたが、結論は心労から来るものと言われた。単身赴任が長かった私と違い、彼はずっと奥さんが一緒に生活してきており、食事等家事一切はほとんど奥さんがやっていて、食事を作ったことがなかったという。食事を作った経験がない中で、食事を作るのはいかに大変か想像に難くない。ましてや、奥さんは具合が悪いと食も進まない、食べないと体力がますます落ちてしまうことを心配し、何とか食べられるようなものを作らなくてはと悩み、食事を用意する時間になると、どうして良いか全く分からず、パニック状態だったという。彼は、私と違って、何でも完璧にやらないと気が済まない性格だ。だから、その心労もひとしおだったに違いない。彼は体調を壊し、彼が食事の用意できない状態の中、夕食の宅配を利用するようにした。それで、幾分、気持ちが楽になり、体調も少し回復してきたのだという。別れ際に、平日の夕食は宅配で済ませているが、土日だけは自分が作ることにしているのだと言いい、これから食材を買って帰るという。
別れて帰ってくる途中、妻の病気を知った姉がつい漏らした、「こんなこと言っては何だが、嫁さんじゃなくて、お前が病気になったんだったら、なんてことはないんだけどね。男じゃ役に立たないからね。家の中は、女手がないととにかく大変だよ。」という言葉を思い出した。
