Dr.K の日記

日々の出来事を中心に、時々、好きな古伊万里について語ります。

茜唄(上)・(下)

2023年10月10日 12時41分29秒 | 読書

 「茜唄(上)・(下)」(今村翔吾著 角川春樹事務所 2023年3月18日第1刷発行)を読みました。

 

 

 

 内容は、「平家物語」でした。

 「平家物語」の作者については不明とされていて、古来より多くの説があるようですね。

 この本では、「平家物語」は、平清盛の4男の平知盛(とももり)が日記代わりに書いていたものを、知盛が壇ノ浦の戦いで敗れて亡くなったあと、知盛の妻の希子(きこ)がその後の部分を補充し、琵琶をかき鳴らしながら、僧西仏(さいぶつ)に伝授して完成させたということになっています。

 平知盛は、清盛に最も嘱望され、最も愛された人物だったと書かれていました。清盛の死後は、長男、次男が若くして病死していましたので、3男の宗盛があとを継ぎますが、実質は、4男の知盛が平家一門を束ねていたとのことです。ですから、この本では、「平家物語」は、平家の興亡を最も良く知った人物によって作られたものだということになりますね。

 ところで、知盛の妻の希子ですが、彼女は、壇ノ浦の戦いの際にそこで亡くなったわけではなく、壇ノ浦の戦いの後は、高倉天皇の次子、守貞を守りつつ京に戻っています。その後、守貞が親王宣下を受け、持明院家ゆかりの持明院を御所として持明院宮に住むようになりましたので、守貞の乳母であった彼女もそこに住むようになったということです。

 また、僧西仏ですが、この本では、元は信濃国の名族滋野氏の嫡流で13代海野幸親の次男の海野幸長という武士でしたが、その後、仏門に入り、法然上人の門下となった人物ということです。