今回は、「染付 花文 そば猪口」の紹介です。
正面(仮定)
正面の反対面
見込み面
底面
これは、平成2年に買ったものです。
生掛けで、厚底です!
当時は、この様な、生掛けで厚底の物は、高台付でなくとも、古伊万里に関する研究成果が浸透していなかった田舎にあっては、初期伊万里とされていました(~_~;)
現在では、特に、そば猪口にあっては研究が進んでいますので、このようなそば猪口は、初期伊万里などとんでもない話で、江戸前期はおろか、江戸中期がやっとというところでしょう。
それはともかく、何故、私がこのそば猪口を買ったかといいますと、それは、口造りの酷さにあります(笑)。
画像から分かりますように、このそば猪口の口縁は酷いですよね(><)
こんな酷いものを、果たして、完成品として出荷したのだろうかと興味を抱いたからです。
最初は、口縁が酷くなって出来上がってしまったため、失敗品として物原に捨てられたものを、後日、発掘してきたものなのかな~と思いました。
でも、絵付けをして本焼きをした後に捨てる訳がないな~と思ったわけです。本焼きしたら、口縁がこのような状態で出来上がってくるであろうことは、絵付けする前に分かっていたはずですものね、、、。
結局は、これが作られた当時は、磁器は貴重品だったので、口縁がこの様な状態のものでも商品として通用していたのだろう、との結論に達し、その証拠になる物なのだろうと考えて買ったわけです。つまり、参考資料として買ったわけです。
生 産 地 : 肥前・有田
製作年代: 江戸時代中期
サ イズ: 口径;6.5~6.9cm 高さ;5.7cm 底径;4.3cm
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追記 (令和3年2月27日)
これを紹介してから、故玩館館主の遅生さんより、
「写真ではよくわからないのですが、口縁のギザギザ部にもウワグスリがかかっているのでしょうか。
そうだとすると、ものすごい珍品ですね。しかも数百年間生き長らえてきた、世にも不思議なそば猪口(^.^) 」
とのコメントをいただきました。
このコメントをいただき、私は、「あれっ!」と思いました。
私は、これまで、このそば猪口を、珍品とは思わず、「出来の悪いそば猪口だな~! でも、こんなものが流通していたという証拠となる参考資料にはなるな~」と思い込んでいたのです(~_~;)
それで、これが「ものすごい珍品」となるならば「大掘り出しになるな~」と思い、喜び勇んで、急いでルーペで見てみました(笑)。
しかし、これまで、口縁がベベラ状のままで完成されたものと思っていましたが、改めて良くルーペで見てみましたら、殆どは、後世の傷であることがわかりました(><) 少し残っていた傷の無い口縁部分には、ウワグスリがかかっていました。
当時、磁器が貴重品だったとはいえ、いくら何でも、こんなに酷い状態のものが商品として流通はしないですものね(><)
底の方が厚く、口縁に向かうにしたがって薄く作られていますから、口縁辺は薄くなっていたため、欠け易くなっていたので、長年の使用傷が重なって、このようなギザギザ状態になったようです(~_~;)
それでは、参考資料にもならないですね(><) 単なる傷物です(><)
遅生さんは、鋭い観察力をお持ちですね! 貴重なコメントをありがとうございました(^-^*)