『バランスのとれた周辺の環境と快適なライフスタイルのご提案です』 って!

2000年09月14日 | 日々のアブク
 昔話を一寸蒸し返させていただく。と申してもたかだか3年ほど前の話で,ウチのすぐ近くを流れる葛葉川沿いの河畔林伐採跡地をめぐるゴタゴタの顛末,というか途中経過報告である(1997/11/11参照)。

 例の「不明朗な工事」は,私がそれを記録した日から1~2週間ほどして何故か急に中断してしまった。さすがにあれほど唐突かつ強引な土地改変に対しては,諸々の開発について万事オウヨウな市当局といえども「横槍」を入れざるを得なかったに違いない。その後はといえば,ブルドーザーで中途半端にかき回された開墾地の一隅に粗末な簡易プレハブ小屋が2軒ほど建てられ,どこかの土建屋さんの臨時資材置き場のような形になり,といって大した量の資材を置いていたわけでもなく,ほとんど大部分の土地は地肌むき出しのまま荒地として取り残された。その状態は1年ほど続いたが,そのうちプレハブ小屋も撤去されてしまい,なお引き続いて荒地状態のまま約2年の月日が無為に経過した。その間,意外にもこの川沿いの平坦な土地には水辺に特有のススキ群落,シバ群落等からなる二次草原ないしは路傍雑草群落といえるような単位植生がほとんど成立し得なかった(陰で誰かがコッソリと除草剤でも定期的に蒔いていたのだろうか?)。それと呼応するわけでもなかろうが,別段塀や鉄条網などで閉ざされてはいなかったにもかかわらず,近所の人々は老若男女を問わず何故かその場所を遠ざけていたように見受けられ,河畔の気持ちよさげな開放地だというのに,ほとんど人の姿を見ることがなかった。

 ところが,つい2~3週間ほど前から,どこかの誰かサンが再びこの土地をイジクリ始めた。3年ぶりの「開墾」である。さて今度は何を作ろうというのかな? 《葛葉川ふるさと峡谷》関係の公園施設とか,児童公園とかにでもなればいいね。いやいや,せいぜいジジババ向けのゲートボール場くらいじゃないの。あるいは月極駐車場などか,もしくは対岸にある自動車教習所の関係施設かなぁ,などと家人と噂しあっていた。

 しかしながら,我々のささやかな一縷の望みは無惨にもうち砕かれる。一昨日,この近在一帯の情報に比較的詳しい方から伺ったところによれば,何でも建売住宅やアパートが建つという。いわゆる「ミニ開発」というヤツである。土地の広さから大雑把に見積もれば,戸建てが10軒,アパートが2軒として20世帯,都合60~70人くらいの人々がこの川沿いの低地に新たに移住してくることになるのだろうか。そこは以前「虔十公園林」にも比せられた魅力的な雰囲気をもった場所であったわけで,そのこと自体は私個人の一方的な思い込みが含まれているにしても,一般に「河畔」という土地の適正な利用形態を考えれば,正直なところあまりウレシイ話ではない。もちろん将来の新住民には何の罪もないが,まさに,ガックリって感じ,であります。それにしてもこの御時世,資力にまかせてヤッタもん勝ち,何でもアリなのかね?

 てなことをブツブツと思っていたら,今朝の朝刊に(何と!)早くも当該物件の折り込み広告が入っていたではないか。案の定,全10区画の土地分譲だという。面積は119.89㎡(36.26坪)~178.00㎡(53.84坪)。しかもそのうち4区画は既に売れてしまっているとか(どうせ土建屋さんとのコネによる先抑えだろうけれど)。

 チラシのリード文には『バランスのとれた周辺の環境と快適なライフスタイルのご提案です』とある。なかなか意味深な誘い文句である。受け手はその一節からさまざまに想像力を膨らませることが可能でありましょう。テラ・アンコグニタ。要するに何とでも解釈できるわけで,それはまた取りも直さず,後々生じるかも知れぬクレームの洪水に対する防波堤にもなろうってわけだ。まさか,川沿いの低地で(洪水ノ恐レアリ),水質汚濁が目立ち(ユスリカ等ノ大量発生アリ),対岸は自動車学校,工業団地及び火葬場で(騒音・臭気アリ),小学校まで徒歩45分!(バス路線ナシ)などとは断じて書けませんでしょうしね。

 折りも折り,愛知県名古屋方面では未曾有の集中豪雨により中小河川が氾濫,堤防が決壊し,床上・床下浸水が数万戸に及ぶといった深刻な都市災害が世間を賑わせたばかりだ。当該地は果たしてダイジョーブか? 豪雨があった夜,葛葉川の様子を見に行くと川の水位は護岸天端まであとほんの40~50cm位までに増水しておったのだけれど。

 ま,他人事ながら気がかりな話ではあります。さてさて1年後はどうなっているかな?
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