タマちゃんはOKで,クマちゃんはNGなのか?

2006年10月25日 | サトヤマ,サトヤマ
 という次第でクマの話になるわけだが,それは私が秋田県の山奥に出張しているのとちょうど時を同じくして,拙宅の近くでクマが出没したらしい,ということを出張から戻ったあとで家人に聞かされた。学校の先生やみんなも結構騒いでタイヘンだったよー,とアキラがまるで他人事のように話す。小学校からもらってきたパンフには市の教育委員会からの通知として以下のように記されていた。

---------------------------------------------------
1. 日時: 平成18年9月28日(木) 午前6時ころ
2. 場所: 秦野市菩提908番地付近
3. 状況: クマは新田川右岸上流より歩いて来て,川沿いのフェンスを下流に向かい,フェンスを乗り越え,川を横断し左岸沿いの踊り場を歩き,フェンスを乗り越え水道局菩提配水場方面へ逃げた。現在上記情報に基づき,鳥獣保護委員等が羽根林道などを捜索中。 

--------------------------------------------------


 また別に,ネット検索で地元の神奈川新聞のバックナンバーをチェックしてみると,9月30日付で次のような記事が掲載されていた。

-----------------------------------------
◆クマ目撃で住民に注意呼び掛け/秦野◆
 秦野市は29日、同市菩提の山あいの集落周辺でクマが目撃されたとして庁内に危機管理クマ対策チームを設置し、広報車や市のホームページ(HP)などで住民らに注意するよう呼び掛け始めた。
 クマが目撃されたのは、菩提の新田川上流付近。28日午前6時ごろ、カラス駆除のため川沿いの市道を歩いていた地元猟友会の男性が上流から現れたクマを目撃。体長約1メートル、体重60~70キロで、ツキノワグマとみられる。しばらくして山中に姿を消したという。
 市では、県鳥獣保護員らと現場を調べたところ、対岸そばの林道でクマの足跡を確認した。周辺に人家があることから、県への許可手続きを経て早急にクマの追い払いを実施する。万一、クマに出くわしたら、刺激しないように慌てないで静かに立ち去るよう注意を呼び掛けている。

-----------------------------------------


 あれれ。この場所は私が時おり自転車で,そしてごくたまには徒歩で出掛けたり通り過ぎたりするエリアではないか。

 丹沢表尾根の東寄り,三ノ塔から二ノ塔,岳ノ台へと続く標高1,000m程度の尾根筋の南に開けた山麓に位置する小地域で,やや急峻な山腹に古くからの集落が点在し,その周囲には茶畑を主体とする耕作地や果樹林などが段々に広がっている。谷間を流れる渓流は水質清澄で,そこからさらに20分ほど上流へと遡れば,古くから地域信仰の対象にもなっている「不動の滝」と名付けられた落差15mほどの滝がある。目立ったものといえばせいぜいそれくらいで,要するに何の変哲もない静かで地味な山里なのだけれども,そこがまた私ごとき黄昏人にとっては大変好ましい。だいぶ以前,本多勝一老人@アサヒシンブンの言い草になぞらえて,当地における「田園の聖域」の候補地として勝手ながら挙げさせていただいたこともございます(1997/11/04参照)。南北に延びる枝尾根ひとつ隔てた西側の谷筋には例の「葛葉の泉」と称される著名な湧水スポットがあり,そちらの方は平日・週末を問わず遠方からの来訪者(水汲み人)で大変に賑々しくも騒々しいエリアとなっているが,それとは対象的に静閑なところである。迷いグマだって,やはりそれなりに土地を選びますわな。

 ところで,当地において今般の騒動より前にクマが里地に下りてきて大騒ぎになったのは,私の記憶する限りでは今から8年前,タカシがまだ小学1年生だった頃だ。その時もWebPageに若干の感想を書いておいたのだが(1998/09/14参照),今回もまたあの時のバカバカしい「クマ狩り騒ぎ」が行われるかと思うと実にユーウツな気持ちになる。タマちゃんはOKでクマちゃんはNGなのか? かつて自らの名刺の営業品目に『ゾウリムシからツキノワグマまで』と明記していた零細自営業者としては,この騒動を機にクマを巡るイイカゲンな議論が様々なメディアで再燃するであろうことが耐え難い。少しは礼をわきまえなさい。クマだってニンゲンなんですから!

 で,某日の午後,遅ればせながら現場まで自転車を走らせた(いえ,決して火事場見物という訳ではゴザイマセン)。以下にその時のスナップ写真を何枚か示しておく。携帯電話カメラのため画像が不鮮明なのは御容赦下さい。




自宅から葛葉川に沿って上流方面へ向かうと
やがて 山麓地のノドカな田園風景が広がる



細い道路に沿った川の流れは 中間渓流型(Aa-Bb移行型)を示している



川沿いにはこんな立て看板などもあり



山の南斜面には 茶畑が広がっている



と,その時!
《 クマは新田川右岸上流より歩いて来て 》



《 川沿いのフェンスを下流に向かい 》



《 フェンスを乗り越え,川を横断し左岸沿いの踊り場を歩き 》


《 フェンスを乗り越え水道局菩提配水場方面へ逃げた。 》
ということである。



振り返ると遠くに盆地の中心を望む 山里の静かな午後である



そして市中へと戻れば
 水無川に水量多くして 河畔の緑地は夕陽に染まる






この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 右小指伸筋腱完全皮下断裂 | トップ | ある実験装置,って? »
最新の画像もっと見る

サトヤマ,サトヤマ」カテゴリの最新記事