今年のクマさん達は,なかなかに活動的で。。。 (承前)

2013年01月10日 | サトヤマ,サトヤマ

 昨年11月に「足柄のクマ」についての感想を少しだけ記した。その際, (つづく) としておきながらも,その後 諸々の野暮用が嵩んだりして放ったらかしになってしまった。そうしたら本日,西湘地区で再びクマの出没情報があったとのネット記事が配信されていた。何と真冬のさ中だというのに! 以下,神奈川新聞のカナロコより引用する。

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◆小田原市内でクマ目撃相次ぐ、警戒呼び掛け/小田原

 小田原市内で9日午後から10日午前にかけて、クマの目撃情報が相次いだ。市は現地確認を行うとともに、周辺住民に警戒を呼び掛けている。
 市環境保護課などによると9日午後4時35分ごろ、同市久野の山林で、工事作業員の男性がクマ1頭を見たと、県西地域県政総合センターに連絡。10日午前10時ごろには、同市曽我谷津の弓張の滝付近で、散歩中の男性がクマ1頭を見つけたと市に連絡した。いずれも大きさなどは不明。被害に関する情報は寄せられていないという。 (中略)
 クマの行動などに詳しい県立生命の星・地球博物館(同市入生田)の小坂井千夏学芸員は「通常は冬眠の時期だが、冬眠するための穴を変えるために起き出すことはある」などとし、注意を促している。
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 あれれ,目撃場所は小田原市の久野と曽我谷津ということなのか。それらの場所は酒匂川によって形成された足柄平野を鋏む西側と東側に連なる丘陵山地にそれぞれ位置しており,どちらも私の自転車活動における馴染みのエリアなのであります。とくに曽我地区の方は,この年始早々にも走ったばかりだ。県道72号線の曽我別所あたりからミカン山の急坂農道をヒイコラ登ってゆき,「祐信さんの供養塔」を経由して尾根筋に出たあとは古怒田集落の側に下り,それから中井方面にウネウネと抜けていった。残念ながら?クマさんには出会いませんでしたケレドモ。

 久野地区の方は,林道足柄久野線・熊の木橋付近で目撃されたという。最近では少しばかり御無沙汰しているが,この林道も以前にはMTBでときどき走ったものだ。ヒトっ気がほとんどない静かな所で,逆にケモノっ気はそれなりにありそうな,いい雰囲気の場所だ。

 なおここで野暮なことを一寸言わせてもらうと,曽我谷津・弓張の滝付近におけるクマ目撃情報というのは,多分は「ガセネタ」,おっと失礼「見誤り」ではなかろうかと思う。恐らく,視力の衰えた老人が林中で黒っぽい犬でもチラッと見た,という程度の情報ではないか知らん。それとも大きな黒猫だったかな? あるいはイノシシと見間違えたのかな?

 私事ながら,8年前に事故で死んだ兄貴は今から40年ほど前からその地に住まい,曽我丘陵の一帯を含む県西部で冬場に鉄砲猟をしている人間だった。後年は主たる猟場を足柄から静岡方面に移したようだったが,それでも数十年にわたる野山渉猟歴から,曽我丘陵界隈の地理や自然はかなり熟知していた。いちど一緒にその付近の山を歩いたことがあるが,農道も山道もケモノ道もお構いなしにヒョイヒョイと登ってゆくのである。アンタは渕沢小十郎か!と思いましたね。その兄から,生前,曽我丘陵にクマがいるなんて話は一度も聞いたことがなかった(イノシシについては何度か聞いたことがあったけれども)。江戸時代や明治・大正,あるいは昭和も戦前などの古き時代はさておき,少なくとも昭和40年代以降は当地においてクマの生息が途絶えてしまったことはまず確実だろうと思う。その一方で,動物写真家の宮崎学氏がおっしゃるように,そもそもツキノワグマという雑食性大型哺乳類の行動範囲は非常に広く,しかもまるでサンカ(山窩)のように山から山へとひっそりと移動して生き永らえているので,実際には学者サンたちが推測するよりもずっと数多くのクマが日本列島にはまだまだ生息分布しているはずだ,といった在野のフィールド・ワーカーとしての意見もあるわけで,そこから,ある日ある時,丹沢個体群のうちの1頭が迷子になってフラフラと曽我丘陵の南端までハルバル辿り着くという可能性が皆無であるとは言い切れないだろう。ただし,それはそれで痕跡,写真等の確たる生息情報の裏付けが必要だ。ま,人それぞれにカンチガイというのはよくあることだが,それを,碌すっぽ確認もせず曖昧な判断のもとに市や県の方に急遽通報するっていうのも困ったものだ。また,そのような不確かな情報をそのまま安易に報道記事として広めてしまうマスコミの姿勢もどうかと思う。

 さらに申せば,その件に関してコメントを求められた県立博物館の学芸員女史(クマ専門家)の対応もいささかの問題なしとしない(少なくとも記事になった部分を見る限りにおいては)。本来ならば,取材した無知な記者に対して,まずは,曽我丘陵の方は恐らくクマじゃないでしょう,とハッキリ申し伝えるべきであった。そしてイイカゲンな報道によりイタズラに「クマ騒動」を引き起こそうとする愚を進んでタシナメルべきであった。クマが山中に生息することとクマが人里に出没するととは別問題である。クマに気をつけろ,だって? そりゃ,単に風評被害を広めているだけではないか? クマだってニンゲンだぃ!

 んなわけで,ワタクシとしては曽我谷津のクマ情報がガセネタである方に 800万ペリカ賭けましょう。ウソ800万てなモンで。 つづく (またかぃ!)


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