平御幸(Miyuki.Taira)の鳥瞰図

古代史において夥しい新事実を公開する平御幸(Miyuki.Taira)が、独自の視点を日常に向けたものを書いています。

平御幸のデッサン講座~第10回 パステルと色鉛筆

2012-07-04 14:54:09 | Weblog
 前回は透明水彩の説明をしましたが、色を着ける素材にはパステルや色鉛筆もあります。今回は、それらの使い方を説明します。

 アニメや映画で、ストーリーをラフに描いたものをコンテと言います。コンテは黒や茶色の硬い棒で、線がはっきりと描けるので、曖昧さを回避するラフスケッチに有効なのです。ラフスケッチの段階で迷うようなら、良い作品にはなりません。

 このコンテと似ている素材にパステルがありますが、パステルのほうが柔らかくて、色数も多いし、感触がチョークに似ています。パステル調と俗に言われるように、パステルは色の境目を曖昧にした描き方に向いています。しかし、細かい描写には向いていないので、デッサンを学ぶ初心者には勧められません。



 また、色数が豊富という意味では、色鉛筆もパステル以上に用いられる素材です。しかし、色鉛筆は退色が早く、いつの間にか作品の色が変化している場合があります。日本画の岩絵の具でも紫外線などで退色しますから、本当に退色を心配するなら、天然の宝石・貴石をパウダーにした顔料にするしかありません。明治時代に描かれた油絵も、化学反応で色が変化しています。


ステッドラーの色鉛筆は、描いた上から水と筆で溶かすのが本当の使い方

 パステルが細部描写に向かないという現実。実は、バラを描こうと思ったら画用紙がなく、仕方なく木炭紙にパステルという、無謀なチャレンジをするハメになりました。僕の持っているパステルは特に太くて柔らかくて、線の一本すら正確に引くことはできません。それでも破綻しないように描いたのが一枚目。形を決められないのでこれが限界です。


パステルだけではこれが限界

 それで、色鉛筆を取り出して形を取り直すことにしました。しかし、このステッドラーの色鉛筆は特殊で、水で溶けるという性質があります。固形化した水彩絵の具なので、本当は木炭紙向きではないのです。木炭紙はこすって押し込むのに適し、水彩で使うことはありません。


色鉛筆は柔らかく、鉛筆のような線と細部描写は無理

 それでも、乗りかかった船ですから、柔らかくて細部描写に向かないステッドラー色鉛筆で限界まで挑戦。パステルと併用しながら、三割程度まで完成↑↓。写真では分かり難いのですが、水を入れたポットの重さと質感が出ているので、画面が安定しています。ポット部分のアップを掲載しますが、光源がイーゼルの向こうにあるので画面は暗くなっています。


本物はポットの質感がリアルです

 写真は色の再現性が悪く、細かな線も見えないので、自動補正をかけてみました。このようにコントラストを強くし、彩度を上げれば(色を強くする)、仕事した手数が如実に現れます。色を付けるのなら、やはり透明水彩がよく、デッサンの段階で形をしっかり描いていないと後で苦労します。モチーフと素材の相性など、実際に体験して会得するしかありません。


自動補正をかけたもの

 なお、デッサンは純粋に理科であり科学であるので、理科の成績の良かった人は自然に上達が早いのです。観察して描くのだから、観察力が必要とされる理科と相性が良いのは当然です。

07/06 一部変更
4枚目の画像を変更しました。絵の古い版だったので新しいのに差し替えたのと、実際の色彩に近い補正をかけました。実際の絵は、バラが紫ではなくピンクに近いバラ色です。もっと明るくて淡いのですが、この再現は写真では無理です。

     エフライム工房 平御幸
コメント
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