2007年に教育テレビで放送された地球ドラマチック『ツタンカーメンの謎の宝石』では、ツタンカーメンの胸飾りのスカラベに使われている宝石ペリドットが、サハラ砂漠で起きた隕石衝突によって生成されたという説を紹介しています。
胸飾りのスカラベはカルセドニー(玉髄=瑪瑙や碧玉など)とされてきましたが、砂岩が溶けてできたガラス、宝石名でペリドット(橄欖石~カンラン石)でした。エジプト鉱物資源局のアリー・バラカートによると、このガラスの産地は10世紀の文献に書かれており、カイロから最短で3日の距離です。
このガラスが特殊なのは、極めて高熱の条件下で生成されたガラス特有の、内部の石英に衝撃波によって生じる筋が見つかるということです。ウィーン大学のクリスティアン・ケーベルによると、生成温度は1800度で、火山の溶岩流でも1200度です。地殻変動とは別の要因を探すしかありません。イリジウムやオスミウムなど、地表で見つからない成分も含まれています。これらに当てはまるのは隕石の衝突だけ。
しかし、クレーターがないことが、隕石説の弱点でした。そして、これを説明するのは、8千万本の木がなぎ倒された、1908年のツングースカの大爆発でした。これもクレーターがなかったのです。TNT火薬2000万トンクラスの大爆発。飛鳥氏はエイリアンのUFO爆発としています。
ところが、UFO爆発説から間もなく、隕石衝突で説明できることが証明されました。サンディア国立研究所の物理学者、マーク・ボスロウは、1994年のレビ・シューメーカー第9彗星の木星衝突をシミュレーションし、実際にその通りの結果になりました。隕石は大気による抵抗で、火の玉(プラズマ)を伴う空中爆発するのです。
プラズマといえば核爆発ですが、1945年7月にアメリカのトリニティサイト核実験場で行われた際に、写真撮影班のベン・ベンジャミンは実験後一週間で爆心地に立ち入りました。彼が観たのは、爆心地から半径300mの範囲で一面が緑色にガラス化した砂で、地表の6~7ミリまで溶けていて、氷の上を歩くようにガラスが割れたそうです。爆心地に入ったのに長生きしたのは置いといて。
では、地表の砂をガラスに変成するだけのエネルギーは、どのくらいの隕石の規模で生じるのか?これをボスロウは直径120mの大きさとシミュレーションしています。核実験の10000倍のエネルギーは、1800度の高温プラズマを伴い、高さ70~100kmの火柱を上げ、砂岩に覆われた地表が溶けてガラス化するのです。隕石が直接衝突するより壊滅的だと彼は言います。
カリフォルニア大学の隕石の権威ジョン・ワッソンは、小惑星は脆くて、瓦礫の積み上げたような岩石や砂の集合体であるとし、これが地表に分裂しながら降り注ぐ時に大規模な破壊が起こると考えています。また、このような密度の低い危険な小惑星が、80万年前に東南アジア全域の、タイ、ベトナム、カンボジア、中国南部の広範囲に降り注ぎ、証拠であるガラスが発見されています。この範囲の人類は滅びただろうと…。
番組ではサハラ砂漠の隕石爆発は3000万年前としていますが、これは放射性同位元素の半減期から割り出したもので、このような隕石爆発は防ぐことは出来ないと警告しています。映画のように小惑星を破壊することも、被害を拡大するだけだと断言しています。直径17mのロシアの隕石爆発を見ると、120m規模の隕石の被害は想像を絶しますね。
エフライム工房 平御幸
胸飾りのスカラベはカルセドニー(玉髄=瑪瑙や碧玉など)とされてきましたが、砂岩が溶けてできたガラス、宝石名でペリドット(橄欖石~カンラン石)でした。エジプト鉱物資源局のアリー・バラカートによると、このガラスの産地は10世紀の文献に書かれており、カイロから最短で3日の距離です。
このガラスが特殊なのは、極めて高熱の条件下で生成されたガラス特有の、内部の石英に衝撃波によって生じる筋が見つかるということです。ウィーン大学のクリスティアン・ケーベルによると、生成温度は1800度で、火山の溶岩流でも1200度です。地殻変動とは別の要因を探すしかありません。イリジウムやオスミウムなど、地表で見つからない成分も含まれています。これらに当てはまるのは隕石の衝突だけ。
しかし、クレーターがないことが、隕石説の弱点でした。そして、これを説明するのは、8千万本の木がなぎ倒された、1908年のツングースカの大爆発でした。これもクレーターがなかったのです。TNT火薬2000万トンクラスの大爆発。飛鳥氏はエイリアンのUFO爆発としています。
ところが、UFO爆発説から間もなく、隕石衝突で説明できることが証明されました。サンディア国立研究所の物理学者、マーク・ボスロウは、1994年のレビ・シューメーカー第9彗星の木星衝突をシミュレーションし、実際にその通りの結果になりました。隕石は大気による抵抗で、火の玉(プラズマ)を伴う空中爆発するのです。
プラズマといえば核爆発ですが、1945年7月にアメリカのトリニティサイト核実験場で行われた際に、写真撮影班のベン・ベンジャミンは実験後一週間で爆心地に立ち入りました。彼が観たのは、爆心地から半径300mの範囲で一面が緑色にガラス化した砂で、地表の6~7ミリまで溶けていて、氷の上を歩くようにガラスが割れたそうです。爆心地に入ったのに長生きしたのは置いといて。
では、地表の砂をガラスに変成するだけのエネルギーは、どのくらいの隕石の規模で生じるのか?これをボスロウは直径120mの大きさとシミュレーションしています。核実験の10000倍のエネルギーは、1800度の高温プラズマを伴い、高さ70~100kmの火柱を上げ、砂岩に覆われた地表が溶けてガラス化するのです。隕石が直接衝突するより壊滅的だと彼は言います。
カリフォルニア大学の隕石の権威ジョン・ワッソンは、小惑星は脆くて、瓦礫の積み上げたような岩石や砂の集合体であるとし、これが地表に分裂しながら降り注ぐ時に大規模な破壊が起こると考えています。また、このような密度の低い危険な小惑星が、80万年前に東南アジア全域の、タイ、ベトナム、カンボジア、中国南部の広範囲に降り注ぎ、証拠であるガラスが発見されています。この範囲の人類は滅びただろうと…。
番組ではサハラ砂漠の隕石爆発は3000万年前としていますが、これは放射性同位元素の半減期から割り出したもので、このような隕石爆発は防ぐことは出来ないと警告しています。映画のように小惑星を破壊することも、被害を拡大するだけだと断言しています。直径17mのロシアの隕石爆発を見ると、120m規模の隕石の被害は想像を絶しますね。
エフライム工房 平御幸