オーディオは趣味の世界ですから、妄想的な哲学や間違った常識が跋扈します。その代表が、トランジスタはレンジが広いが冷たく、真空管は中域重視で暖かいという常識です。また、前回述べたハイファイも誤解の一つです。
僕が大学時代にスピーカー工作に目覚めたきっかけは、芸大寮で同室となったトロンボーンのK君の作ったバックロードホーンです。これが、市販品をぶっ飛ばす生き生きとした音だったのです。特に、フルレンジ・ユニットなのに高域が異常に伸びていて、金管楽器が目の前で炸裂するのにビックリしました。この体験以来、僕は経験を重視するようになります。
それである時、NHKの放送局用モニターユニットが捨ててあるので拾ってきました。エッジが破れていましたが、音はちゃんと出ます。高域用のトゥイーターは質が落ちるので、ヤマハのホーントゥイーターJA0506という、知る人ぞ知る名器を繋いでみました。ウーファー帯域が2KHz(キロヘルツ)止まり、トゥイーターは5KHz~20KHzという組み合わせで、中間の2~5KHzが抜けている構成です。しかも、JA0506は能率が極度に良く、ウーファーの4倍も音圧レベルが高いのです。アッテネーター(減衰器)で高域を落としても、絶対に周波数特性がフラットになる訳がありません。昼過ぎから下げ続けた株価が、2時頃から右肩上がりで爆上げしたような周波数特性です。しかし、これが物凄いパフォーマンスを示したのです。
バッハのチェンバロはリアル、リュートは繊細で情感たっぷりに空間に広がり、果てはジャパニーズポップスも生き生きと再生し、ヴォーカルの声のリアルさは格別です。しかも幾ら聴いても全く疲れないのです。もっとも、アンプも自作のFETアンプでしたが。
暫くの間、僕は混乱していました。オーディオの常識が何一つ通用しないからです。それで、超ハイ上がりのこの装置が疲れなかった理由ですが、①放送局モニターのウーファーの磁石が高級なアルニコで歪みが少なかった。②トゥイーターのJA0506もアルニコで歪みが少なかった。③自作アンプのNFB量が小さくて位相が乱れておらず、しかも市販の十倍も高い周波数のメガヘルツ領域まで伸びている。④キンキンと耳障りな中高域(3~5KHz)が偶然にも凹んだ、などが考えられます。
その後、段ボールでバックロードホーンを作ったり、トゥイーターを安物に交換したりして検証した結果、オーディオは高域が命であると結論付けられたのです。アンプやトゥイーターの高域特性が良いと、中域はおろか低域の質まで改善されるのです。中域重視の真空管アンプでは、この高域の伸びは絶対に無理なのです。市販のトランジスタアンプは高域が100KHz~300KHzですから、可聴帯域の20KHzは優に確保しています。しかし、大量のNFBをかけて無理に伸ばした300KHzと、少ないNFBで楽に伸びたメガHzでは質が違うのです。また、メーカーが「有害な高域をカットした」等と宣伝したら、それは高域発振への言い訳です。
でも、高域が命というのと、スピーカーを含めたシステムの周波数が高域まで伸びているというのでは意味が違います。僕が言いたいのは、フルレンジ一発の安物システムの高域限界が18KHzでも、アンプの高域特性が優れていれば良いのです。必ず超高級なトゥイーターを必要とはしないのです。アンプとスピーカーで3~5万円でも、聴いていて疲れない、音楽というより音を聴いて楽しいシステムは構築できるのです。こういうシステムなら、音楽は本当の癒しになり、神の声が聞こえるようになるのです。
オーディオメーカーは、高級品を先に作り、ローコスト製品は差別のために苦労して音を劣化させているのです。ローコスト製品は、音を出さない時は触って冷たいのに、高級品は音が出ていなくても暖かいのはそのためです。その高級品も、何万倍もの増幅能力を無理に数十~数百倍にまで落として特性をきれいに見せているだけの、韓国女性のような整形された音なのですから閉口です。という訳で、次回の「3.スピーカーは楽器」で、手軽なパソコン用のシステムを紹介したいと思います。
僕が大学時代にスピーカー工作に目覚めたきっかけは、芸大寮で同室となったトロンボーンのK君の作ったバックロードホーンです。これが、市販品をぶっ飛ばす生き生きとした音だったのです。特に、フルレンジ・ユニットなのに高域が異常に伸びていて、金管楽器が目の前で炸裂するのにビックリしました。この体験以来、僕は経験を重視するようになります。
それである時、NHKの放送局用モニターユニットが捨ててあるので拾ってきました。エッジが破れていましたが、音はちゃんと出ます。高域用のトゥイーターは質が落ちるので、ヤマハのホーントゥイーターJA0506という、知る人ぞ知る名器を繋いでみました。ウーファー帯域が2KHz(キロヘルツ)止まり、トゥイーターは5KHz~20KHzという組み合わせで、中間の2~5KHzが抜けている構成です。しかも、JA0506は能率が極度に良く、ウーファーの4倍も音圧レベルが高いのです。アッテネーター(減衰器)で高域を落としても、絶対に周波数特性がフラットになる訳がありません。昼過ぎから下げ続けた株価が、2時頃から右肩上がりで爆上げしたような周波数特性です。しかし、これが物凄いパフォーマンスを示したのです。
バッハのチェンバロはリアル、リュートは繊細で情感たっぷりに空間に広がり、果てはジャパニーズポップスも生き生きと再生し、ヴォーカルの声のリアルさは格別です。しかも幾ら聴いても全く疲れないのです。もっとも、アンプも自作のFETアンプでしたが。
暫くの間、僕は混乱していました。オーディオの常識が何一つ通用しないからです。それで、超ハイ上がりのこの装置が疲れなかった理由ですが、①放送局モニターのウーファーの磁石が高級なアルニコで歪みが少なかった。②トゥイーターのJA0506もアルニコで歪みが少なかった。③自作アンプのNFB量が小さくて位相が乱れておらず、しかも市販の十倍も高い周波数のメガヘルツ領域まで伸びている。④キンキンと耳障りな中高域(3~5KHz)が偶然にも凹んだ、などが考えられます。
その後、段ボールでバックロードホーンを作ったり、トゥイーターを安物に交換したりして検証した結果、オーディオは高域が命であると結論付けられたのです。アンプやトゥイーターの高域特性が良いと、中域はおろか低域の質まで改善されるのです。中域重視の真空管アンプでは、この高域の伸びは絶対に無理なのです。市販のトランジスタアンプは高域が100KHz~300KHzですから、可聴帯域の20KHzは優に確保しています。しかし、大量のNFBをかけて無理に伸ばした300KHzと、少ないNFBで楽に伸びたメガHzでは質が違うのです。また、メーカーが「有害な高域をカットした」等と宣伝したら、それは高域発振への言い訳です。
でも、高域が命というのと、スピーカーを含めたシステムの周波数が高域まで伸びているというのでは意味が違います。僕が言いたいのは、フルレンジ一発の安物システムの高域限界が18KHzでも、アンプの高域特性が優れていれば良いのです。必ず超高級なトゥイーターを必要とはしないのです。アンプとスピーカーで3~5万円でも、聴いていて疲れない、音楽というより音を聴いて楽しいシステムは構築できるのです。こういうシステムなら、音楽は本当の癒しになり、神の声が聞こえるようになるのです。
オーディオメーカーは、高級品を先に作り、ローコスト製品は差別のために苦労して音を劣化させているのです。ローコスト製品は、音を出さない時は触って冷たいのに、高級品は音が出ていなくても暖かいのはそのためです。その高級品も、何万倍もの増幅能力を無理に数十~数百倍にまで落として特性をきれいに見せているだけの、韓国女性のような整形された音なのですから閉口です。という訳で、次回の「3.スピーカーは楽器」で、手軽なパソコン用のシステムを紹介したいと思います。
痛んでいるとのことで、ユニットの名誉のために名前を伏せていらっしゃるかとも存じますが、NHKのモニターとは三菱のものでしょうか?高校の音楽教室には何故かそれがあったように記憶しています。アンプはソニーでしたが。
三菱の2SU-208という、鉄板に20㎝ウーファーとトゥイーターが付いたユニットです。新品当時は8万円程度の高級品です(箱入りは一本16万円だったかな)。ちなみに、当時は16㎝フルレンジが一本2500円でした。
バックロードホーンが荒いというのは誤解で超繊細です。バロックはバックロードホーン+ホーントゥイーターでなくては繊細さが出ません。三菱のモニターは能率が高く、大型のバスレフで良い味を出しました。でも、トゥイーターが荒くて、それで損をしていましたね。
フォステクスの一番安いフルレンジも、エッジを取り払ってダンパーも一部カットすると音が生々しくなります。ただし、パワーは全く入りませんから深夜向きです。小音量でも解像力が低下しませんから。どのメーカー製でも、エッジとダンパーで音の4割を殺していますね。