旧約聖書「詩篇」の最後に置かれた150番は、ヘブライ語のハレルヤで始まりますが、キリスト教の典礼では、この詩篇は復活祭の時に必ず歌われます。「宇宙の大栄唱」とも呼ばれるこの詩篇を、ヨッピヒ指揮、「聖グレゴリオの家」の合唱隊の聖歌で聴きましょう。
復活祭のグレゴリオ聖歌 アレルヤ(Alleluja) 詩編150番
復活祭のグレゴリオ聖歌から、アレルヤ 詩編150番です。 演奏は 聖グレゴリオの家聖歌隊 指揮は ゴーデハルト ヨッピヒ 聖グレゴ...
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Alleluja. ハレルヤ
1 Laudate Dominum in sanctis ejus; 聖所で 主を賛美せよ
laudate eum in firmamento virtutis ejus. 大空の砦で 主を賛美せよ
2 Laudate eum in virtutibus ejus; 力強き御業のゆえに 主を賛美せよ
laudate eum secundum multitudinem magnitudinis ejus. 大きな御力のゆえに 主を賛美せよ
3 Laudate eum in sono tubæ; 角笛を吹いて 主を賛美せよ
laudate eum in psalterio et cithara. 琴と竪琴を奏でて 主を賛美せよ
4 Laudate eum in tympano et choro; 太鼓に合わせて踊りながら 主を賛美せよ
laudate eum in chordis et organo. 弦をかき鳴らし笛を吹いて 主を賛美せよ
5 Laudate eum in cymbalis benesonantibus; シンバルを鳴らし 主を賛美せよ
laudate eum in cymbalis jubilationis. シンバルを響かせて 主を賛美せよ
6 Omnis spiritus laudet Dominum! 霊に息吹かれたものが、こぞって主を賛美する!
教父アウグスチヌスの詩編注解によると、第一節の 'in sanctis eius' 「主の聖なる場所」は、地上の「聖所」ではなく、「主キリストに倣って聖とされた人」を指します。エルサレムの第二神殿のように、どれほど豪壮な建造物といえども、人の手で作られたものは滅びを免れません。しかし、キリストという「聖なる場所」において生きる人は、主の死と復活にあずかり、全ての被造物と共に「ハレルヤ」を復活祭で歌うことができます。
この讃歌は、天と地の全ての被造物とともに歌うので「宇宙讃歌」とも呼ばれます。第三節にあるように「角笛の音」が明瞭に響き渡ると、主を賛美する歌が交響唱和します。ここで登場する弦楽器、管楽器、打楽器は、地上の演奏に呼応して天上からも響きわたり、その交響は、朽ちるべき地上の肉体が、もはや朽ちることのない身体に換えられることを示し、詩編を唱える人を祝福している、というのがキリスト教の復活祭の典礼でこの詩篇が歌われる理由になっています。
日本の『典礼聖歌』では、14番と15番が詩篇150からの抜粋です。
(典礼聖歌編集部作詞、髙田三郎作曲によるものを引用します)
答唱:アレルヤ アーレルヤー アレールーヤ
14−1 聖所にいます かみをたたえよ 大空にいます力あるかみをたたえよ
そのわざは不思議 かみをたたえよ その栄光は偉大 かみをたたえよ
14−2 角笛を吹いて かみをたたえよ 琴とたて琴を奏でて かみをたたえよ
鼓と舞をあわせて かみをたたえよ 弦をかなで笛を吹いて かみをたたえよ
15-1 聖所に立って 主をほめよ
その力を表す 大空のもと 主をほめよ
15-2 力ある みわざに向かい 主をほめよ
大空にいます 力ある 主をほめよ
15-3 角笛を 吹き鳴らしつつ 主をほめよ
たて琴の響きにあわせて 主をほめよ
15-4 楽器と コーラスで 主をほめよ
息あるものはみな 主をほめよ
詠唱:栄光は ちちと こと せいれいに
初めのように 今も いつも 世々に アーメン