労基法では周知の方法が決められていますが、労働契約法では・・・!!
平成20年施行の労働契約法7条では、次のような規定があります。
「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。」(労働契約法7条)とされ、
(1)「合理的な労働条件が定められている就業規則」であること
(2)「就業規則を労働者に周知させていた」
という2つの要件が満足していた場合は、就業規則で定める労働条件が労働契約になるとしています。
同様に、就業規則の変更において、原則的には、労使の合意によるものとしながらも(同法8条、9条)、就業規則の変更が合理的なもの(注1)であって、労働者に周知させていた場合は、労働契約の内容である労働条件は、変更後の就業規則に定めるところによるとされています。(同法10条、不利益変更の「合意」の例外) すなわち、就業規則の変更により、それが合理的で、かつ周知させていた場合は、不利益な変更内容であっても、労働者との労働契約を変更することが可能というわけです。
ところで、就業規則の作成や変更の手続きについては、労働基準法で明確に定められているところです。それは、1 使用者の方で就業規則(案)を作成し、2 過半数労働組合または労働者代表の意見を聴収 3 正式な就業規則を決定の上 4 過半数労働組合または労働者代表の意見書を添付して 5 労基署への届け出とともに 6 労働者に対し周知をさせる ことになっているところです。(労基法89条、90条、106条)
この6の労働者への周知は、<1> 常時各作業場のみやすい場所への掲示や備え付け、<2> 書面の労働者への交付、<3> パソコン等の設置となっており(労基法106条)、周知方法が労働基準法では限定されています。
しかし、最初の労働契約法にもどって、「就業規則の内容が労働契約となる場合」の「周知」は、上記<1>、<2>、<3>の労働基準法の周知方法をとっていなくても、何らかの形で実質的に労働者側に周知させておけばよいとされ、「労働契約法7条の周知は、労基法令に定める3方法に限定されるものではなく、実質的に判断されるものであること」(平成20・1・23基発0213004号、なお平成19クリスタル観光バス事件)とされています。
あくまでも一方の要件である合理的な就業規則ということが前提になるものであるが、このように就業規則が周知されていれば、いわゆる法律的な規範としての性質を認められると考えられているところであり、個別の労働者がその会社に就業規則があることを知らなかったり、内容を読んでいなかったりしても、何らかの形で周知されていれば、その会社の就業規則の内容で労働契約を結んだことになります。再度繰り返しますが、「就業規則の内容が、労働契約になる場合の周知」については、実質的に周知の措置が取られている限り、OKとなります。
とはいえ、労働基準法からいえば、3・4段目で紹介したように、就業規則の作成・変更の手続きが明確に規定され、その周知についても、周知の方法は限定されています。周知についても、これに沿った周知をしないと、30万円以下の罰金が科されることになっていますので、労基法に基づいた手続きを行わなければならないのは言うまでもありません。
参考;安西愈著 全改定・労働基準法のポイント(厚有出版)
(注1)ただし、変更の場合は、条文において「労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき」とされ、合理性の具体的判断の条件を明らかにしている。
#####<いつも読んでいただきありがとうございます。>####
平成20年施行の労働契約法7条では、次のような規定があります。
「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。」(労働契約法7条)とされ、
(1)「合理的な労働条件が定められている就業規則」であること
(2)「就業規則を労働者に周知させていた」
という2つの要件が満足していた場合は、就業規則で定める労働条件が労働契約になるとしています。
同様に、就業規則の変更において、原則的には、労使の合意によるものとしながらも(同法8条、9条)、就業規則の変更が合理的なもの(注1)であって、労働者に周知させていた場合は、労働契約の内容である労働条件は、変更後の就業規則に定めるところによるとされています。(同法10条、不利益変更の「合意」の例外) すなわち、就業規則の変更により、それが合理的で、かつ周知させていた場合は、不利益な変更内容であっても、労働者との労働契約を変更することが可能というわけです。
ところで、就業規則の作成や変更の手続きについては、労働基準法で明確に定められているところです。それは、1 使用者の方で就業規則(案)を作成し、2 過半数労働組合または労働者代表の意見を聴収 3 正式な就業規則を決定の上 4 過半数労働組合または労働者代表の意見書を添付して 5 労基署への届け出とともに 6 労働者に対し周知をさせる ことになっているところです。(労基法89条、90条、106条)
この6の労働者への周知は、<1> 常時各作業場のみやすい場所への掲示や備え付け、<2> 書面の労働者への交付、<3> パソコン等の設置となっており(労基法106条)、周知方法が労働基準法では限定されています。
しかし、最初の労働契約法にもどって、「就業規則の内容が労働契約となる場合」の「周知」は、上記<1>、<2>、<3>の労働基準法の周知方法をとっていなくても、何らかの形で実質的に労働者側に周知させておけばよいとされ、「労働契約法7条の周知は、労基法令に定める3方法に限定されるものではなく、実質的に判断されるものであること」(平成20・1・23基発0213004号、なお平成19クリスタル観光バス事件)とされています。
あくまでも一方の要件である合理的な就業規則ということが前提になるものであるが、このように就業規則が周知されていれば、いわゆる法律的な規範としての性質を認められると考えられているところであり、個別の労働者がその会社に就業規則があることを知らなかったり、内容を読んでいなかったりしても、何らかの形で周知されていれば、その会社の就業規則の内容で労働契約を結んだことになります。再度繰り返しますが、「就業規則の内容が、労働契約になる場合の周知」については、実質的に周知の措置が取られている限り、OKとなります。
とはいえ、労働基準法からいえば、3・4段目で紹介したように、就業規則の作成・変更の手続きが明確に規定され、その周知についても、周知の方法は限定されています。周知についても、これに沿った周知をしないと、30万円以下の罰金が科されることになっていますので、労基法に基づいた手続きを行わなければならないのは言うまでもありません。
参考;安西愈著 全改定・労働基準法のポイント(厚有出版)
(注1)ただし、変更の場合は、条文において「労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき」とされ、合理性の具体的判断の条件を明らかにしている。
#####<いつも読んでいただきありがとうございます。>####