元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

労働者の申告制度について(労基法・安衛法)

2011-06-17 05:23:26 | 社会保険労務士
 福島原発事故の「緊急作業時の被ばく限度」とは 
 
 福島第1原発事故で社員が被ばく線量限度超の問題で、厚生労働省は、労働安全衛生法違反で是正勧告をしたとの報道がなされました。なお、緊急作業の被ばく線量の上限は、100mcvですが、厚労省は今回の事故対応に限り250mcvに引き上げられております。
 この労働安全衛生法(略して「安衛法」)ってなんなの?労働省限りで限度を引き上げられるの?調べてみました。
 
 被ばく量限度自体は、安全衛生法に基ずく電離放射線障害防止規則(略して「電離則」)にあります。
  第7条に(緊急作業時における被ばく限度)とあり、100mcvとあります。
 
 安衛法で委任した、厚生労働省の省令である電離則に限度の数値は、定められているので、厚生労働省限りで数値変更は可能となっているのです。
 安衛法の法律の特色として、技術的な問題が多く、状況に応じて対応できるように、政令や省令に委任されているケースが多く見られます。
 
 また、是正勧告は、法令違反に該当する事実を確認した場合に出す行政指導です。法に基づいた行政処分ではありません。だからといって従わないでいいかというと、労働基準監督官には、刑事訴訟法に規定する司法警察官の権限を持っていますので、だからというわけでもないのですが、法律違反の事実を確認したときに行うものですので、事業者はやはり誠実な対応をしていく必要があります。
  
 今回の問題は、全国が注視しているところでもあって、東京電力が自ら公表したのが、立ち入り・是正勧告との端緒となったようです。では、違反があっても、だまっておけば、事業所内でうやむやにすることは、可能なんだろうかという、やましい疑問が出てきます。
 
 そうもできないようです。労働基準法(略して「労基法」)や安衛法では、労働者は労働基準監督署等に違反する事実がある場合は、「申告」をすることができるとあります。しかも、使用者は申告したことを理由として、解雇その他の不利益な取扱をしてはならないとあります。(労基法104条 安衛法97条)
  
 サービス残業の問題もこの申告により、監督署の調査が入ることもあるようです。また、当然ながら定期的な調査が入ることもあります。まずは、違反であると認識したら、経営側は、何らかの処置をしないと、そのことが経営危機に陥る発端となるかもしれないとの認識で、すぐさま事に当たることが必要かもしれません。常に襟を正していくことが、経営者の心がけかもしれませんね。


  

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宮崎労働局でも「いじめ・嫌がらせ」相談が一位。

2011-06-15 04:17:08 | 社会保険労務士
 永松氏の「フォーユー」の生き方とは!! 
 
 労働者と事業者側のトラブル解決を図る「個別労働紛争解決制度」で、宮崎労働局に寄せられた2010年度の相談件数は、前年度より12.7%増え1641件、相談内容別では、「いじめ・嫌がらせ」が361件と最も多く、01年の同制度発足以来、初めてトップになったとあります。この傾向は、全国的なもので、同労働局は、「事業主が教育のつもりでも労働者は威圧的に感じるなど、双方の認識の違いがある。不況下で事業主側に、余裕がなくなっているのか、職場に気配りがないケースが増えつつある」とされています。(宮崎日日新聞6月11日)
 
 人情あふれる宮崎でもついにそんなことになったのかと思いました。職場は、24時間のうち8時間を拘束され、さらに通勤の時間を入れると10時間程度になるかもしれません。実に一日の1/3~1/2を職場等で過ごしています。さらに、その労働の回復を図るために、睡眠時間を含めると、どうなんでしょう。いずれにしても、相当な時間を職場で過ごすことになりますが、その職場で「いじめ・嫌がらせ」に遭い、辞めるにやめられず、単に給料をもらうためにだけの職場になっているとしたら・・・。そんな職場では、活気ある職場とは言えません。(→ところで、宮崎県では、通勤時間の一番多いのが30分以内と聞きます。大都会からすれば、魅力的と思えませんか。)
 
 私も40年近く某地方公共団体の勤めましたが、その間、異動のたびに、いろんなことがありました。ある職場で、仲間からのいじめにも遭いましたが、「職場」がどうかしてくれるかというと、見て見ぬふりをしていると感じました。こんな職場では、活性化なんて生まれません。結局、過ぎ去るのを待つ、異動までじっと耐え忍ぶしかありませんでした。ものの本によれば、異動を待つのも一つの手段であると書いてありましたが、本当のところ、その指摘は正しいものではありましたが、まことに悲しいことではありませんか。
 
 今、永松茂久氏の本「感動の条件」を読み終わりました。永松氏は、大分県の中津市で生まれ、地元でたこ焼き屋「天までとどけ」から始めて、今ではいくつもの繁盛店を出している「経営者」です。

 本当に感動しました。永松氏の言っている「フォーユー」の生き方は、職場だけはなく、家庭でも、友達関係でも応用できるものです。あなたの大切な人のために、その人を幸せにするためには、あなたは命をどう使いますか?とあります。採用面接でも、そんな感じなんだそうです。大事な人のためなら、一番力を発揮する、一生懸命になれる。要約しようとしましたが、すればするほど、永松氏の言っていることからはずれそうなので、まずは、この本を読んでみてください。
 
 職場は、人生の相当時間をそこで過ごします。そうであれば、楽しく過ごそうではありませんか。他の経営者の中からは、神聖な職場をそんな遊び場にされては困るとのお叱りを受けそうですが、楽しくかつ遊び場にもしないのが、この「フォーユー」の生き方ではと感じました。
 
 → 著書;「感動の条件」(永松茂久著)、KKロングセラーズ発行
 


 
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65歳定年の引き上げについて

2011-06-13 05:51:02 | 社会保険労務士
 高年齢者雇用安定法の定年制度等の定めは・・・
 
 厚生労働省の「今後の高年齢雇用に関する研究会」は、6月7日法定の定年を今の60歳から65歳に引き上げることについて、「直ちには困難」との報告書をまとめた。先月には素案で2013年までの引き上げを求めていたが、人件費増となる企業に配慮し、提言を後退させた(毎日新聞)とある。
 
 定年の引き上げになると、60歳時の高い給与でそのまま5年間支払うことは、企業に大きな人件費の負担増となるところも多く、給与の引き下げが可能な「再雇用」などのいわゆる「雇用継続制度の導入」が8割を占め、定年の廃止・引き上げをした企業は、全企業の17%、300人以上の従業員の企業では7%にすぎないようです。(厚労省昨年調査)

 現在の「高年齢者の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)の定めているところを整理すると次のようになります。

 1 定年年齢は、60歳になっている。法で60歳を下回ってはならないとされており、義務化されています。

 2 定年の定めをしている事業主は、65歳までの安定した雇用を確保するため、次の措置を講ずる。
 (1)定年の引き上げ (2)再雇用等の継続雇用制度 (3)定年の定めの廃止
  
 ただし、この雇用する年令の「65歳まで」は、60歳から徐々に引き上げられ、現在は、64歳になっていますが、これも22年4月1日から25年3月31日までとなっており、それ以降は、本文どおり65歳になるということなります。 
 
 現時点の、現在の定めでは、定年等については、64歳までの、(1)(3)の定年引き上げか廃止、又は(2)継続雇用でもよいことになります。
 
 3 なお、継続雇用制度では、希望する者全員を再雇用等することが原則になりますが、労使協定で基準を定めたときは、その基準内での再雇用等でよいことになります。
 中小企業(従業員300人以下)では、今年23年3月31日までは就業規則による基準も認められていましたが、現在では労使の話し合いの上での「労使協定」の締結のみが基準作成の条件となりますので、留意してください。
 
 ところで、私の個人的な問題ですが、今年60歳で定年退職した身としては、今では年金も報酬比例部分しか出ておらず、65歳から定額部分が初めて支給になりますので、何とかこの年金とこの高齢者雇用のはっきりしない、宙ぶらりんの状態をどうかしていただきたいと願うばかりですが・・・。


 


  
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職場の定期健康診断を受けましょう。

2011-06-10 06:04:41 | 社会保険労務士
 実態に合った就業規則をつくりましょう。
 
 の保健関係の部署にいたときは、病院・介護保険事業所等の、設備から医療介護体制までのチェックを行っていましたが、従業員の健康診断もその中に含まれていました。一般的な定期の健康診断については、1年に1回行えばよいのです。(労働安全衛生法66条、労働安全衛生規則44条、以下、安衛法、労安則という)
 
 しかし、病院や介護施設では、入院患者・施設入所者がいるので、職員は深夜業を行うことになりますが、常時、深夜業務を行う場合は、健康診断は6か月に1回ずつ行わなければなりません。これは、例えば、削岩機を使用する身体に振動を与える業務などの有害な業務も6か月に1回となっています。深夜業も、ここでは同様の有害な業務として定められています。このことについては、施設側も心得ていて、この定期検診の期間については、ちゃんと行っていたところが多かったようです。(安衛法66条1項、労安則45条、これを「特定業務従事者の健康診断」として一般健康診断と区別しています。)
 
 問題なのは、就業規則です。一般的な就業規則をそのまま作成しているところもあって「定期検診を1年に1回行う」としているところを、まま見かけました。
 縦割り行政と批判されそうですが、残念ながら、チャックの与えられた権限がそこまでは行えません。気がついたところでは、就業規則の規定がおかしいですよとの口頭注意はしていましたが・・・。
 
 言いたいのは、当たり前のことですが、就業規則も現状に合わせて作成しなければ、ならないということです。実際は、6か月に1回健康診断を実施しているにも関わらず、就業規則では1年に1回となっているのでは、現状にあっていません。あえて職員の中には、健康診断を受けない者もいると聞きますが、実態に合っていないのでは、職員にその義務付けもできません。
 
 就業規則は、労働者の就業上遵守すべき規律や労働条件に関する具体的細則について定めた規則をいいますが、一般的な労働者だけの職場ですとこの就業規則で構いませんが、有害業務を行う職場では、この規定ではいけません。
 
 実際のところ、職場の中に入ってみないと、どんな人がどんな作業をしているかはわかりません。一度、深夜業務はじめ「有害業務」をしている職場では、就業規則にどういう記載がされているか、一度チャックしてみませんか。
   
  
  
 


  
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JST研修のJは「人事院」のJ / えっ社労士も指導者に!

2011-06-08 04:40:29 | 社会保険労務士

JST指導者とは? 
 
 が職員研修所にいた頃、異動になった職員に必ず取得が義務づけられていたものに、JST指導者の取得があります。Jは人事院式の頭文字のJです、続いて、スーパーバイザーリー(監理監督者)のS、トレーニングのTの頭文字をとったものです。人事院だけどうしてか日本語になっていますが、これは、社会保険労務士の試験の教科書には、どこにも出てくる、公務員・一般企業で広く採用されている有名な研修内容なのです。

 一言で言うと、JSTは、MTP(主として課長、係長の中間管理者を対象とするといわれています。ちなみに、Mは、最近巷でよくいわれる、マネージメントのMです。)、TWI(主として生産部門の第一線監督者層を対象とするといわれる。)と並び、「監督者の研修」を行う訓練方法なのですが、その「JSTという研修」を行うための、その「指導者としての研修」(=JST指導者養成研修)を受けなければならないのです。 
 
 東京に1週間ほどの研修に入ってまいりました。日曜をはさんでの研修となり、当時私はジョギングが日課になっていましたので、東京の町を走ってまいりました。 

 JST自体は、小グループで討議を行いながら、その討議結果をまとめながら、最後に用意されたシートで総括するという「監督者研修」の内容なので、その指導者としては、そのまとめ方や講義方法など、また、仕事の管理、部下の育成、コミュニケーション、リーダーシップなどのJSTの内容そのものも覚えなければなりません。身に付いたかといえば、心もとないのですが、今でも、直接・間接的に役に立っていると感じています。
 
 そう言えば、当時、この指導者研修に参加されていた中には、社会保険労務士がいました。実際に、私たち指導者の卵の中で、「疑似の教壇」に立つのですが、その方はすでに非常にうまくてみんなをうならせました。私はといえば、まとめ方がうまくできなくて、指導される方にフォローしてもらったのを覚えています。苦い経験です。そして、なんとか指導者として認定してもらいまして、研修終了後に、人事院事務総長の認定書をいただきました。
 
 
 仕事の一環とはいえ、東京への研修費用を出していただいた県に対しては、今でも感謝に堪えません。


  

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