福島第1原発事故で社員が被ばく線量限度超の問題で、厚生労働省は、労働安全衛生法違反で是正勧告をしたとの報道がなされました。なお、緊急作業の被ばく線量の上限は、100mcvですが、厚労省は今回の事故対応に限り250mcvに引き上げられております。
この労働安全衛生法(略して「安衛法」)ってなんなの?労働省限りで限度を引き上げられるの?調べてみました。
被ばく量限度自体は、安全衛生法に基ずく電離放射線障害防止規則(略して「電離則」)にあります。
第7条に(緊急作業時における被ばく限度)とあり、100mcvとあります。
安衛法で委任した、厚生労働省の省令である電離則に限度の数値は、定められているので、厚生労働省限りで数値変更は可能となっているのです。
安衛法の法律の特色として、技術的な問題が多く、状況に応じて対応できるように、政令や省令に委任されているケースが多く見られます。
また、是正勧告は、法令違反に該当する事実を確認した場合に出す行政指導です。法に基づいた行政処分ではありません。だからといって従わないでいいかというと、労働基準監督官には、刑事訴訟法に規定する司法警察官の権限を持っていますので、だからというわけでもないのですが、法律違反の事実を確認したときに行うものですので、事業者はやはり誠実な対応をしていく必要があります。
今回の問題は、全国が注視しているところでもあって、東京電力が自ら公表したのが、立ち入り・是正勧告との端緒となったようです。では、違反があっても、だまっておけば、事業所内でうやむやにすることは、可能なんだろうかという、やましい疑問が出てきます。
そうもできないようです。労働基準法(略して「労基法」)や安衛法では、労働者は労働基準監督署等に違反する事実がある場合は、「申告」をすることができるとあります。しかも、使用者は申告したことを理由として、解雇その他の不利益な取扱をしてはならないとあります。(労基法104条 安衛法97条)
サービス残業の問題もこの申告により、監督署の調査が入ることもあるようです。また、当然ながら定期的な調査が入ることもあります。まずは、違反であると認識したら、経営側は、何らかの処置をしないと、そのことが経営危機に陥る発端となるかもしれないとの認識で、すぐさま事に当たることが必要かもしれません。常に襟を正していくことが、経営者の心がけかもしれませんね。