元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

口頭だけの雇用契約を言った言わないとならないためには!!

2011-10-12 05:25:29 | 社会保険労務士

「労働条件通知書」を「契約書化」しましょう!!


 わきあいあいの社長も従業員もないような、「おい、お前」みたいな企業では、雇用する際に、面接に来た人に「じゃあ、明日からの仕事は、何時からだから」というようなことで、雇うときの「契約」を結ぶことが多いのではないかと思います。

 二宮和也主演の「フリーター家を買う」ではそんなだったと思っています。ただ、彼の場合は、初めの雇用は、文字どおりフリーターから始まるわけですが、雇用の際の契約であったことには、変わりありません。契約であれば、申し込みと承諾の合致で成り立つものです。働きたい、雇いますということだけで、契約は成立します。

 ただ、どこまでの意思の合致があればいいのかというと、「労働に従事すること」と「報酬を与えること」を約束することにより、雇用の契約は効力を生じるとあります。さらに雇用の契約は、文書にしなければならないというようなことは、規定されていません。結局、最低限では、 口頭で、いくらで働くかの合意があれば良いことになります。(民法623条)

 ですが、労働基準法では、「契約の際に、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働時間を明示しなければならない。この場合、賃金、労働時間等に関する一定の事項では、文書で示す」ことになっており、いわゆる「労働条件通知書」を渡すことになっています。
 
 この労働基準法を守っている、この企業は、「口頭の雇用の契約」を結び、「労働条件通知書」を渡していることになります。しかし、労働条件通知書は、通知書であって、契約書ではありません。ゆえに、労働者は、労働条件通知書は渡されたけど、そんな条件など合意に至っていなかったと言うことだってあり得ます。
 
 労働条件「通知書」を「契約書化」する方法があります。労働条件通知書の最後に、「承諾、同意しました。平成○年○月○日 ××××(氏名)」と記載し、労働者の押印をしてもらえば、簡単に契約書になります。頭に「契約書」という文字は入れる必要などありません。これは、先ほど説明したように、承諾の合意があれば、契約書といえることになります。

 契約書は、口頭の合意のみで済ませているのであれば、なにもなければ問題ありませんが、リスク管理だって思えば、ぜひ試してみる価値はありそうです。一言書いてもらうことで良いのです。
  
 <参考>「今すぐ捨てたい労務管理の誤解48」P36~ 岡本孝則著 幻冬舎発行



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「標準報酬月額」の育児休業終了時改定、いつから適用するかわかりますか?!

2011-10-10 05:36:35 | 社会保険労務士
 

「育児休業終了日の翌日から起算して2月を経過した日の属する月の翌日」とは?!  

年金制度を勉強していて、どうしてもしっくりこなかった部分があります。標準報酬月額の決定として、定時決定から、資格取得時決定、随時改定と出てきて、おもしろいといえば、おもしろいところなんですが、育児休業時終了改定がでてきます。

 簡単に言うと、育児終了した者が3歳未満の子を養育するため、実質給料が落ちた場合、随時改定よりも、緩やかな条件で、たとえ1級だけ標準報酬月額が下がっただけも(随時改定は2級の差がないと認められない)、標準報酬月額の下落を認めるという決定方法です。

 いつの給料が落ちたかというと「育児休業等終了日の翌日が属する以後3月間」に受けた給料となっており、改定された標準報酬月額はいつから適用になるかというと「育児休業終了日の翌日から起算して2月を経過した日の属する月の翌日」からとなっております。

 しっくりこなかったというのは、この表現です、いつの給料が落ちたかの表現については、分かるにしても、いつから適用になるかは、全く分かりづらくいわゆる「法的表現」が使われています。ここは、余談ですが、社会保険労務士の試験のねらい目ともなっている部分です。

 ある本では、簡単に次のように書いてありました。
 「育児休業等を終了した日の翌日の属する月以降3か月間の報酬の平均額にもとづき、4か月目から標準報酬月額が改定されます」とだけ書いてあります。実に簡単でしょ。目からうろこの落ちる思いがしたとは、このことを指すのでしょうか。しっくりきました。3か月の給料に基づいて、その3か月に続く次の月から改定すればいいんですね。 

 ということで、ここからは、本の紹介になります。前述のある本というのは「担当者のための年金実務のすべてがわかる本」(三宅恵子著、日本実業出版社発行)です。この手の「すべてがわかる」というのは、一般につっこみが足りなくて、分かるけど、実務でやっているうちに「わからないことがわからない」ということが多いのですが、担当者のためのという表現があるように、担当者にとって、おさえておかなければならないツボがおさえてあります。すべてというのは、「担当者」の、書類手続きから年金のもらう額等の相談までの「すべて」という意味でしょう。

 私みたいに、年金を国民年金と厚生年金と別々に勉強した者は、頭の中で見事に統合できます。もともと年金をもらうというのは、厚生年金に入ってる人は、同時に基礎年金としての、国民年金からも支給されますので、同時に併行支給されるものです。ぜひ頭の整理をしようという方は読んでみてください。

 もうひとつの特色として、「60歳以上の高齢者を使用するときの年金」として、1章を設けて詳しく書いてありますので、担当者だけでなく該当する、私みたいな「高齢者」(もう高齢者呼ばわりされる身分になったかという気がしますが、法律で呼んでいるところですので、仕方がないですね。)で働かれる方は、ぜひ読んでおくといいですね。会社からもらえる「給料」が分かります。経営者にもこの部分は必見です。高齢者を雇う場合の「最適」の給料の出し方が書いてあります。もちろん、もらう方にとっても、最適の給料の貰い方になります。

 最初に申しましたが、詳しく書けば書くほど、書き方の表現は、法律用語に沿って、難しくなります。そこのところをできるだけ平易な表現にしてあります。

 、著者には、何の面識もありませんし、何ももらっていませんが、本当に会社に備え付けておいても損はない本です。ただし、年金関係は生ものです、特に保険料、年金額等はすぐに変わりますので、今が最新版ですので、古くなってしまったということのないように、買ったらすぐに全体内容をひととおり把握しておいた方がいいですね。


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遅刻者に対する終了時間延長の時間外は?!

2011-10-07 03:43:33 | 社会保険労務士
 

就業時間の変更を就業規則に記載しておけば安心です!!


 ちょっと遅刻してきた職員に、いつもの終了時刻をその遅刻の時間だけ延ばすことは、前回の半日年休の場合と同様に、一日の法定労働時間8時間に足りないわけですから、時間外でもありませんし、もちろん割増賃金を付ける必要はありません。

 ところが就業時間を、例えば「8時間から17時までとする。」(なお12時から13時は休憩)とだけ記載した場合には、17時からは、残業ととらえますので、割増賃金の対象となると誤解されません。

 そこで、こんな就業規則を見かけます。
第○条 交通ストその他やむを得ない事情がある場合又は業務上の必要がある場合は、全部又は一部の従業員について、始業、就業の時刻及び休憩時間を変更することがある。この変更は、所定労働時間の範囲内において行う。(就業規則・諸規定作成マニュアル、森・岩崎共著、日本法令)

 労働時間の「延長」ではなく、労働時間の変更なのです。単に労働時間をずらしただけに過ぎません。こう書いておけば、安心です。

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有給休暇は、労働時間とみなすは、間違い!!

2011-10-03 05:24:10 | 社会保険労務士
 

半日有給休暇後の「残業」の取り扱いは?

 
 よく職場であるケースが、午前中に半日有給をとって、午後から仕事に出かけ、その日に残業することがあります。管理者から言わせれば、何かがあってどうしても休まなければならないのであればともかく、何もないのに休んで残業するとはなんぞやとなりかねません。元総務課長の私からするならば、そういう気持ちは分からないではありません。しかし、本来は、有給休暇は、体を休める時間であり、しかも何の理由も問うべきではありません。
 
一般の職員の残業となる時間、例えば終了時間が午後5時になっている場合に、午後5時からの労働時間について、割増をつけるべきでしょうか。有給休暇の半日の時間をどう見るかです。有給休暇については、通常の賃金(他に平均賃金、健康保険法の標準報酬月額の選択肢がないわけではありませんが、多くの企業では通常の賃金を支払っています。)の支払いをした場合に限り、「通常の出勤をしたものとして取り扱えば足りる」(昭27.9.20基発675号)としているだけです。労働時間とみなすとは書かれておらず、「休暇」ですので、あくまでも労働時間とみなすことはできないものです。

 半日の有給休暇を労働時間としないのであれば、労働時間のスタートは、午後からになります。例えば就業時間の午後1時から5時まで仕事をしたのであれば、この日は単に4時間の仕事をしたことになります。引き続き、午後5時から9時まで4時間の「残業」として、一日で計8時間の仕事をしたとしても、労基法でいう法定労働時間の一日8時間を超えないことになります。ゆえに、割増賃金は加算しなくて良いことになります。時間単価は支払わなければなりませんが、割増賃金は付けなくてもよいのです。

 会社によっては、それを承知の上で、事務手続きが煩わしいという理由から、割増をつけるところも多く見られますが、小規模の事業所であれば、だれがどういう状況であるかは把握しようと思わなくとも把握できるものであり、きちんと管理している以上は、従業員の待遇改善から勘案して支払っているのであれば格別、割増は付けなくてもなんら差し支えありません。  

 就業規則からは、法定労働時間を超過した場合に、割増を加算する旨の一般的な規定があれば、あとは、有給休暇を労働時間としてどうとらえるのかの法解釈の問題ですので、就業規則上もなんら問題はありません。ただし、法定労働時間ではなく、所定労働時間を超えた場合に、割増賃金を支払う旨の規定としている場合は、7時間を一日の所定労働時間としているときには、1時間が割増賃金の対象になるのは、9/26付けでお話ししているところです。

<参考>社長!その残業代払う必要はありません!!(すばる舎、和田栄著)
    就業規則・諸規定作成マニュアル(日本法令p155-157、森・岩崎共著)


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