松山櫨(はぜ)復活奮闘日記

失われてしまった松山櫨の景観を復活させようと奮闘していく日々の記録。

櫨の石鹸プロジェクト その5 最初のかけら

2014-09-13 09:16:22 | 櫨ものがたり
櫨蝋を天日で干して不純物を取り除き精製加工したものを、白蝋といいます。

昔はみやま市、柳川市には多くの白蝋製造者がいて、敷地にズラリと白蝋を干している風景があったそうです。付近を通りかかると、真っ白な白蝋が日の光に当たってキラキラと眩しいくらいやった、そう言われる方もいます。

今はそんな風景はありません。白蝋はわずかな敷地の中で天日干しをされています。

その白蝋をまるは油脂化学(株)の林社長に渡して一ヶ月ほどが経ちました。

その時点では補助金のことは頭になく、櫨の石鹸を目指して少しずつ試作をお願いしていこうという心づもりでした。

ある日、「できたよ、矢野さん」と言われて持ってこられたのが、小さな石鹸のかけら(画像)でした。

一目見ただけで、以前作っていた石鹸に近い物ができてることに驚きました。

「これ…、櫨蝋…だけですよね?」
「うん。櫨蝋100%。現場で苦労したみたいだよ。」

小さな石鹸のかけら。

ここに行き着くまでに何度失敗したことか。
何度やってもガチガチに固まって石鹸になってくれなかったそうです。

普通の企業だったら、たいして発注もしてくれなさそうな相手の商品のために、時間をかけて実験を続けるなんて、コストの問題からあきらめるところです。

そこが、まるは油脂化学が他の企業と違うところでした。

「ウチはどんなモノでも石鹸を作ってきた。あきらめない。」

まるは油脂化学は創業80年。
数え切れないくらい様々な材料を使って石鹸に仕上げてきました。その長い経験が、櫨蝋を石鹸にする道を導き出したのだと思います。

櫨蝋を100%使った石鹸も、必ずできると断言していました。

最初の試作でできあがった、小さな石鹸のかけら。

私も、まるは油脂化学の林社長も、これならできる!と確信しました。

しかし、まだ石鹸に仕上げるには、もう一つ問題がありました。

香りです。

その6につづく

櫨の石鹸プロジェクト
その1はこちら。
その2はこちら。
その3はこちら
その4はこちら