9月初旬、いよいよ最初のかけらをもとに、まるは油脂で櫨の石鹸の次なる試作が始まりました。
画像はまるは油脂で20年の経験がある石鹸マイスターが櫨蝋に水酸化ナトリウムを加えて、湯煎しながら鹸化反応をおこしているところです。
鹸化反応が落ち着いてきた頃、林社長と北尾さんが鍋をのぞき込んでいます。
この画像を見る限り、普通の石鹸の作り方なので、誰が作ってもなんの変哲もないように見えますが、実はここに至るまでが大変だったそうです。
石鹸マイスターに聞いてみました。
私「櫨蝋だけで鹸化させていくって、やはり大変だったんですか。」
石鹸マイスター「他の油脂と同じようなやり方でしていると、すぐにガチガチに固まってしまって。」
他の油だったらこうとか、そんな固定観念を頭からいったん全部外す必要があったと言います。
私「そんなに櫨蝋って他の油脂と違ってたんですか?」
マイスター「はい。全然違いましたね。」
20年の経験があっても、櫨蝋は予想外のシロモノだったそうです。
その櫨蝋の性格を見つけ出すまでが手探り状態でした。
戦中戦後に作られては消えていった悪質な石鹸は、こうした櫨の性格が理解されないままに作られていたからではないかと思われます。
私「見つけ出すための、何かヒントとかはあったんですか?」
マイスター「ずっと前に他の、ちょっと変わったある油脂で作った時の、自分の経験が1つだけ手がかりになりました。」
考えてみると、油脂の種類は動物性・植物性、世界中にいろんな油脂があるので、数えると軽く60を超えます。最近では手に入りにくい鯨油でも少量だけ実験として石鹸を作られたそうです。
林社長は言いました。
「いろんな石鹸を作ったからといって、それがすぐに利益には結びつかない。でもいつも似たような素材で作っていても、そこから進歩しない。外から依頼されたモノは、それが変わったものであればあるほど、次の石鹸に生かすことができるし、なにより勉強になるからね。」
石鹸マイスターは液体の様子を見ながら、しばらく攪拌した後、手袋を外して鍋の石鹸溶液を舐めました。
私がびっくりして息をのむと、林社長が味で石鹸の状態がわかるんだよ、と説明。
水酸化ナトリウムは劇物ですが、鹸化反応によって物質が変わります。その途中の状態をちょっとだけ舐めて確かめるのだそうです。
石鹸づくりの経験が浅いと、鹸化が終わってないままに舐めてしまうため、舌がビリビリと悲鳴をあげるそうで、その苦い経験を繰り返しながら成長していくのだとか。
マイスター「んん。まだもう少しかかりますね。」
時間をかけて鹸化させ、あとは熟成です。熟成が終わって乾燥させた後、この石鹸の匂いに合う特別な香りをつけます。
私「良い石鹸ができそうですか?」
マイスター「まだわかりません。皆目見当がつかない。」
そ、そりゃそうでした。
櫨の石鹸づくりはまだまだ一歩踏み出したばかりなのです。
----------------------------
ただいま試作石鹸が熟成中なので、この石鹸プロジェクトの話もいったん小休止です。
今後の進展はどうなるでしょうね?
櫨蝋で一番良い石鹸を目指すプロジェクト、今後もどうぞお楽しみに!
櫨の石鹸プロジェクト
その1 櫨蝋の使い道 はこちら。
その2 石鹸と零戦 はこちら。
その3 酔狂な試み? はこちら
その4 汚名返上へ はこちら
その5 最初のかけら はこちら
その6 匂いを香りに はこちら
その7 「炭鉱」に込められた香り はこちら
画像はまるは油脂で20年の経験がある石鹸マイスターが櫨蝋に水酸化ナトリウムを加えて、湯煎しながら鹸化反応をおこしているところです。
鹸化反応が落ち着いてきた頃、林社長と北尾さんが鍋をのぞき込んでいます。
この画像を見る限り、普通の石鹸の作り方なので、誰が作ってもなんの変哲もないように見えますが、実はここに至るまでが大変だったそうです。
石鹸マイスターに聞いてみました。
私「櫨蝋だけで鹸化させていくって、やはり大変だったんですか。」
石鹸マイスター「他の油脂と同じようなやり方でしていると、すぐにガチガチに固まってしまって。」
他の油だったらこうとか、そんな固定観念を頭からいったん全部外す必要があったと言います。
私「そんなに櫨蝋って他の油脂と違ってたんですか?」
マイスター「はい。全然違いましたね。」
20年の経験があっても、櫨蝋は予想外のシロモノだったそうです。
その櫨蝋の性格を見つけ出すまでが手探り状態でした。
戦中戦後に作られては消えていった悪質な石鹸は、こうした櫨の性格が理解されないままに作られていたからではないかと思われます。
私「見つけ出すための、何かヒントとかはあったんですか?」
マイスター「ずっと前に他の、ちょっと変わったある油脂で作った時の、自分の経験が1つだけ手がかりになりました。」
考えてみると、油脂の種類は動物性・植物性、世界中にいろんな油脂があるので、数えると軽く60を超えます。最近では手に入りにくい鯨油でも少量だけ実験として石鹸を作られたそうです。
林社長は言いました。
「いろんな石鹸を作ったからといって、それがすぐに利益には結びつかない。でもいつも似たような素材で作っていても、そこから進歩しない。外から依頼されたモノは、それが変わったものであればあるほど、次の石鹸に生かすことができるし、なにより勉強になるからね。」
石鹸マイスターは液体の様子を見ながら、しばらく攪拌した後、手袋を外して鍋の石鹸溶液を舐めました。
私がびっくりして息をのむと、林社長が味で石鹸の状態がわかるんだよ、と説明。
水酸化ナトリウムは劇物ですが、鹸化反応によって物質が変わります。その途中の状態をちょっとだけ舐めて確かめるのだそうです。
石鹸づくりの経験が浅いと、鹸化が終わってないままに舐めてしまうため、舌がビリビリと悲鳴をあげるそうで、その苦い経験を繰り返しながら成長していくのだとか。
マイスター「んん。まだもう少しかかりますね。」
時間をかけて鹸化させ、あとは熟成です。熟成が終わって乾燥させた後、この石鹸の匂いに合う特別な香りをつけます。
私「良い石鹸ができそうですか?」
マイスター「まだわかりません。皆目見当がつかない。」
そ、そりゃそうでした。
櫨の石鹸づくりはまだまだ一歩踏み出したばかりなのです。
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ただいま試作石鹸が熟成中なので、この石鹸プロジェクトの話もいったん小休止です。
今後の進展はどうなるでしょうね?
櫨蝋で一番良い石鹸を目指すプロジェクト、今後もどうぞお楽しみに!
櫨の石鹸プロジェクト
その1 櫨蝋の使い道 はこちら。
その2 石鹸と零戦 はこちら。
その3 酔狂な試み? はこちら
その4 汚名返上へ はこちら
その5 最初のかけら はこちら
その6 匂いを香りに はこちら
その7 「炭鉱」に込められた香り はこちら