縁側でちょっと一杯 in 別府

東京から別府に移住してきました。
のんびり温泉に浸かり、美味しい魚で一杯。
夢に見た生活を楽しんでいます。

TOBに応募するのって大変!

2024-10-08 12:14:28 | お金の話
えーっ、野村證券に口座を作らないとダメなの?
 - 昔は野村に口座を持っていたけど、もうネット証券だけでいいやと4、5年前に解約したのに・・・。
おーっ、NISA口座で保有している場合は課税口座への振替が必要だって?
 - 面倒くさいし、時間が掛かりそう・・・。
うーん、これは市場で売るしかないか。
 - 初めてだし、面白そうだからTOBに応募したかったのに・・・。

 新NISAでの投資先として、予て伊藤忠によるTOB(株式公開買い付け)の噂がある(株)デサントの株式を100株買った。そもそも噂だけで実際にTOBがあるかどうかは分からないが、NISAで配当金に税金が掛からないこともあり、実現を夢見つつ気長に待つつもり。が、思いのほか、その日は早くやって来た。
 8月5日、伊藤忠がデサントにTOBを実施し、完全子会社化する旨発表したのである。株価は4,350円。過去6ヶ月の終値平均に対し25%強のプレミアムを加えた金額である(もっとも年初は株価が高く、僕の場合、そこまでのプレミアムはなかった)。

 TOBについての知識はあるつもりだが、実際に対象会社の株主というのは初めて。TOBは海外での手続きの関係で11月上旬頃までに開始予定とのこと。のんびり待とう。株主として住所は登録してあるのだから、郵送で必要書類等が送られてくるのだろう。
 ところが、これは大きな誤解、間違いだった。書類は何も送られて来ない。TOBは自ら情報収集し、判断しなくてはならない。そして僕は9月30日の伊藤忠の発表を見落としていた。TOBを10月1日に開始するとの発表があったのである。

 僕は1週間遅れでこの事実を知った。たまたま取引証券からの10月1日付けメッセージを見たのである。いつもはアプリを開いても株価ばかりでメッセージはほとんど見ないが、このときは偶然開いた。ラッキーだった。で、冒頭の状況に。
 TOBは10月29日までであるが、それまでに公開買付代理人である野村證券に口座を開き、デサント株式を移管し、TOBへの応募申込書を提出する必要がある。事前にデサント株式をNISA口座から課税口座に振り替える必要もある。頑張れば間に合わないことはないが、やはり面倒だ。もう市場で株を売ってしまおう。4,350円で売れれば同じだし、その方が全然楽だ。

 なんと株は公開買付価格を上回る4,355円で売却できた。この期に及んで公開買付価格より高く買う人がいるとは驚き。対抗TOB等で価格がつり上がるケースもあるが、本件は伊藤忠による買収が既に決まったも同然。価格が引き上げられることはないだろう。とするとTOB終了後に伊藤忠がスクイーズアウト(少数株主の株式を強制的に買い取る)する際に(あるいはその前に相対で取引?)、利益が得られると考えているのだろうか。株を集めた方がその可能性は高まるのだろう。いずれにしろ素人は手を出さない方が良いに違いない。

 結論。TOBは、自らの取引証券が公開買付代理人であるか否かを問わず、市場で売るのが一番。対抗TOBをする先がないか等状況を見ながら、公開買付価格以上で株を売却できれば御の字だ(因みにデサントの場合もTOB発表後株価が4,445円まで上がったときがあった)。

「別府八湯アンバサダー」をご存じですか?

2024-10-04 23:00:20 | 別府の話
 「別府八湯アンバサダー」について話す前に、そもそも「別府八湯ってなに?」という方のために説明を。
 “別府八湯”とは、別府市内にある八つの温泉(浜脇、別府、亀川、鉄輪、観海寺、堀田、柴石、明礬)を総称したものです。別府はご存じの通り、源泉数、湧出量とも日本一の温泉の町。市内には泉質や歴史、街の趣などに違いのある温泉がなんと八つもあるのです(詳しくは『別府良いとこ 八度はおいで(?)- 別府八湯の話』をご覧下さい)。

 で、「別府八湯アンバサダー」ですが、これは別府八湯を自分の足で周り、その地域を自分で案内できる知識を持った人材を育成するための資格です。それも昨年作られた新しい資格。新しく資格を作った背景には、日本一の温泉地別府でも温泉に興味がなく、別府にどのような温泉があるのか知らない、泉質による温泉の効能の違いすら分からない人が多いとの問題意識がありました。哀しいかなホテルや旅館のスタッフですら状況は変わりません。まったく残念なことです。せっかく来た観光客の方に別府八湯の魅力を知って欲しい、もっと別府八湯を楽しんでもらいたい。そのためには、まず別府八湯を理解し、その良さを説明できる人間が必要だと「別府八湯アンバサダー」は創設されたのでした。
 「NPO法人別府温泉地球博物館」が、別府市の支援の下、「別府八湯アンバサダー」の認定等を行っています。資格は、簡単な温泉知識の学科試験(e-ラーニング)と別府八湯の地獄ハイキングコース1つへの参加で取得できます。つまり、3時間の勉強と2時間程度のハイキングに参加するだけであなたも「別府八湯アンバサダー」です。費用は5,000円しか掛かりません。

 ところが、あなたに今だけのお得な情報があります。というとテレビショッピングの宣伝のようですが、これは本当にお得です。費用が掛からないどころか市営温泉の無料入浴券(8カ所分)までもらえるのです。その手順は以下のとおりです。
 ①  「別府八湯アンバサダー養成講座」を受講(別府八湯の泉質、歴史、特徴等に関する1時間の講義)
 ② 市営温泉8カ所(10カ所ある対象施設から選ぶ)に入浴し、スタンプを8つ集める
 ③ 別府市観光協会にて「別府八湯アンバサダー」の認定を受ける
 さらに先着100名様には(というとさらにテレビショッピングっぽいですが)、記念品(ステキな温泉マイスターのTシャツ)まで贈呈されます。
 私も一昨日「別府八湯アンバサダー」の認定を受けTシャツを頂きました。まだTシャツは充分残っていましたが、お早めに講座を受講することをお勧めします。残る講座は、
 10月 6日(日)13時~14時30分 熱の湯(鉄輪温泉)
 10月19日(土)15時~16時 海門寺温泉(別府温泉)
 11月 4日(月・祝)13時30分~14時30分 末広温泉(別府温泉)
 11月13日(水)13時30分~14時30分 柴石温泉(柴石温泉)
の4回となっています。

 私は“一宿一飯”ならぬ“八湯(入浴)一T(シャツ)”の義理もあって書いていますが、温泉の知識が習得でき、なおかつタダで温泉巡りができる、またとない機会であることに違いはありません。別府市内、あるいは大分県内の方、さらには別府愛や温泉愛の強い方は奮ってご参加の程!

【移住の話】健康で文化的なそこそこの生活? その3

2024-09-05 17:00:44 | 別府の話
 移住に不安を感じる方のため実際に移住した人間が(まだ若葉マークですが)地方での暮らしを紹介するシリーズの3回目。

 まずは前回予告した『別府アルゲリッチ音楽祭』の話から。
 別府では1998年より別府アルゲリッチ音楽祭が開かれている。地方創生、町おこしイベントの走り、成功例の一つである。日本のオーケストラすら滅多に来ないクラシック辺境の地・別府に、世界的なピアニストであるマルタ・アルゲリッチが毎年やって来るのである。当時の別府市長がダメ元で大分に来たアルゲリッチにオファーしたのが始まりというから世の中何が起こるか分からない。おかげで我々別府市民は毎年アルゲリッチの演奏や一連のコンサートを聴くことができる。
 因みに私は音楽祭でアルゲリッチとクレーメル(ヴァイオリン)、鈴木愛美(ピアノ)、遠藤真理(チェロ)と實川風(ピアノ)、の3つのコンサートに行った。最後の遠藤・實川のコンサートは大分市の平和市民公園能楽堂で行われた。この能楽堂は渋谷のセルリアンタワー能楽堂より一回り大きい。なぜ地方にこんな立派な能楽堂があるのかまったく不思議である。田舎ではあるが大分も捨てたものではない。

 次に演劇の話。某サイトで別府だけではなく大分県全体で今買うことのできる演劇のチケットを調べてみた。なんと6件しかない(期間は11月末くらいまで)。もちろん全国向けのサイトを使わない公演もあると思うが、いずれにしろ絶対数が少ないことに変わりはないだろう。
 地元限定という意味では『別府市民劇場』という会員制の演劇鑑賞団体がある。この組織は別府に限らず多くの地方都市にある(例えば九州では17都市)。前進座、俳優座、文学座など新劇の劇団を主に2ヶ月に1度公演が行われている。劇団にとっては全国の市民劇場での公演が収入の安定化に繋がり、一方地方の住民にとっては東京などに行かなくても生の舞台を見ることができ、いわばwin-winの関係である。ただ新劇が対象なので、劇団☆新感線やキャラメルボックスは別府には来ない。宝塚も来ない。
 ところが、大手の人気劇団の中で『劇団四季』は毎年大分にやって来る。さすがは劇団四季、北は北海道から南は九州まで全国公演を行っているのである。今年は「ジーザス・クライスト=スーパースター」。公演が楽しみだ。

 前回書いたクラシックも今回の演劇も、確かに別府での公演は少ない。東京と比べれば、二桁、三桁どころではなく四桁(五桁?)は少ない数だろう。しかし、東京にいたときクラシックや演劇の公演に頻繁に行っていたわけではない。読売日響の会員だったので月に一度は聴きに行っていたが、他にはクラシック、演劇合わせ年に2、3回行くかどうか。多くの選択肢がある中、探すのが面倒、予約が大変、あるいはいつでも行けるという安心感などがその理由だろう。
 一方、別府に来てからは選択肢が少ないため情報が簡単に手に入り、面白そうと思ったら皆行くようになった。このため、大分、佐伯、北九州など近隣の都市も含め、公演に行く回数は東京にいたときより増えている。だから移住を考える皆さんもご安心を。毎週のようにクラシックや演劇を見ていた方は別として、普通にクラシックや演劇の好きな方であれば地方に移住して困ることはない。地方でもそれなりに(そこそこ?)楽しむことができる。

【移住の話】健康で文化的なそこそこの生活? その2

2024-08-29 21:36:06 | 別府の話
 前回の移住して“健康的”に暮らせるかの話(「健康で文化的なそこそこの生活? その1」)に続き、今回は“文化的”な生活ができるかという話。

 東京で当たり前のようにできたことが、田舎ではできないことが多い。田舎では選択肢がガクッと減ったり、そもそも存在しないこともある。

 例えば、映画館。別府に映画館は2つしかない。一つは以前ブログに書いた別府ブルーバード劇場(2018年10月20日「別府ブルーバード劇場に行こう!」)。そしてもう一つは成人映画館。今時珍しいが、さすがは温泉地である。
 もっともお隣の大分市に行けば(電車で15分程度)、シネコンが3つあるし、ミニシアターも2つある。このため大手映画会社のロードショーを見るには問題ないし、ミニシアター系の映画も、時期が遅れることは多いが、それなりに見ることはできる。因みに最近見た映画『猫と私と、もう1人のネコ』は東京での封切りは3月22日だったが、別府ブルーバードは7月26日からと4ヶ月遅れ。これが、地域で多少の差はあるにしろ、地方都市の映画館事情である。

 続いて、私の趣味で申し訳ないが、クラシック音楽の話。
 別府は勿論、大分県を見てもプロのオーケストラはない。日本オーケストラ連盟には27のオーケストラが加盟しているが、九州は九州交響楽団(福岡市)だけ。その九響だが、大分県には数年に一度しか来ない。福岡市を中心とした福岡都市圏の人口は260万人というが、おそらく福岡市でも演奏会の集客は厳しいだろう。まして県全体で100万人しかいない大分など論外である。よっぽどのスポンサーが付くか、ベートーベンの第9など万人受けするプログラムでない限り、演奏会をやっても人が集まらずペイしない。これはNHK交響楽団、読売日本交響楽団、東京都交響楽団のいわゆるオーケストラ御三家でも同じ。哀しいかな、これがオーケストラを巡る地方の現実である。地方で生のオーケストラの音を聴くのは極めて難しい。

 ところが、唯一、こんな大分に毎年やって来るオーケストラがある。日本フィルハーモニー交響楽団である。なんと1975年に九州公演を開始し来年で50周年。今年は2週間で福岡から鹿児島まで9都市を回っている。
 知らなかったが、日フィルの九州公演は地元企業の支援のほか、公演を行う各都市の市民の方がボランティアとして協力している。地元の方が演奏会の企画・運営にも携わる等、地方ならではというか、東京では見られないユニークな体制となっている。地元が資金的にも人的にも支援しているのである。だからこそ地方での公演が可能なのだろう。おかげで年1回は確実にオーケストラの生の演奏を聴くことができる。クラシック・ファンは高齢者が多く将来に一抹の不安はあるが、これからもずっと続いて欲しい。

 そして、オーケストラではないが、別府には世界に誇るクラシックのイベントがある。皆さまご存じ、『別府アルゲリッチ音楽祭』である。申し訳ないが、話が長くなりそうなのでこれは次回に。




【移住の話】健康で文化的なそこそこの生活? その1

2024-07-25 21:26:09 | 別府の話
 移住に興味があるものの、新しい土地での生活に不安を感じ、なかなか踏み出せない方が多いと思う。田舎の生活は退屈に違いない、田舎には仕事がない、濃密な人間関係に疲れそう、子供の良い学校はあるのか、そもそも地下鉄のない所には住めない等々、確かに考えれば不安の種は尽きない。
 東京から別府に移住して1年にも満たない私であるが、そうした方の何かの参考になればと私の経験をお話したい。
 憲法第25条第1項で「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と規定されている。いわゆる生存権である。この“健康”と“文化的”について別府の生活を考えてみたい。

 まず“健康”について。
 健康を支えるものといえば、やはり食べ物。その点別府は山海の幸に恵まれており、食生活は都会よりはるかに豊かだ。JAの直売所はあるし、ほとんどのスーパーに産直コーナーがあり、いつでも新鮮な野菜が簡単に手に入る。魚といえば関アジ・関サバ、そして城下カレイに臼杵のフグ。残念ながらこうしたブランド魚は高くてなかなか手が出ないが、普通の魚も十分美味しい。おまけに安い。肉は豊後牛が有名であるが、同じく食べる機会は少ない。しかし大分県(大分市)は鶏肉購入額で全国1位、鶏肉が安くて旨い。豚肉は、産直で買う、お隣り日出町の「日出ポーク」(これも安くて旨い)が我が家の御用達。全国広しといえどもこれだけ食材に恵まれている県は珍しい。

 そして温泉。ご存じの通り、別府は源泉数、湧出量ともに日本一。美味しいものを食べ、温泉で癒やされる。これで健康に暮らせないわけがない。さらに万一病気になっても別府は病院が多いので安心だ(温泉と病院について詳しくは『猫も歩けば温泉にあたる(2024/7/7))』をご覧下さい)。最先端の先進医療を受けるのは難しいかもしれないが、大抵の場合そこまでは必要ないだろう。

 もっともプラス材料ばかりではない。別府では運動不足になりやすい。
 そもそも別府市民(というか田舎全般に当てはまると思うが)は歩かない。東京だと電車で通勤・通学するだけで毎日結構歩く。一方、電車やバスが1時間に1本や2本しかない別府の移動は車が基本。おそらく一日1,000歩、2,000歩しか歩かない人も多いことだろう。また山の近い別府は坂道が多く、自転車も電動アシストの比率が高い。これでは自転車もあまり運動にならない。よって、別府では健康のためには自ら意識して運動しなくてはいけない(因みに、私は意識して歩き、自転車は自らの力で漕ぎ、そして筋トレをし、別府に来てから3kg痩せた)。

 もう一つ健康に関して重要なのはストレス。仕事や家庭のストレスはさておき、地元での人間関係のストレスについて。
 よく田舎では近所の人が突然家にやって来る・上がり込む、毎回町内会の行事に出ないといけない、消防団にかり出される等々、ご近所付き合いが極めて大変、気が狂いそうといった話(噂?)を聞く。
 別府はどうかというと、まったくそんなことはない。私は東京でも別府でもマンション住まいであるが、別府での近所との関係は東京ほどドライではない。かといってべったりでもない。東京から来た人間でも気にならない距離感である。これは、田舎といっても別府は人口11万人の町であること、元々移住者の多い町であること(実際周りには東京、大阪、福岡などからの移住者がいる)、別府が観光の町であること(よそ者にやさしい?)等が理由だと思う。但し、同じ別府市内でも鉄輪は人間関係が濃いと言われており、そこは若干事情が違うかも知れない。
 こうした話は実際に地元の方に聞かないと分からない。よって移住を決める前に現地に足繁く通うのが良い。私もこの10年は年に1,2度別府に来ていたし(初めはただの観光だったが)、家探しには2年近い時間を掛けた。

 長くなったので “文化的” については次回に。あしからず。