この夏、韓国と台湾に旅行に行った。両方とも3連休を使った2泊3日の短い旅である。仕事が死ぬほど忙しいと言ってたのに何故と言われそうだが、ともにマイレージを使ったもので1年前から予約していた。せっかくのチケットを無駄にするわけにはいかない。往きの飛行機で初めてガイドブックを開き、ホテルの場所と行き方を確認し、そして見るところや食べるところを探す、そんな旅だった。
韓国に行くのは3回目。ただ、前の2回は知り合いに案内されての旅だったので、自ら歩くのはこれが初めてである。もう一方の台湾は初めて。中国には何回も行ったし、香港やマカオにも行ったことはあるが、台湾はこれが最初だった。
韓国と台湾、どちらが好きかと聞かれれば、迷うことなく、僕は台湾を選ぶ。韓流ブームにはまっているおばさんには理解できないかもしれないが、僕はこの二つの国では台湾が好きだ。民族性、国の歴史、対日感情など、様々な理由があると思うが、僕は台湾の方が落ち着く、居心地が良かった。
台湾の選挙や議会等で、大勢がつかみあいの喧嘩をしているシーンをよくニュースで見る。そのせいか、台湾の人は血の気が多い、興奮しやすい人が多いのかな、と思っていたが、実際行って見たらまったく違う。皆、とても大らかな感じがした。同じ中国人といっても中国本土の人とは違うし、香港の人とも違う。あくせくした感じというか、中国人に多い“われ先に”的な感じがしない。
韓国と台湾は、戦前、ともに日本の植民地だった。日本は、電気・水道・交通などのインフラ整備や教育の普及など、両国の近代化に尽力した。日本による近代化がなければ、両国の経済発展の進捗は今より遅れていたとも言われている。多くの台湾人は素直にその日本の貢献を有難いと考えているが、韓国人はその事実を知らない、あるいは無視している人が多いようだ。これは戦後の教育など両国政府の方針・政治的理由に拠るところが大きいのであろうが、両国の歴史の違いもあると思う。
過去、韓国は独立国家であったのに対し、台湾は中国やオランダ、スペイン等の植民地であった。韓国は中国の影響が極めて大きかったとはいえ、一応は独立した国である。よって他国に支配されるというのは大きな屈辱であったに違いない。まして、その相手が日本ときた。歴史的に、韓国は日本を見下していた。学問にしろ文化にしろ、韓国が日本に伝えた、教えてきた、というのが韓国側の意識である。いわば日本は韓国の弟子。そんな日本が師である韓国を支配するなど彼らにとっては言語道断である。
一方、台湾にしてみると、日本の統治は、単に統治者、支配者が変わった程度の意味しかなかったのだと思う。実際、戦後、本省人(日本の統治前から台湾に住む人)の間では、外省人(戦後、国民党政府が支配した後、台湾に渡ってきた人)より日本人の方が良かった、と昔を懐かしむ声が多かったそうだ。日本の近代化により、当時の台湾は中国本土より豊かで教育水準も高かった。権力を笠に搾取を図る国民党政府より、日本の方がまだましに見えたのである。
勿論、こうした歴史の違いに加え、日本の統治のやり方も韓国、台湾で多少違っていたかもしれない。わが国の統治は、韓国は陸軍、台湾は海軍がメインであったが、一般に海軍の方が進歩的というかリベラルと考えられるからだ。
しかし、ここで韓国をけしからんと日本人は言えるのだろうか。「そもそも韓国は~」と言う前に、どれだけ韓国のことを知っていると言うのだろうか。
今日のタイトル『隣の国で考えたこと』というのは、外交官として韓国に赴任されていた岡崎久彦氏の著書から頂いたものである。30年前の本であるが、今も色褪せていない(たぶん)、名著である。この本を読み、人のことを非難する前に自らの無知を知るべきだと思う。かくいう私も、これを機に読み返すことにしたい。
韓国に行くのは3回目。ただ、前の2回は知り合いに案内されての旅だったので、自ら歩くのはこれが初めてである。もう一方の台湾は初めて。中国には何回も行ったし、香港やマカオにも行ったことはあるが、台湾はこれが最初だった。
韓国と台湾、どちらが好きかと聞かれれば、迷うことなく、僕は台湾を選ぶ。韓流ブームにはまっているおばさんには理解できないかもしれないが、僕はこの二つの国では台湾が好きだ。民族性、国の歴史、対日感情など、様々な理由があると思うが、僕は台湾の方が落ち着く、居心地が良かった。
台湾の選挙や議会等で、大勢がつかみあいの喧嘩をしているシーンをよくニュースで見る。そのせいか、台湾の人は血の気が多い、興奮しやすい人が多いのかな、と思っていたが、実際行って見たらまったく違う。皆、とても大らかな感じがした。同じ中国人といっても中国本土の人とは違うし、香港の人とも違う。あくせくした感じというか、中国人に多い“われ先に”的な感じがしない。
韓国と台湾は、戦前、ともに日本の植民地だった。日本は、電気・水道・交通などのインフラ整備や教育の普及など、両国の近代化に尽力した。日本による近代化がなければ、両国の経済発展の進捗は今より遅れていたとも言われている。多くの台湾人は素直にその日本の貢献を有難いと考えているが、韓国人はその事実を知らない、あるいは無視している人が多いようだ。これは戦後の教育など両国政府の方針・政治的理由に拠るところが大きいのであろうが、両国の歴史の違いもあると思う。
過去、韓国は独立国家であったのに対し、台湾は中国やオランダ、スペイン等の植民地であった。韓国は中国の影響が極めて大きかったとはいえ、一応は独立した国である。よって他国に支配されるというのは大きな屈辱であったに違いない。まして、その相手が日本ときた。歴史的に、韓国は日本を見下していた。学問にしろ文化にしろ、韓国が日本に伝えた、教えてきた、というのが韓国側の意識である。いわば日本は韓国の弟子。そんな日本が師である韓国を支配するなど彼らにとっては言語道断である。
一方、台湾にしてみると、日本の統治は、単に統治者、支配者が変わった程度の意味しかなかったのだと思う。実際、戦後、本省人(日本の統治前から台湾に住む人)の間では、外省人(戦後、国民党政府が支配した後、台湾に渡ってきた人)より日本人の方が良かった、と昔を懐かしむ声が多かったそうだ。日本の近代化により、当時の台湾は中国本土より豊かで教育水準も高かった。権力を笠に搾取を図る国民党政府より、日本の方がまだましに見えたのである。
勿論、こうした歴史の違いに加え、日本の統治のやり方も韓国、台湾で多少違っていたかもしれない。わが国の統治は、韓国は陸軍、台湾は海軍がメインであったが、一般に海軍の方が進歩的というかリベラルと考えられるからだ。
しかし、ここで韓国をけしからんと日本人は言えるのだろうか。「そもそも韓国は~」と言う前に、どれだけ韓国のことを知っていると言うのだろうか。
今日のタイトル『隣の国で考えたこと』というのは、外交官として韓国に赴任されていた岡崎久彦氏の著書から頂いたものである。30年前の本であるが、今も色褪せていない(たぶん)、名著である。この本を読み、人のことを非難する前に自らの無知を知るべきだと思う。かくいう私も、これを機に読み返すことにしたい。