縁側でちょっと一杯 in 別府

東京から別府に移住してきました。
のんびり温泉に浸かり、美味しい魚で一杯。
夢に見た生活を楽しんでいます。

1泊3湯、北海道(その2)

2008-03-02 15:47:17 | もう一度行きたい
 登別温泉からタクシーで虎杖浜温泉、『アヨロ温泉旅館』へと向かった。15分も掛からなかっただろうか、以外に近い。
 アヨロはインターネットで調べたところ、なかなか評判の良い“湯”だった。タクシーの運転手さんも「アヨロは良い湯だね。僕もいつも入りに行ってるよ。」よしよし、僕の目に狂いはない。が、そこに運転手さんの一言、「えっ、アヨロに泊まる?あそこ、泊まれるのかな?」一抹の不安が僕の心をよぎる。そして宿を見た途端、その不安は確信に変わった・・・。

 『アヨロ温泉旅館』は、上品に言えば素朴でレトロな雰囲気、つまり、早い話、古くてぼろかった。入ってすぐのホールには海産物などの土産物が並び、その奥には畳敷きの休憩場がある。田舎の、鄙びたヘルスセンターのようである。
 「ヘルスセンター」と言っても最近は通じないかもしれないが、簡単に言えば昭和のスーパー銭湯である。お風呂(温泉?)を中心としたレジャー施設で、歌や劇など催し物も行われていた。昭和30年代から40年代がその最盛期だと思うが、いやあ、昔のまま残っていたんですね、というのが正にここ、アヨロだった。
 おまけに順序が悪かった。なにせ、こちとら綺麗で落ち着いた佇まいの「はなや」さんから出てきたばかりである。その落差がはなはだしい。部屋の中を説明する宿の人が、「こっちはお風呂ですが今は使っていません。」と言ってドアノブを回したら、ノブがぽろっと取れてしまった。妻はぼろい宿も結構平気な方だが、このときばかりは二人で顔を見合わせ、言葉を失った。

 さて、気を取り直すべく、お風呂へ。お風呂は予想以上に良かった。少し熱めの食塩泉。湯量が豊富で浴槽はすべて源泉掛け流し。熱めと普通の二つの浴槽のほかに寝湯があり、又、掛け湯にも温泉を使っている。湯はアルカリ性でヌルヌルしている。色は透明で、若干黄色というか緑色がかっている。さっぱりした感じであるが、それでいて温まる。僕が今までに入った温泉の中で五本の指に入るであろう。本当に良い温泉だった。
 日帰り入浴もやっていて(というか、そちらがメインのようである)ご近所の人で結構混んでいた。一種、地元の社交場のようなものであろう。顔見知り同士で話が弾んでいる。

 食事も良かった。虎杖浜は毛蟹とたらこが有名である。一人に一杯、その毛蟹が出てきた。虎杖浜は夏の1ヶ月間しか毛蟹漁が解禁されておらず、残念ながら、この蟹は冷凍物である。が、小ぶりながらも身が引き締まっており、味が濃厚でとても美味だった。
 “ボロは着てても心は錦”ではないが、ボロい建物でもお湯と食事が良く、おまけに料金が安い。勇気と冒険心、好奇心に自信のある方、そして和式トイレを苦にしない方は、是非一度『アヨロ温泉旅館』に挑戦されては如何だろうか(まあ、日帰り入浴で十分な気が・・・・)。

 そうそう、宿泊者の特典として、宿泊者は深夜フレッシュな温泉を独り占めできる。ここは毎晩お湯を抜いて掃除しており、だいたい夜中の2時か3時くらいに新しいお湯が入るそうだ。お風呂に入りたい気持ちと眠気と、どちらが勝つか。人に依っては特典と言いつつ、まったく意味がない可能性もある。悪しからず(因みに、僕は夜中に起きて入りました。)