縁側でちょっと一杯 in 別府

東京から別府に移住してきました。
のんびり温泉に浸かり、美味しい魚で一杯。
夢に見た生活を楽しんでいます。

花火を見ながら ~ 大原麗子さんに捧ぐ

2009-08-17 23:09:28 | 最近思うこと
 今月は何かおかしい。各地で台風による大雨が続くかと思えば、11日には静岡沖で大きな地震があった。その2日前には東京で震度4の地震があったばかりである。この世の終わり? どこかそんな感じさえしてしまう。以前「ノストラダムスの大予言」が一世を風靡したが、それが10年遅れでやって来たとでも言うのだろうか。
 一方、テレビのワイドショーはというと、もう酒井法子の話題で持ちきり。僕はノリピー世代ではないので、さして関心はないが、否応なしにノリピー通になってしまった。

 が、しかし、個人的に今月一番シヨックな出来事は、大原麗子が亡くなったことである。享年62歳。
 知らなかったが、長くギラン・バレー症候群という難病と闘っており、又、乳がんやうつ病にも苦しんでいたという。加えて、昨年転倒し骨折するまでは年老いた母親の介護をしていたそうだ。そして、その母親が施設に入った後は一人暮らし。発見は死後3日経った8月6日、自宅での孤独死だった。華やかな女優としての活躍、栄光とは裏腹に、晩年は寂しく、つらい人生であったようだ。

 物心ついて、初めて女性を綺麗だな、素敵だなと思ったのは大原麗子だったと思う。テレビドラマ『雑居時代』で彼女を見たのが最初であろう。美しい顔立ちは勿論、ハスキーでいて甘い、その独特の声。世の中にはこんなに美しい人がいるんだなと、素直に感動したことを覚えている。いつも相手役の石立鉄男のことが羨ましかった。
 その後テレビで彼女をよく見た気がするが、ドラマの内容はあまり記憶にない。おそらく、その多くは小・中学生向きのドラマではなかったのだろう。
 次の記憶はというと、あの「少し愛して、長く愛して」のサントリーのCMである。彼女の可愛らしさや健気さが感じられる演技に、あの彼女の甘い声。僕には他にあの役のできる女優は思い浮かばない。吉永小百合でも、黒木瞳でも、それに宮崎あおいでも無理だ。あれだけのインパクトは残せやしない。まさに彼女の当たり役である。

 話は変わるが、8月8日、東京湾の花火を見た。高いマンションが増え、年々視界が悪くなっているが、家から辛うじてその一部を見ることができる。部屋の電気を消し、窓を開け、ビール片手に花火を眺めた。
 美しい。空いっぱいに鮮やかな光が拡がる。が、花火は一瞬の芸術だ。その美しさは続かない。少し光の尾を引くものもあるが、いずれにしろ一つの花火が夜空を彩るのは僅か数秒のことである。花火は美しいが、はかなく、物悲しくもある。

 花火は人生のようだ。

 大きな音とともにパーっと花開くものもあれば、控え目な花もある。角度によっては線のようにしか見えないみすぼらしいものもある。そうかと思うと、ユニークな形に光り輝くものもあれば、いくつもの花を咲かせるものもある。
 しかし、姿かたちに違いはあれど、皆、いずれ消え行くことに変わりはない。許されるのは僅かな時間のみ。はかない。本当に、花火は人生のようだ。

 大原麗子さんのご冥福をお祈りする。