縁側でちょっと一杯 in 別府

東京から別府に移住してきました。
のんびり温泉に浸かり、美味しい魚で一杯。
夢に見た生活を楽しんでいます。

消費税増税問題について

2010-07-10 00:36:12 | 最近思うこと
 想像してみよう。

 月給40万円の家庭があったとする。この家は毎月14万円のローン返済があり、自由に使えるお金は26万円しかない。なんと4,600万円もの住宅ローンを抱えているのである。年収約10年分の借金だ。
 ところが、この家は食費、教育費、交通費、光熱費その他で、月々33万円も使っている。おまけに田舎に住む両親に11万円の仕送りが必要ときた。これでは借金が増えるばかり。借金は毎月18万円、月給の半分近い額が増え続けている。

 これは多重債務者や自己破産した家の話ではない。哀しいかな、我が国の財政状態の話である。月給が税収、ローン返済が国債の元利払い、食費等の支出が一般歳出、仕送りが地方交付税を指している。

 さて、この現実を前にして、無邪気に消費税増税反対と言えるだろうか。

 まず、「消費税増税の前にやるべきことがある。まずムダをなくさなくてはいけない。」との点について。
 我が国の財政支出の過半は社会保障費と国債費である。これは削減できない、いや高齢化の進展とともに増加が見込まれる。では、ほかの支出を減らすことができるだろうか。
 確かに、まだまだムダは多いし(そもそも国会議員が多すぎる?)、民間に委ねるべき事業が相当あると思う。しかし、先の事業仕訳の結果を見ても、その削減が難しいことはわかるだろう。
 公共事業は地方の景気対策に使われてきたわけだし、狭い国土に多すぎる空港・車がまばらな高速道路・閑散とした公共施設などは無くても良いけどあれば便利だし、国の支出削減はいずれも国民に痛みが伴う。増税反対論者はその痛みをどこまで許容するつもりなのだろう。

 次に、「消費税を上げる前に、その他の税金、法人税や高額所得者の税金を上げるべきだ。」との点について。
 これは共産党や社民党の主張としては筋が通っている。が、共産主義、社会主義の破綻が明らかとなった中で、日本は敢えてそうした方向に進むべきなのであろうか。
 もう一つ、僕は直間比率見直しの観点からも、この議論はおかしいと考える。法人税・所得税等の直接税と消費税等間接税の比率は、我が国は7:3で直接税の比率が高い。一方、英独仏等は5:5から6:4で日本よりも直接税の比率は低い。数字だけ見ると、日本は所得の多い所から税金を沢山取っているフェアな国だ、と言えないこともない。が、実際は単に税金の取りやすいところから、つまり企業とサラリーマンから税金を沢山取っているに過ぎないのである。
 所得の完全な捕捉が難しい自営業者・医療法人・宗教法人など、あるいは収入は少ないものの多くの資産を持つ裕福な高齢者からの徴税を考えれば、間接税の比率を高める方が公正といえよう。
 又、英独仏や韓国・中国・シンガポール等と比較し10~20%高い我が国の法人税が、日本企業のキャッシュフローを圧縮し、競争力を削いでいることも事実である。これでは外国企業は日本に来ないし、逆に日本企業はいずれ日本を脱出するであろう。国内の雇用は増えず、経済は衰退の一途を辿るしかない。
 
 現状の我が国の財政状態を見るに、僕は、財政支出のムダを削減しつつ、消費税を増税するしかないと考える。ただ、景気への影響や消費税の逆進性に配慮しつつ、法人税や所得税の減税と、食料品や光熱費等への軽減税率の適用を併せて実施すべきであろう。

 国に要求ばかりするのではなく、この国の将来をどう考えるのか、そのために自分に何が出来るのか、今、それをよく考えるときに来ているのだと思う。