「ワオー、ビルバオの大ファンなんだぁ~!」とホテルのフロントのお兄ちゃんが目を丸くして言った。
僕らがビルバオは2回目だと聞き、彼は喜ぶというより驚いたようだった。ビルバオは、グッゲンハイム美術館が出来てから一躍観光の街となったが、何度も訪れるほどの名所・見所があるわけではない。それなのに はるばる日本から2度もやって来るなんて・・・、といった感じである。
ここで「いや、サン・セバスチャンに来たついでだよ。」などと本当のことを言って彼をがっかりさせるのは忍びない。僕はただニコッと笑顔を返した。
到着早々ちょっと良いことをした気分だ。僕らは、足取りも軽く、ホテルを出てリベラ市場へと向かった。歩いて2、3分の距離である。が、油断大敵、ここで大失敗をしでかしてしまった。
大きな建物の手前側は多くのバルが並ぶフードコートで、その奥が市場になっている。僕らは迷うことなくフードコートへ。サン・セバスチャンからの移動がちょうどお昼にぶつかり、昼食を食べていなかったのである。まずはビールとピンチョスで腹ごしらえ。そして満を持して奥の市場へ・・・。
と思ったら、あれ、市場が閉まっている。今日は土曜日。15時で市場は終わっていたのであった。う~ん、順番を間違えた。先に市場だった。明日は日曜で市場は休みだし、もう今回は諦めるしかない。市場好きの僕らにはショックが大きい。
しかし、済んだことを悔やんでも仕方がない。どうせ閉店間際で魚などは売り切れだし市場を見ても大したことなかったさと自己の行動を肯定しつつ、気を取り直し、僕らは次の目的地・グッゲンハイムへと向かった。
グッゲンハイムで念願の“パピー”とご対面。子犬と言う名前なのに高さはなんと12.4mもある。鉄の骨組みに様々な花を植え込み、きれいに刈り込んだ大きな彫刻(?)作品である。言ってみれば巨大な立体犬型花壇。花は定期的に植え替える必要があり、実は前回来た時(6年前のゴールデンウィーク)はちょうどその植え替えのタイミングだった。悲しいことにパピーはネットで覆われていた。今回ビルバオにはそのリベンジで寄ったのである。
パピーは想像していたより地味だった。菊人形のように華やかな色遣い(花遣い?)を期待していたが、パピーは全体に落ち着いた色調である。しかし考えてみれば、お祭りならどんなに派手でも構わないが、常にあるオブジェとしては、このくらい抑え目の方が品があって良いのかもしれない。
ところで、昔、地理の授業でビルバオは鉄鋼の街だと習った記憶がある。鉄鉱石が取れ、製鉄業が発展した街だと。しかし、街を歩く限り、その面影はまったくない。
翌朝、市の中心部を流れるネルビオン川沿いを歩いた。新市街に入ると、竹細工のような白いアーチ橋・スビスリ橋や、凛とした佇まいのイソザキ・アテア、すべてガラス張りの保健衛生局など、グッゲンハイム美術館以外にもユニークな建物が多い。歩いていて楽しい街だ。いや、建物だけではない。衰退する工業の街から一転芸術の街へと再生を遂げたビルバオそのものがユニークなのである。
僕らは、フロントのお兄ちゃんお勧めのケーブルカーに乗った。展望台からビルバオの街が一望できる。山に囲まれたビルバオの街。緑が多い。古い町並みの中に近代的なビルも見える。
お兄ちゃんが驚いたように、確かにビルバオは何度も観光に来る街ではないだろう。が、もし住むとしたら、僕はサン・セバスチャンよりビルバオを選びたい。全体に落ち着いた雰囲気でありながらも、新しさが随所に感じられる街。そしてバルをはじめ食の質も高い。
結局、最初から最後まで食べる話ばかりだった気がするが、こうして8泊9日のバスク旅行が幕を閉じた。
僕らがビルバオは2回目だと聞き、彼は喜ぶというより驚いたようだった。ビルバオは、グッゲンハイム美術館が出来てから一躍観光の街となったが、何度も訪れるほどの名所・見所があるわけではない。それなのに はるばる日本から2度もやって来るなんて・・・、といった感じである。
ここで「いや、サン・セバスチャンに来たついでだよ。」などと本当のことを言って彼をがっかりさせるのは忍びない。僕はただニコッと笑顔を返した。
到着早々ちょっと良いことをした気分だ。僕らは、足取りも軽く、ホテルを出てリベラ市場へと向かった。歩いて2、3分の距離である。が、油断大敵、ここで大失敗をしでかしてしまった。
大きな建物の手前側は多くのバルが並ぶフードコートで、その奥が市場になっている。僕らは迷うことなくフードコートへ。サン・セバスチャンからの移動がちょうどお昼にぶつかり、昼食を食べていなかったのである。まずはビールとピンチョスで腹ごしらえ。そして満を持して奥の市場へ・・・。
と思ったら、あれ、市場が閉まっている。今日は土曜日。15時で市場は終わっていたのであった。う~ん、順番を間違えた。先に市場だった。明日は日曜で市場は休みだし、もう今回は諦めるしかない。市場好きの僕らにはショックが大きい。
しかし、済んだことを悔やんでも仕方がない。どうせ閉店間際で魚などは売り切れだし市場を見ても大したことなかったさと自己の行動を肯定しつつ、気を取り直し、僕らは次の目的地・グッゲンハイムへと向かった。
グッゲンハイムで念願の“パピー”とご対面。子犬と言う名前なのに高さはなんと12.4mもある。鉄の骨組みに様々な花を植え込み、きれいに刈り込んだ大きな彫刻(?)作品である。言ってみれば巨大な立体犬型花壇。花は定期的に植え替える必要があり、実は前回来た時(6年前のゴールデンウィーク)はちょうどその植え替えのタイミングだった。悲しいことにパピーはネットで覆われていた。今回ビルバオにはそのリベンジで寄ったのである。
パピーは想像していたより地味だった。菊人形のように華やかな色遣い(花遣い?)を期待していたが、パピーは全体に落ち着いた色調である。しかし考えてみれば、お祭りならどんなに派手でも構わないが、常にあるオブジェとしては、このくらい抑え目の方が品があって良いのかもしれない。
ところで、昔、地理の授業でビルバオは鉄鋼の街だと習った記憶がある。鉄鉱石が取れ、製鉄業が発展した街だと。しかし、街を歩く限り、その面影はまったくない。
翌朝、市の中心部を流れるネルビオン川沿いを歩いた。新市街に入ると、竹細工のような白いアーチ橋・スビスリ橋や、凛とした佇まいのイソザキ・アテア、すべてガラス張りの保健衛生局など、グッゲンハイム美術館以外にもユニークな建物が多い。歩いていて楽しい街だ。いや、建物だけではない。衰退する工業の街から一転芸術の街へと再生を遂げたビルバオそのものがユニークなのである。
僕らは、フロントのお兄ちゃんお勧めのケーブルカーに乗った。展望台からビルバオの街が一望できる。山に囲まれたビルバオの街。緑が多い。古い町並みの中に近代的なビルも見える。
お兄ちゃんが驚いたように、確かにビルバオは何度も観光に来る街ではないだろう。が、もし住むとしたら、僕はサン・セバスチャンよりビルバオを選びたい。全体に落ち着いた雰囲気でありながらも、新しさが随所に感じられる街。そしてバルをはじめ食の質も高い。
結局、最初から最後まで食べる話ばかりだった気がするが、こうして8泊9日のバスク旅行が幕を閉じた。