後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔326〕岡山県立邑久(おく)高校の「地域学」の実践は「学」んで「問」うことを大切にしています。

2021年01月22日 | ラボ教育センターなど
 またまた矢部顕さんのメールです。
 岡山県立邑久(おく)高校には「地域学」というユニークな授業があるそうです。その授業の外部講師の一人、矢部さんからの貴重な報告です。私も近隣なら参加してみたかったです。


●福田三津夫様

ハンセン病関連で、一昨日、岡山市のお隣の市であります瀬戸内市にある県立邑久
(おく)高校で、2020年度の「地域学」実践報告会があって参加してきました。

ドキュメンタリー製作は次の世代への継承という意味があるわけですが、この「地域学」
の学びも、若い世代への継承という意味ではとても重要なものだと感じました。

高校生が地域へ目を向け地域から学ぶ「地域学」の試みについて、以前にもお知らせ
しましたのでダブりますが再度お知らせします。

国立療養所長島愛生園と邑久光明園の地元の高校生が学んでいることの一端がわかって
いただけるように思います。

この岡山県立邑久高校にはかつて新良田教室という分校が長島愛生園にあったのです。
13か所の国立療養所で唯一の高校でした。全国の療養所にいる若者が受験して、この高校を
目指したのです。高校での勉学と、その先の進学と社会復帰を可能にする希望の高校だったのです。

しかし、かつてそのような分校があったことを邑久高校の教師も生徒も知りませんでした。3年前までは。

「地域学」という、地域のことを学ぶ取り組みが始まって、同じ市内にハンセン病療養所があり、そこに自分たちの学校の分校があったことを知るのです。

昨年7月に、「地域学」の授業で、わたくしは「ハンセン病と交流(むすび)の家」についての講話をしました。
地域のことを学ぶいくつかのグループがあるのですが、そのひとつにハンセン病について研究するグループがあって、何人かの外部講師のひとりとしての講義です。
これで3年目3回目です。
その時の講義風景が新聞記事になりました。添付します。(これは以前お送りしました。)

講義だけでなく、実際に長島愛生園を訪問して、入所者の方の話を聞いたり、歴史館を見学学習したりもしたようです。

そして一昨日、2020年度1年間の研究の成果を発表する実践報告会が行われたのでした。
チラシを添付します。

「地域学」というのは、なかなか良い試みだと思います。教師もテキストだけを教えていればそれで済むということではありませんので、生徒と共に学ぶという姿勢も問われてきます。

私の高校時代は、地域のことから学び地域に貢献する人材の育成などのことは全くなくて、
ともかくいい大学に入ることだけが目的の教育でした。当時はおしなべてそういう時代でした。
その結果が、現在、日本中で地方・地域の衰退という現実となっていったたことは明らかであります。

「勉強」という言葉は「強」いられた「勉」めという感がありますが、「学」んで「問」う「地域学」は「学問」の始まりでありましょう。
試験で正解がひとつ、と答えることだけを訓練されることではない、大切なことを学んでいると思います。

ハンセン病問題は、この高校の若者たちの学びによって継承されていくことでしょう。

矢部 顕

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