15時から、納棺。
亡くなった方をじっくり眺めることは
50年近く生きていても
慣れない。
まして、普段からよく関わった訳ではない方なんで、申し訳無い気分ではありつつ、経験。
病院の方でエンゼルケアをしてくださったので、ただ、すやすや眠っているようにしか見えないもんだ。
納棺師の方が淡々と丁寧に旅立ちの身支度を整える。
チビは未成年なんで、
別室へ。
お米を袋に入れ、足袋に小銭を入れる。
清拭を行い、着物、手甲や足袋を装着。
小物一つ一つに意味かあり、省略しながらも今に続いているのだな。
髪を洗い、乾かし整え、
スプレーでしっかり整える。
おくりびとは、しっかりと心を込めて美しい所作で作業を進める。
お化粧前に蒸しタオルパック。
血行はよくならないだろうけど、
肌が柔らかくなる。
毛を剃り下地やらコンシーラーやら。
ファンデーションも納棺師の腕で混色して、丁寧に。
チークの色や口紅の色
マニキュアをつける段になると、
不思議とみんなの表情が明るくなる。
なんてのかな、
こう、愛しさの最後のひとしぼり。
死化粧って、生きてる人たちのものなんだ。
納棺師はその場にいる人に
なるべく、故人に触れるように促す。
最初は恐々な人も、ありし日のおばあさんに触れた思いが徐々に甦る。
そりゃ、生きていれば
ケンカや嫌な思いもあったろうに。
ワタクシは接する時間が少なくて
あまり深い印象はないけれど、それでも
だんだん旅支度が整うにつれ
優しい気持ちに。
映画のおくりびとを
思い出しながら
不思議なこの気分の変化を考えていた。
兄1が納棺師さんと語ったそうな。
「おくりびとの映画の頃は駆け出しで、プレッシャーがすごかったですよ。」
納棺を終えて斎場へ。
祭壇やらお花やらが整えられていき、
ああ、もう、お通夜に近付いたなあ
なんて、ぼんやり思いながら
精進料理をいただく。
長い1日であります。