餌金日記

金魚と川魚飼いの日常です、

寝たまま過ごしたい

2023-11-19 21:06:00 | 本と雑誌

8/5分です。
今村夏子「木になった亜沙」読了。
これは現代の百鬼夜行だなと。付喪神は百年を経た器物が妖怪になるのですが、これは百年もかかりません。生きることにままならない人間が物になっていく話です。亜沙は何故か手に触れたものを食べてもらえない女の子。友達も家族も動物さえ亜沙の手からは食べ物を食べません。不良になり更生施設で過ごした亜沙は最後の日友達とスキーにでかけます。そこでコースを外れて倒れるのですがそこが木の下。亜沙の上に落ちた実を狸が食べます。亜沙は木に生まれ変わりたいと思います。実のなる木でみんなに実を食べたもらいたいと。しかし亜沙が生まれ変わったのは杉の木。誰にも食べてもらえません。しかし木は割り箸になりコンビニで若者がお弁当を食べてくれます。
「的になった七未」は物が当たらない女の子。ドッチボールもホームレスに投げられた空き缶も七未には当たりません。いい能力だと思っていましたが、やがて当たったら終われることに気づきます。終わるために積極的に当たりに行くのですが、当たれない。いつしか七未は自分で自分を殴るように。
「ある夜の出来事」は学校を卒業してから十五年、寝そべったまま過ごす女の子。父親と喧嘩してうっかり外に出てしまったわたしは這ったまま町を行き迷子に。そこで這ったまま街を行く男の子に出会います。わたしは男の子の家に行きそのまま結婚することに。ヨシタケシンスケさんの「もうぬげない」みたいです。普通なら何とかして脱ぐのですが、もうこのまま暮らしていこうと。脱げない仲間と友達になって世界で活躍していこうと。
ありえない話のはずですが、妙に臨場感があるのです。まあそういうこともあるだろうなと。ハンガーになった典子、リュックサックになった朋江、ペコちゃん人形になった義雄。感じる人には感じるみたいで、まわりが妖怪だらけでもおかしくないわけで。
飼育係になりたかった亜沙がようやく飼育係になれたのに、金魚が亜沙のやる餌は食べない。このままでは金魚が餓死すると学級委員会で餌はもう一人の飼育係がやることに。亜沙は観察日誌の記入と水槽のごみすくい担当に。これはかわいそうです。やはり餌やりは飼育係の醍醐味よね。


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