前々から、バンド名は知っていたし、BURRN!とかでもインタビュー掲載されていたら目を通していたりもしていたんだが、何気に入手して、まともに聴くのも初だったりする。
ENSLAVEDの今年リリースされたアルバム、『HEIMDAL』。
このバンドの名前は、現在EMPERORでドラムを叩いているタリムがかつて在籍していたという事で、昔から知っていた。
ただ、何だろうね?
当時はタリムが居たバンドだからと言っても、ヴァイキングメタルという括りで語られていた所為もあり、偏見で「ENSIFERUM系列のやつか?」という思い込みで敬遠していた節もあったし、当のタリムはその後ZYKLONでもその腕を振るっていた為、ENSLAVEDに対しては求めるものが違うなと、食わず嫌いでこれまで通り過ぎて行った。
ココ最近テメェの中で面白そうだなと思える様なバンド/アルバムが残念なくらい出て来てなかった為、場当たり的に目に入ったんで、最新アルバムを入手した次第。
アルバムを通して聴いてみた限りでは、
思っていた以上に興味深いバンドであった、って事が判った。
今回はプログレ指向に寄った内容となっている様で、それなりに長尺曲も出て来ていたりするが、長い曲=プログレではないからな。
曲の中に絵巻的な展開を擁しながら、アッと思わせる変容を見せていく事こそがプログレと呼ばれる形態の醍醐味である。
変拍子なリズム入れてテクニックに偏った長尺演奏の音楽だけを指すワケじゃねェ。ソレは単なるテクニック品評会だ。
プログレメタルとテクニカルメタルの差は、正にそこだよ。
さておき、
ENSLAVEDは出自としてブラックメタルを下地に持っているバンドであるだけに、今でもギターリフにその響きが表れている。
ただ、このバンドは真正ブラックメタルではなく、北欧神話を題材にした楽曲、ヴァイキングメタルとしてのスタイルを早々に確立していた点によって、その他のバンドと違った様相を呈したのも強みになっていたんじゃないかね。
あと、
サウンドプロダクションがかつての北欧ブラックメタル系なんだよね。
今時の、どの楽器もウルトラクリアで気味悪い程音粒が安定した作りではない、一つの部屋でバンドで一発録りしたんじゃないか的な響き。
コレがまた個人的に刺さる(笑)。
ちゃんと人が演奏した感のある音の録り方。
90年代序盤に出てきた北欧ブラックメタル系のバンドの音源は中々に音像がヒドイのも多々あったが、そのささくれた感触が何とも嫌いになれなかった。
で、
ENSLAVEDの今回のアルバムはプログレサイドな作りと言えるが、音楽的に懐が深いと感じたし、流れに唐突さが感じられないので、展開に嫌味が無い。
あと、全体を通してヘヴィな雰囲気を失わせないところは、かつてのOPETHを想起させる。
このアルバムで入ったのが丁度良かったのかね。
前作もかなり評判良かったってのは耳にしていたが、やはりその時手にするの躊躇した。
言っても歴史の長いバンドだからなァ。
正直、今から過去のカタログ追うほどに興味を駆り立てられたってワケではない。
今のところ、このアルバム聴く分で充足できる感じ。
でも、このアルバムでバンドが素晴らしいってのには気付かされた。