以前より気になっていた本、「天地明察」を読んでみた。この筆者、沖方 丁はライトノベル作家として名の知られている人で、近年では「マルドゥック・スクランブル」がアニメ映画化、コミカライズされたのでも有名。しかも「天地明察」の後に、完全版として一連のマルドゥックシリーズは根本より手直し、というよりも再生刊行されたという、興味をそそられると同時に離れ業をやってのけた事も記憶に新しい。
マルドゥックシリーズは、沖方 丁が脱ライトノベルに踏み出してからの代表作と見做されている小説で、このシリーズ以外でも共通して、脱ラノベ以降の作風で言えるのは、何処かドライなダークSF感覚である、という事だろう。
何かその辺りが、自分の好きなバンドであるFEAR FACTORYの醸し出す音楽と符合していると感じ、やはりラノベを通過していた経緯もあるからか、内容は実際のところ読みやすささえ感じられる。
話が逸れたが、そんな沖方 丁の「天地明察」は、彼にとっても初となる、史実に基づいた時代小説である。ここでは、従来で知られる彼ならではの世界観は封印され、爽快という言葉さえ出てしまう様な描写が当てはまる。
まァ、だからこそかなり広い層にまで読まれ、現時点で恐らく50万部以上の売り上げを誇るに至っているのだろうが。
その話の主人公である渋川 春海という人物の描かれ方は、読んだ人なら何処かしらで共通意識を感じ取れる。彼に関わる周囲の人物たちもまた、そんな共感に一役も二役も買わせていると言える。
正直、オレも“あの沖方 丁”という先入観があった為に、彼の小説で終始これほどまでに爽やかな空気を感じたのは驚いたし、寧ろそうであるからこそ一気に完読してしまった。
この小説では、養老 孟司が解説をしているが、「筆者が若いからなのだろう、内容がさっぱりしている」という、良い意味での批評を下している(まァ解説掲載されるんだから、本書をけなす批評なんてそうザラにないだろうが)。
この点に関しては、オレは沖方 丁に於ける世界観と共通しているのではないかと思う。彼の小説は密度が濃いが、描写の分かり易さを伝えられる点が魅力だと個人的には感じている。その物語の打ち出し方が、言わば“空気が重いのか軽いのか”という点で、マルドゥックシリーズと「天地明察」との決定的な違いとして出ているのであり、碁打ち士であった渋川 春海という人物の描き方としては、一連の沖方 丁らしさというのが、読んでいて感じ取れる。
いずれにしても、新鮮さを感じられたのは事実であり、手にして良かったと思っている。今後、彼の作品の中では、間違いなく代表作の一つ(それも彼ににしては若干異質な)だろうね。
今日のテメーのBGM:SLAYER『STAIN OF MIND』
マルドゥックシリーズは、沖方 丁が脱ライトノベルに踏み出してからの代表作と見做されている小説で、このシリーズ以外でも共通して、脱ラノベ以降の作風で言えるのは、何処かドライなダークSF感覚である、という事だろう。
何かその辺りが、自分の好きなバンドであるFEAR FACTORYの醸し出す音楽と符合していると感じ、やはりラノベを通過していた経緯もあるからか、内容は実際のところ読みやすささえ感じられる。
話が逸れたが、そんな沖方 丁の「天地明察」は、彼にとっても初となる、史実に基づいた時代小説である。ここでは、従来で知られる彼ならではの世界観は封印され、爽快という言葉さえ出てしまう様な描写が当てはまる。
まァ、だからこそかなり広い層にまで読まれ、現時点で恐らく50万部以上の売り上げを誇るに至っているのだろうが。
その話の主人公である渋川 春海という人物の描かれ方は、読んだ人なら何処かしらで共通意識を感じ取れる。彼に関わる周囲の人物たちもまた、そんな共感に一役も二役も買わせていると言える。
正直、オレも“あの沖方 丁”という先入観があった為に、彼の小説で終始これほどまでに爽やかな空気を感じたのは驚いたし、寧ろそうであるからこそ一気に完読してしまった。
この小説では、養老 孟司が解説をしているが、「筆者が若いからなのだろう、内容がさっぱりしている」という、良い意味での批評を下している(まァ解説掲載されるんだから、本書をけなす批評なんてそうザラにないだろうが)。
この点に関しては、オレは沖方 丁に於ける世界観と共通しているのではないかと思う。彼の小説は密度が濃いが、描写の分かり易さを伝えられる点が魅力だと個人的には感じている。その物語の打ち出し方が、言わば“空気が重いのか軽いのか”という点で、マルドゥックシリーズと「天地明察」との決定的な違いとして出ているのであり、碁打ち士であった渋川 春海という人物の描き方としては、一連の沖方 丁らしさというのが、読んでいて感じ取れる。
いずれにしても、新鮮さを感じられたのは事実であり、手にして良かったと思っている。今後、彼の作品の中では、間違いなく代表作の一つ(それも彼ににしては若干異質な)だろうね。
今日のテメーのBGM:SLAYER『STAIN OF MIND』