ほぼほぼジャケ買い。
LANCERの『TEMPEST』。
フィンランドのバンドの4thで、今回ヴォーカルが代わってから第一弾。
所謂、メロディック・パワーメタルという括りに入る音楽形態。
結成は2009年で、ここに至るまでにメンバーチェンジが繰り返し、現在オリジナルメンバーはギタリスト一人のみとなっている。
BURRN!でのディスクレヴューにも掲載されていて、その時に目に入ってから気になっており、近くにあるタワレコでも何故かケッコー推している感じで面出しされていて、余計に目について仕方なかった(笑)。
まァ冒頭に書いたとおり、
ジャケ買いと言う程度でこのバンドに関する知識は全く無い。
過去にアルバムが日本盤リリースされていたかも知らないからね。
情報を辿っていくと、今回のアルバムは従来のこのバンドの路線と比べると、プログレを思わせる展開が各曲で伺える点が新たな要素となっているとの事。
確かに、中盤から雰囲気を変える様なフレーズ展開を交えており、唐突にならない程度に聴覚刺激を与え、よくあるパターンに収まらないように配慮されていると感じる。
個人的には、IRON MAIDENからの影響あるよなァと思ったり、エッヂの利いた部分ではMEGADETHがやってる様なリフ展開も感じたりした。
オレは俗に言うメロパワ/メロスピという系列のバンドは、率先して聴く方ではない。
偏見を承知で言わせてもらうと、どのバンドも展開や曲調が同じ様にしか思えないし、旋律美というものを過剰解釈して、キーボードやオーケストラを使用した「バンド演奏外の装飾音」で盛り上げを聴かせようとしている演出が、本来核となるバンド演奏での楽曲を誤魔化してるように聴こえてきてしまうからだ。
HELLOWEENなど、その礎になったバンド達ならいざ知らず、殆どのバンドが「装飾での誤魔化し=バンドの演奏・曲展開が同じ」といった構図になっている気がする。
その点では、このバンドはケッコー頑張ってると思う。
曲の雰囲気を作るためのSEなどは確かに使ってはいるものの、必要最低限に留めている感じであり、先ず主張すべきはギターを主軸としたバンド演奏となっている。
リフ/リズムがちゃんとしているし、曲の中で聴かせようとしているフレーズが要所で構築されているのが大きい。
勿論この手の音楽は特にハイトーンで唄えるヴォーカルが重要視されているのは解るが、それもその歌唱を巧く機能させられる楽曲があったればこそ。
あと、サウンドプロダクションってやっぱり大事だなァってつくづく思う。
このアルバムで聴くサウンドって、正直言うと一流どころのメジャー感ある感じではない。
でも、その分作り込まれた感も無い、ある意味正直な音質のアルバムと感じるんだよね。
そこの部分も好印象に繋がっている。
多少荒削りな質感があるギターサウンドが、より芯のあるバンドサウンドとして要となっている。
実際、ジャケ買いは金銭面的にリスクが大きくなるし、今回レヴューでもそこそこの点数がついていたとは言え、結局はテメェの聴感がものを言うワケなので、諸刃の剣な感覚は避けられないのが実情だが、今回は当たりという感じが強い。
少なくとも、一回だけ聴いて「もういいや」という感じにならず、もっと聴き込んでみようと思った。
ヴォーカルはまだ20代半ばってのもあり、あともう少しっていうのはある。
声帯として、太さが欲しいね。
その部分が備わる様になったら、バンドとして相当化ける様に思えるんだが、そこはまたこれからの進み方次第だろうね。