東京から約1000Km南方にある小笠原諸島のうち一
番南にあるのが母島です。1968年接収されていた小笠
原諸島が日本に返還されました。その後行政的な整備が
済んで小笠原復興計画が閣議決定されました。小笠原全
域測量が行われ、それに伴って学術調査も可能になりま
した。私はその時便乗して学生7名を連れて小笠原に調
査?のために行くことができました。
その時には一般住民がかなりな数いました。船着き場
近くにはスーパーのようなものとか商店が結構ありまし
た。朝昼夕の食事は村役場の食堂でいただきました。宿
舎はプレハブの作業小屋(畳部分32帖)を使わせてもら
いました。調査機関は乗ってきた船便が本土に戻り再び
小笠原にきて本土へ帰るまでの約10日間となりました。
調査は海水の標準的な検査と微量元素の分析、父島周
辺の底生魚の内臓に含まれる微量元素の分布を調べるこ
とでした。調査結果の一部は、小笠原年俸に報告しまし
た。
さてそのとき、父島だけでなく母島にもいくことがで
きました。当時、N工営という会社の人たち数人が母島
の測量をしていました。
母島にはまだ一般人は済んでいませんでしたのでひっ
そりとしていました。そんなある夜みんなで港から離れ
たところの海岸へ行きました。そこは直径15-20㎝程
の玉石がごろごろしていました。そこで寝転んで空を見
上げていましたら、ほぼ南北に人工衛星が飛びすぎたり
流星がたくさん見えました。初めは風の音がさやさやと
タコの木を揺らしていました。少し時間がたつと、ころ
ころと心地よい音が聞こえてきました。しばらく聞いて
いましたがこの音はどこから聞こえてきたのかと探すと
その音は足元の海の中なら聞こえてくることに気が付き
ました。
わずかな潮の満ち引きの海水によって玉石が転がり落
ちる音が海面に反響して心地よい音になっていたのです
ね。自然の中にはこのように人の心を癒してくれる現象
があるのですね。小笠原にはたくさん思い出があります。
ときどきそれらを書いていきたいと思います。