私の父はかなりひどい愛煙者でしたが、酒は飲むの
を見たことがありませんでした。と言って甘いものを
好むということもなかったと思います。職人としては
少々珍しい人だったようです。しかし、母の話による
と同業者仲間との付き合いはうまくやっていたという
ことでした。
なぜこんな話になるかというと私が大の小豆(あん
こ)が好きなのはどうしてなのかとフト思いついたか
らです。何しろ私の小豆好きは類を見ないほどです。
甘味が好きと言っても、洋菓子の類はどんなに美味し
いからと勧められてもめったに口にしません。酒類は
少し前までは付き合い程度は口にしましたが、今は体
調を考えてほとんど飲みません。大酒を飲んだ記憶は
与論島で世論憲法といって4合入りの大杯を一気に飲
んだことがあります。通常はワインを時々飲んでいま
したが、それも今は戸棚の中に寝かせてあります。
しかし、小豆の入った甘みは我慢することができま
せん。これを書いているうちにある日食べたぼた餅の
ことを思い出しました。それはまだ物が不足状態にあ
った頃の話です。近くの方からそこのお子さんの誕生
日だから作ったといってぼた餅を持ってきてくれまし
た。それはゆるく炊いたあんこがおまじないほど塗っ
てあるだけでした。母が作ったものとはまったく異な
るものでした。それ以来あんこに拘るようになったの
だと思います。
隣町の団子屋さんで売っていた小豆の中に埋もれて
いた団子が懐かしく思い出されます。今自分で作るぼ
た餅はあんこをたっぷり付けたものにしています。妻
は餅を食べるのか小豆を食べるのかわからないといっ
ています(苦笑)。