「姿三四郎」という映画は太平洋戦争中の1943年に
黒澤明が監督になって初めて企画し、脚本執筆も黒澤
明が行って撮影された作品です。
私がこの映画を見たのは高校生のころですから、敗
戦で委縮している国民を鼓舞するために作られたと思
っていましたが間違っていました。実際は1943年に封
切され大ヒットしたということでした。
この映画の続編は1945年5月に封切になったというこ
とです。1945年5月といえばアメリカ軍による空襲が
激しくなった最中のことですからよく撮影できたと思い
ました。
この映画に登場する場面で一番印象に残っているのは、
修道館柔道の矢野昭五郎館長が、恋と柔道に煩悶する姿
三四郎を薄暗くなった道場に連れていき酒徳利を片手に
柔道のいろいろな技を見せる場面です。
純真無垢といってもよい三四郎の心に柔道の道を徳利
を使って説く矢野昭五郎の声は天の声ように聞こえたの
かもしれませんねえ。そしてその姿は神の成り代わりと
映ったかもしれません。
片田舎から出てきた青年が柔道に目覚めていく姿を感動
的に描いたこの作品は、富田常雄の同名小説をもとにして
います。
私としたことが、まだこの小説を読んでいませんでした。
探して手に入れたいと思います。