少し不安な夜をやり過ごした美枝さん。
朝を迎えれば、不安も吹き飛んで、楽しい一日を過ごせる。
その日も、お義父さんに陶芸を教えてもらったり、お義母さんと、裏山に山の幸を取りに行ったり
会話も弾み、楽しい一日を過ごした。
「これなら、うまくやって行けそう」
きっと私は、合格点なんだ。
敬さんも嬉しそうだ。
2日目の夜も、ひっそりと静まり返る部屋で、就寝。
「この静けさも、いいかも」
静まり返る深夜。。。
「今日も、ひとりだけど、さびしくない?」
「ぜんぜん大丈夫!」
「え?なんか僕が寂しいなぁ…」
「甘えてないで、自分の部屋に戻って!」
「ここに休みたいよ~!」
敬さんが抱きついてきた。
「子供みたい。お義母さんに見られたら恥ずかしいから💦ね!」
「わかった。それじゃね、おやすみ!」
後ろ髪を引かれるようにして、敬さんは和室を出ていった。
…しあわせ。
美枝さんは、こんなシチュエーションに、あらためてしあわせを噛み締めていた。
し…ん…。
敬さんがいなくなると、急に静まり返った。
今日は、樹木の軋む音はしない。
「ほー、ほー」
遠くでふくろうが鳴いている。
「あ~、平和だ。」
思わず口に出した。
明日は帰るけど、楽しい2日だった。
これなら、敬さんが実家に帰るのも、楽しみになりそう。
布団に潜り込むと、いろいろ考えて、なかなか眠れない。
「ギシ…、ギシ…」
あ、樹木の軋む音がはじまった。
「ギシ…、ギシ…」
昨日、あんなに気になっていた音が、今日はほとんど気にならない。
むしろ、この音は、私を歓迎してくれている音に違いない❗とまで思えるほど、気持ちは前向きだった。
…ほんの、数分なのか、数時間なのか、うとうと…として、なぜか目が覚めた。
寝てた?
まだ、夜は明けていない。
深夜1時をまわっていた。
一度眠りにつくと、余程のことが無い限り朝まで目を覚まさないのに、なんで目を覚ましたんだろう…。
「ギシ…、ギシ…、ギシ…、ギシ…」
さっきより、軋む音がパワーアップしている。
「ギシ…ギシ」
あれ?ギシギシが近くなってる気がする。風が強くなったせい?
「ギシギシ…」
え?近くなってる…というか、近づいて来ている。
「ギシギシ!」
外の雨戸を通過して、障子のすぐ外の廊下にギシギシが来ている。
ガバッ‼️
力いっぱい起き上がった。
ギシギシが止んだ。
どうしよう…。
あきらかに『何か』が迫ってきた。
気のせいではない…。
コワイ……💦💦
敬さんの部屋へ行こうか…。