候補者13

2020-09-08 07:49:00 | 日記
少し不安な夜をやり過ごした美枝さん。

朝を迎えれば、不安も吹き飛んで、楽しい一日を過ごせる。

その日も、お義父さんに陶芸を教えてもらったり、お義母さんと、裏山に山の幸を取りに行ったり

会話も弾み、楽しい一日を過ごした。

「これなら、うまくやって行けそう」

きっと私は、合格点なんだ。

敬さんも嬉しそうだ。


2日目の夜も、ひっそりと静まり返る部屋で、就寝。

「この静けさも、いいかも」

静まり返る深夜。。。

「今日も、ひとりだけど、さびしくない?」

「ぜんぜん大丈夫!」

「え?なんか僕が寂しいなぁ…」

「甘えてないで、自分の部屋に戻って!」

「ここに休みたいよ~!」

敬さんが抱きついてきた。

「子供みたい。お義母さんに見られたら恥ずかしいから💦ね!」

「わかった。それじゃね、おやすみ!」

後ろ髪を引かれるようにして、敬さんは和室を出ていった。

…しあわせ。

美枝さんは、こんなシチュエーションに、あらためてしあわせを噛み締めていた。


し…ん…。

敬さんがいなくなると、急に静まり返った。

今日は、樹木の軋む音はしない。

「ほー、ほー」

遠くでふくろうが鳴いている。

「あ~、平和だ。」

思わず口に出した。




明日は帰るけど、楽しい2日だった。

これなら、敬さんが実家に帰るのも、楽しみになりそう。

布団に潜り込むと、いろいろ考えて、なかなか眠れない。


「ギシ…、ギシ…」

あ、樹木の軋む音がはじまった。


「ギシ…、ギシ…」

昨日、あんなに気になっていた音が、今日はほとんど気にならない。

むしろ、この音は、私を歓迎してくれている音に違いない❗とまで思えるほど、気持ちは前向きだった。



…ほんの、数分なのか、数時間なのか、うとうと…として、なぜか目が覚めた。

寝てた?

まだ、夜は明けていない。

深夜1時をまわっていた。

一度眠りにつくと、余程のことが無い限り朝まで目を覚まさないのに、なんで目を覚ましたんだろう…。

「ギシ…、ギシ…、ギシ…、ギシ…」

さっきより、軋む音がパワーアップしている。

「ギシ…ギシ」

あれ?ギシギシが近くなってる気がする。風が強くなったせい?

「ギシギシ…」

え?近くなってる…というか、近づいて来ている。

「ギシギシ!」

外の雨戸を通過して、障子のすぐ外の廊下にギシギシが来ている。

ガバッ‼️

力いっぱい起き上がった。

ギシギシが止んだ。

どうしよう…。

あきらかに『何か』が迫ってきた。

気のせいではない…。

コワイ……💦💦

敬さんの部屋へ行こうか…。