深夜、突然、聞こえてきた赤ちゃんの泣き声。
気になって仕方がない。
眠れない…。
よし、確認しよう!
体を起こした。
そして、声のする方へ…。
やっぱり、外だ。
玄関を開けた。
幻聴なら、ここでピタッと止んだりするかも知れないが、
泣き声は続いている。
深夜の夜泣きで困ったママさんが、赤ちゃんを寝かしつけに外に出てきたのなら、ママさんのあやす声も聞こえるはずだ…。
それも聞こえない…。
いよいよ、本当にどこかに赤ちゃんが捨てられているのかも知れない。
アパートの階段の下の方から聞こえてくる気がする。
間違いない!
え?
階段の下を見るといつもの景色が、まるで森のように木々が生い茂っている。
…どうなってんの?
ーーーと、思った瞬間、目が覚めた。
夢か…。
よかった…。
出発当日の明け方にこんな夢を見るなんて、
吉夢なのか悪夢なのか…。
たとえ悪夢でも、負けない!
やっと巡り会えた敬さんと幸せな未来を築くためにも!
気を取り直して、彼の実家へ向かうべく、窓を開けて深呼吸をした。