22日に市内の病院へ移った母は、今日 胃ろうの手術を受ける。
術式は午後1時半から始めるので家族はそれまでに到着と言われ、1時間前に病室へ娘と共に入る。
母は既に、倒れてからこれまでずっとつけられていた鼻から胃への管は取り除かれていた。
気が付けば、尿袋も見当たらない。前の病院の時、移動時につけていたかも記憶が定かでない。
管も、鼻の固定のテープもない母の顔は、入れ歯こそ入っていないが いつもの母の表情だった。
ただ、不安が表に出て来ていて眉間にしわが寄っていた。当然だよね。。何をされるか未知なのだから。。
1時半、時間通りにストレッチャーを押して看護師さんが二人来る。
点滴袋を持ち、一緒にエレベーターで一階へ降り、奥まった手術室へ向かう。
待合室を促され、母は部屋へ消えた。
いくらもせずに担当看護師が「腹に古い傷があるが何か知っているか」と尋ねて来たので、先日 MRIを受け医師にも説明をしたが、σ(^^)と今は亡き弟が生まれる時に帝王切開をしていること、結婚前に盲腸を経験していることを聞いたことがあること を伝えた。
その後、数分もしないうちに若い(といっても40代)男性医師がこちらを見ながら部屋へ入っていった。
「さて、少し待たなきゃならないね。十数分と言われたが、母さん、頑張って」
丸椅子を引っ張り、座ってスマホをいじろうとしたら、担当の院長先生がやってきて「順調に予定通り、終わりました。2~3日したら栄養経管始めるから」「へ?もう?」
こちらの始末(カバンから出したものをしまう)も終わらぬうちに、母を載せたストレッチャーが部屋から出て来て、さっさと行ってしまう。娘と慌てて追いかける。
言葉を発せない母は、目にいっぱい涙をためていた。口元には赤い血が筋を引いている。
局所麻酔だったのか、意識ははっきりとしている。
声にならぬ声で、う、う、うと発している。
痛かったんだね、苦しかったんだね。麻酔は効いたのだろうか。というか、麻酔かかるまで時間かかってないとちゃう?
入口ロビーと反対側のレントゲン室へ入り、戸を閉められ 少し待たされる。
5分ほどだろうか。
そしてエレベーターへ乗せられ二階へ。元いた部屋へ帰りストレッチャーからベッドへ移動・・
ちょっとちょっと。胃に穴をあけたばかりの患者さんなのに、扱いがゾンザイじゃありませんか?
あっちへコロン、こっちへコロン、されるがままになっている母だが、あまりにも扱いがひどいです。(´;ω;`)ウッ…
腹に幅10センチほどのバンドを締めてもらい、血圧を計り体温を計り、20分後 ようやく落ち着けた母の傍へ。
痛かったね。頑張ったね。ごめんね。
でもこれで 長い事 鼻を塞いでいた 喉につかえていた栄養経管がはずれたよ。
やっと、右手が自由になったよ。
少しずつ、いいことができるようになるよ。
髪を撫でつけてあげながら、時折あふれてくる涙を拭いてあげながら、耳元で話す。
頷くときもあれば、いやいやをすることもある。
話しかけても何の反応も答えて来ないときが一番ツラい。”やってきたことに対して怒っているのかなぁ。言葉にできないから無言の反発なのかなぁ” 一人娘は悶々とする。
だが、こうしなければ、次の落ち着き先さえ 探すことはできなかったのだ。
これでよかったと(独りよがりだが)思いたい。
母さん、頑張ってくれてありがとう。
きっと明日からひとつずつ、できることが増えていくよ。