岸田首相がもくろむ異次元の少子化対策。
「隠れ増税」の不公平すぎる中身とは?
2023.6/5(月) 配信 共同通信社 取材・文/日野秀規。
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岸田文雄首相の目玉政策である 「異次元の少子化対策」 がいよいよ動き出した。
そのこと自体は素直に歓迎したい。 ただ、 その財源をのぞいてみると、
富裕層を優遇し、勤労世代や子育て世代から搾り取る、あまりに不公平なものだった。
◆3兆円規模の財源、庶民いじめが始まった。
お粗末すぎるその中身、 絶対許しちゃアカン!
岸田政権の目玉政策「異次元の少子化対策」の財源について、
野党のみならず、財界や党内を巻き込み議論が起こっている。
長年対策が重ねられているが、今回は3兆円規模の大幅拡大となる。
最大の目玉は子育て世帯への経済的支援で、
児童手当の拡充や医療費・教育費・住宅への支援強化に1.5兆円を追加する。
このほか、幼児の教育や保育の拡充に0.8~0.9兆円を支出し、
同時に0.7兆円規模の予算で育児給付を拡大するなど、
子育て世帯の負担を軽減して出生増につなげようとする政策が並ぶ。
財源の是非という論点だけでも、とうてい納得できない要素がある。
2023年5月29日に飛び出したのは、
子育て世代から財源を確保するという案だった。
16~18歳の子供ひとりにつき38万円分得られる扶養控除を
縮小するというもので、世帯年収850万円以上の家庭は、
新たに給付される年間12万円の児童手当をもらったとしても損する。
これではなんのための子育て支援なのかわからない。
扶養控除の縮小で確保できる財源はわずかに過ぎない。
政府が少子化対策のたたき台を公表した3月末から最もアテにしていたのは、社会保険料だ。
サラリーマンが支払っている社会保険料は厚生年金保険料、
健康保険料、 雇用保険料、そして40歳から払う介護保険料の4つ。
それぞれ給与から天引きされており、
労働者と勤務先が折半で負担している。
保険料の引き上げで見込む財源は約1兆円で、
天引きが増えるため実質的な増税だ。
また、社会保険料の引き上げは、
現役世代の負担感が重いという特徴がある。
これだけでもツッコミどころが満載だが、
とはいえ見方によっては労使折半なぶん、
負担は増税に比べて軽いともいえる。
社会保険料を財源の主軸とするのは間違いです。
健康保険なら病気、国民年金は老後の収入というふうに、
保険は対応するリスクがはっきりと決まっています。
そのため、保険料を少子化対策のために用いるというのは、
保険の原理からしてつじつまが合わないのです。
もちろん政府も対策を講じている。社会保険料の追加徴収分を、
少子化対策に充てる基金にいったん繰り入れることでその問題をクリアしようとしている。
2023年5月27日に発表された「こども金庫」がそれである。
少子化対策という一連の政策の財源を、
目的のまったく異なる社会保険料から持ってくるのは、日本では史上初。
基金を間に挟むといっても筋が通らない。
コツコツ支払った社会保険料を好き勝手に使われる、
あしき前例が生まれようとしている。
◆富裕層への課税強化から逃げるな!
社会保険料がダメなら、どこから拠出するのが妥当なのか。
報道によると、少子化対策拡充から2年ほどは「こども特例公債」、
要は国債発行で財源を賄うとされる。
国債で調達するのはどうか。
こちらはもっと問題アリです。
発行した国債を返済するのは誰かというと、
これから生まれる子供たちです。
少子化は現役世代を含めた社会全体の問題ですから、
次世代の人々に負担を押しつけるのはおかしな話です。
社会保険料も国債もダメなら、
残された手段は税金ということになる。
政府が使える財源の代表格が税です。
所得税や金融資産税を少し増税して少子化対策に充てることです。
しかし、政府はそもそもこの議論を排除しており、これは問題です。
民主党の野田佳彦元首が約束した消費増税(5%から10%)で、
景気が悪化したことは事実です。
消費税増税より、金融資産への課税強化を行うべきです。
所得の多い人がより多く負担するような仕組みをつくることです。
具体的には、株式の配当や売却益などの金融所得増税です。
給料や役員報酬にかかる所得税は収入に応じて税率が上がっていくが、
(この累進税率も小泉改革で破壊された)
株式の配当や売却益にかかる所得税率は1万円でも10億円でも一律20%です。
「小泉改革」で、累進税率が破壊されたのです。
「小泉改革」が行った超富裕層への優遇税制を改めるべきです。
ほとんどの人は忘れているかもしれないが、
実は岸田政権は発足当初、金融所得課税の強化を打ち出した。
(忘れてはいない!すべての国民が覚えています)。
ところが財界の猛反発を受けると、すぐに引っ込めてしまった。
岸田首相は金融所得増税から逃げているのです。
最高税率の変遷 (GHQの日本民主化政策)
1974年(昭和49年) 75.0% ・・住民税18% 合計:93%
1984年(昭和59年) 70.0% ・・住民税18% 合計:88%
1987年(昭和62年) 60.0% ・・住民税18% 合計:78%
1989年(平成元年) 50.0% ・・住民税18% 合計:68%
1999年(平成11年) 37.0% ・・住民税18% 合計:55%
2007年(平成19年) 40.0% ・・住民税:10% 合計50%
民主党政権(2009年~2012年)
2015年(平成27年) 45.0% (民主党政権の置き土産)住民税:一律10% 合計55%
1度破壊された税の再分配機能は、
戦争が起きない限り復活しません。(真理)。
終戦後、GHQが行った民主化政策の一つである所得税法も、
「小泉改革」がぶち壊しました。
GHQが行った貴族・華族制度の廃止、財閥解体、農地解放、財産法の創設など
GHQが行ったもろもろの民主化政策をぶち壊し、
富の一極集中政策を行ったのが「小泉改革」です。