青年は荒野を目指さない

 五木寛之が「青年は荒野をめざす」を書いたのが1967年。翌年、フォーククルセイダーズが五木の詩に加藤和彦が曲を付けた同名の曲をリリースしている。あれから50年の時が流れ、当時の青年も今や70歳。その孫が早ければ高校生、まもなく大学生になろうかという時代になるわけだが今どきの青年、50年前に荒野を目指した青年の孫は都会を目指すと云うお話し。

 大学の一極集中の是正のために、東京23区内での大学増設(定員増)を認めるべきではないとする報告書の骨子案を政府の有識者会議が示したとの報道。どうしてこんな施策必要になるのかと云えば、地方の高校生は大都市圏の大学を目指し、首都圏の高校生は23区内の大学を目指す抗しがたい流れがあるからに他ならない。

 中央大学が都心を離れ八王子に広大な新キャンパスを作ったのが1977年。その後、多くの大学が狭小な都心のキャンパスを郊外に移転させたが、40年を経た今、大学の都心回帰がブームになっている。深刻な18歳人口の減少を背景に、各大学が受験者・入学者確保の切り札と考えたのがキャンパスの都心回帰なのである。

 多くの高校生が入学したいと思う大学は、都心・大都市圏にある有名大学である。たとえ有名大学ではあっても都心から遠く離れたキャンパスでは受験生を集めることはできない。遠くの有名大学より、多少格落ちしてでも都心の大学を選ぶのです。その結果として郊外から都心回帰した中位の大学の偏差値が上がってくるから面白い。

 仮に大都市圏以外に新しい大学が出来ても、地方の大学の定員が増えても、地方都市にサテライトキャンパスが出来ても高校生の大都市圏の大学志向は変わらない。文科省がいくら頑張っても無理(国際教養大学程の強烈な個性・特色を持っていれば別だが)。高校生はやっぱり都心・大都市圏の大学を目指すのである。

 人口減少と云う現実が目の前にある今、大都市圏と「地方」との利便性格差が更に大きくなることは必至。大学の問題だけではなく、大都市圏以外に、むしろ「地方にこそ」自己実現可能な豊かな暮らしある、そんな社会が実現されなければ一極集中の流れは変わらないだろう。総合的な利便性を考えたとき都心・大都市圏の優位は揺るがないのだ。


 今日の一枚は、我が母校。新宿から小田急線で35分。東京都なれども「都下」と云われる町田市(ちなみに神奈川県ではない)。しかもキャンパスの一部は横浜市、川崎市麻生区にもまたがると云う微妙な場所。

 「恩田の森Now」 http://blog.goo.ne.jp/ondanomori に、ただいまは5月20日に撮影した写真を6点掲載いたしております。田植時となった森の様子をどうぞご覧ください。

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