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Nikon一眼レフ中級機の系譜(第五回・小さなニコンたち編)

 Nikon一眼レフ中級機はF一桁機に比し概ね小型軽量であるが、それでもニコマートシリーズやFM・FEシリーズ各機は全金属性でもあり、かつ「写真を撮るのは主に男」の時代であったことからそれなりの大きさと重さを有していた。

 「写真を撮るのは主に男」の時代も終わが近づいてきた1970年代後半に至り、女性にも扱い易い小型軽量かつ操作が簡単なカメラのニーズの高まり(と商機)を察知したニコンは小さなニコンの開発を始める。そうして完成しNikon F3と時を同じくし1980年3月に発売されたのが「リトル・ニコン」Nikon EMである(海外では1979年3月発売)。


左からFG+MD-14+シリーズE100mm F2.8、EM+MD-E+シリーズE50mm F1.8(輸出専用で国内では販売されなかった)、FG-20+シリーズE36-72mm F3.5。

 EMは軽量化のために初めてエンジニアリングプラスチックをボディに使用し、ニコン一眼レフカメラの中ではもっとも小型軽量なボディとなった。小型化と同時に操作の簡略化を重視し、撮影モードは絞り優先AEのみ(電池消耗時用として1/90秒の機械式シャッターはある)と割り切っている。軽量なEMに合せて鏡胴にエンジニアリングプラスチックを用いたレンズ、「シリーズE」(機能的にはAi-S相当)も同時に発表された。ボディのみ40,000円。

 外装デザインが、F3と同時にジョルジェット・ジウジアーロに依頼されたことから、EMとの親和性の高い専用モータードライブMD-E、小刻み動作可能な巻き上げレバーの中央に配置されたシャッターボタンなどニコンF3との近似性が感じられるが、愛らしく親しみやすいEMのデザインの方が、むしろF3よりも秀逸だと思うのは私だけではあるまい。発売当初のF3同様ブラックボディのみでシルバーのモデルは存在しない。

 ニコンのマーケティング戦略は成功したようだが、簡素化し過ぎで一部ユーザーからは不満の声もあったようで、絞り優先AEに加えてプログラムオートとマニュアル露出を可能としたNikon FGが1982年に登場する。いかにも愛らしかったEMから単なる「小さな一眼レフ」的スタイルとなったのは残念であったが、F3で好評であったグリップ(脱着可能)が付き操作性は向上した。モータードライブは軽量小型なMD-Eの他に、より本格的なMD-14がFGに合せて登場している。同61,000円(ブラックは4,000円高)。

 FGは小さなボディにプログラムオート搭載した意欲作ではあったが、そのためにEMの40,000円から61,000円へと価格が50%以上アップしてしまう。そこでニコンはEMとFGの中間仕様、つまり絞り優先AEとマニュアル露出が可能なNikon FG-20(同48,000円(ブラックは3,000円高)を1984年に発売する。しかし、その2年後の1986年には本格的なオートフォーカス(AF)機であるNikon F-501が登場し、時代はAFへと大きく動きマニュアルフォーカス(MF)は終焉へと向かうことになる。

注:今日ご覧いただきましたEM、FG、FG-20は中級機と云うよりは入門機ですが、F一桁機以外のMF Nikonの中で忘れてはいけないモデルでることからあえてご紹介いたしました。

【以下、郷秋<Gauche>が最近書いたNikon一眼レフに関する記事】
Nikon一眼レフ中級機の系譜(第一回・Nikomat(2018/06/21)
Nikon一眼レフ中級機の系譜(第二回・FMシリーズ編(2018/06/23)
Nikon一眼レフ中級機の系譜(第三回・FEシリーズ編(2018/06/27)
Nikon一眼レフ中級機の系譜(第四回・FA)(2018/07/01)
Nikon一眼レフ中級機の系譜(第五回・小さなニコンたち編)(2018/07/08)
Nikon一眼レフ中級機の系譜(第六回・FM3A編)(2018/07/13)

 「恩田の森Now」 http://blog.goo.ne.jp/ondanomori に、ただいまは6月26日に撮影した写真を6点掲載いたしております。梅雨明けかと思うほどの猛暑となった森の様子をご覧いただければ幸いです。

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