縦か横か(日本語編)

 昨日、横位置が多い写真にあって縦位置の写真はそれだけでちょっと気を引かれるんだよなぁと思いながら書いていたのですが、そう云えば最近の日本語は横書きばかりで縦書きが少ないことに気がついた。 

 お役所からの通知も横書きである。縦書きは小説と新聞、年賀状くらいのものだろうか。官報は縦書きだが、これは新聞に類するものと考えて良いだろう。封書の私信の宛名書きは、封筒の形からして縦書きにならざるを得ないけれど、そもそもそんな私信は滅多に来ない。

 漢字文化圏は伝統的に縦書きであったはずだが本家の中国も、韓国も今では原則横書きのみとなり日本だけが縦横併用を続けているようだ。もっとも先に書いた通り縦書きのものは限られ、日常目にするものの多くは横書となっている。

 縦に書いても横に書いても大きな支障を来さない日本語は、原則横書きしかできない主として欧州で使われているラテン文字(アルファベット)と比べると実に融通無碍な文字であるが、果たして縦書きと横書き、機能的にはどちらが優れているのか。

 縦書きの場合に、文字が上から下へと引力に従って自然に落ちて来るから、読むともなく見ているだけで「ことば」が頭の中に流れ込んでくる。横書きの文章は意図的に左から右へと文字を追って読まなければならないが、縦書きの小説は文字を追う必要はなく、言葉が、ストーリーが自然に入って来るのだ。

 昨日の「写真編」でも書いた通り人間の目は横に二つ並んでいるので(おそらくほとんど全ての動物がそうであろうと思うが)ものを見るときに上から下へと見るよりも、左から右を(右から左でも良いが)より早くしかも広範囲に見ることができるはずだ。そして、人間の身体的構造を考えてみれば明らかなのだが、上から下へはどんなに頑張ってみても180度しか見ることができないが、横方向には360度見ることが可能なのだ。

 縦方向には最大180度と書いたが、紙に書かれた文字を見るのに180度は必要なく必要な視野はせいぜい90度。横方向に広範囲を見るためには眼球あるいは首をさ、さらには身体全体を意図的に動かさなければならないけれど、縦方向90度は万有引力の法則に従えば意図することなく上から下まで一瞬にして見ることができる。

 横書きはアラビア数字やヨーロッパ言語との親和性が高いが故に近年その勢力を大幅に拡大しているが、縦書きの場合にはこれらとの併用には難がある。縦書きを維持している新聞はこの点で苦戦している訳で、今後横書き化される可能性もあるかも知れない。小説はと云えば、多くの場合その点でのハンディがないのでこれからも縦書きが主流として残っていくのかも知れないな。

 と云う訳で今日の一枚は、縦書きの写真。元へ、縦位置の写真。上から下へすとんと、見るともなしにその情景が心の中に入って来る。

 横浜の住宅地に残された里山の四季の移ろいを毎週撮影し掲載しているblog「恩田の森Now」。ただいまは6月27日に撮影した写真を7点掲載いたしております。初夏の森の様子をご覧いただけたら嬉しいです。
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