(ニセ)アカシアの花


 詩歌にも度々登場する「アカシアの花」ですが、その標準和名は針槐(はりえんじゅ。マメ科ハリエンジュ属)で、通称「ニセアカシア」。北米原産で日本には1873年に渡来し、その後は街路樹や公園樹、砂防・土留めなどの用途で盛んに植栽され、今では貴重な蜜源植物となっておりますが、その名前は度々間違われ単に「アカシア」と呼ばれることが常態化しているようです。

 古くは100年前、北原白秋作詞(1925年)・山田耕筰作曲(1926年) の「この道」、
    この道はいつか来た道
    ああ そうだよ
    あかしやの花が咲いてる

 西田佐知子の「アカシアの雨がやむとき」に歌われる「アカシア」
 石原裕次郎の「赤いハンカチ」「恋の町札幌」に歌われる「アカシアの花」
 松任谷由実の「大連慕情」に歌われる「アカシヤのかおり」、「acacia[アカシア]」
 レミオロメンの「アカシア」も、

 「アカシア」はいずれも誤りで、正しくは「ニセアカシア」なのです(この部分wikipediaより)。

 ところで、ミツバチは(ニセ)アカシア以外にも近くに美味しそうな他の花があればその花の蜜も一緒に集めて来るのではないかと思うのですが、なぜこのハチミツが(ニセ)アカシアの蜜である断言できるのか、不思議に思ったことはありませんか?

 実は、瓶詰めされる前のハチミツを水で希釈したものをプレパラートにして、顕微鏡でその中に入っている花粉(蜜と一緒にその花の花粉が入っている。そしてその花粉は花の種類によって形が異なる)の数を数えるのだそうです。100個中95個以上が(ニセ)アカシアの花粉であればそれはアカシア蜜、95個以上がレンゲの花粉ならそれはレンゲ蜜として良いと決まっているのだそうです。

 100個中95個以上特定の花粉が含まれていない場合はと云うと、それが百花蜜と呼ばれ販売されているハチミツなのです。ちなみに日本では、ウイスキーで云えば「シングルモルト」のような単一花のハチミツが好まれているようですが、ヨーロッパでは様々な花の蜜が入った百花蜜の方が好まれるのだそうです。画一性と多様性、日本と欧州、日本人と欧州の人たちの歴史と文化、民族性の違いがこんなところにも現れているのかも知れませんね。

 横浜の住宅地の中に残された小さな里山の四季の移ろいを毎週撮影しているblog「恩田の森Now」に、ただいまは4月29日に撮影した写真を6点掲載しております。花盛りとなった森の様子をご覧いただけたら嬉しいです。
https://blog.goo.ne.jp/ondanomori/e/7a847abebbff8750f3e79028531b5a3f

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