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私のガルパン戦車キット制作の十三作目は、黒森峰女学園チームのヤークトパンターに決めました。数ある第二次大戦中の各国の戦車のなかで、一番に好きなのはパンターG型、二番はラングV70、三番はヤークトパンターです。既にパンターG型は完成させていますので、次はラングにしようかと考えましたが、模型サークルの知人A氏の勧めによって、ヤークトパンターの方を先に作ることにしました。
A氏によれば、ヤークトパンターは戦車プラモデルの中でも人気があり、ガルパンに登場したことによって更に知名度が上がり、店舗でも通販でも品切れ状態が続いているそうです。でも、その割にはネット上でも良質の制作レポートがあまり見られず、検索しても完成品の写真ばかりが出てくるため、制作の過程やポイントなどを知りたくても出来ない、ということです。
また、戦車に詳しいI氏によれば、ガルパンのヤークトパンターは、車体の上半分の寸法が実車よりも若干大きめになっている、ということでした。そして劇中車は、ドラゴンのキットのG1型とG2型を組み合わせて元ネタにしているようだ、との指摘がありました。
劇中車がドラゴンのキットを元に設定されていることは、公式設定図像やOVMの装備状況などを見れば一目瞭然なので、私もはじめはこれをドラゴンのキットで作ることを考えていました。が、G1型とG2型の二つのキットが必要となるうえ、商品は店舗でも通販でも品切れ状態が続いていました。
そこで、安価で入手可能なタミヤのキットにてチャレンジすることにして、上図の製品を購入しておいたのでした。
その後、A氏と電話で話した折、次のように言われました。
「ガルパンのヤークトパンターって、公式キットがまだ出て無いんだよな?」
「ええ、現時点では出ていません。この夏からの登場全戦車キット化プロジェクトで、いずれは出ることになると思うんですけどね・・・」
「その場合は、キットはどこが供給すると思う?」
「タミヤの可能性が高いと思うんですけど、でもガルパンのはドラゴンの方に倣っているみたいなんで、プラッツがドラゴンのG1型とG2型のパーツ組み合わせで出す、ってのも予想されますね」
「僕は、やっぱしタミヤやろうと思う。ガルパンの登場戦車をみんな公式キットで出すって企画にタミヤが参加しとるのであれば、タミヤのキットで作れる車輛に関しては原則としてタミヤの製品で、ってのが契約条件の一つになってると考えられるからねえ」
「それは否定出来ませんね」
「て言うか、その、もともとタミヤはガルパンブームの始まりの頃に提携を持ちかけられてるけど、それは断っているんだよな。それが今頃になってプロジェクトに参加して公式キットに関与する、ってのが僕にはよく分からん。もう7月も半ばになるのに、ちっとも情報が上がって来ない。本気で参加してるんか、って疑問に思えるくらいや。むしろ、タミヤはどっちかというと引っ張り出された側であってさ、バンダイやプラッツが色々条件をつけて拝み倒してなんとか参加してもらった、ていうのが実情に近いんとちやうやろか・・・」
「それは有り得ますね。発表されてる限りではM3リー、KV-2、M4シャーマン、チャーチルの4車種がリリース予定なんですが、全部がタミヤからの供給らしいですよ」
「やろ?せやから、黒森峰のドイツ戦車なんか全部タミヤでキットが出てるんやから、プラッツがまだ公式キットで出してない分はタミヤが出す可能性が高い。ヤークトパンターもそうなるかもしれんけど、他にもパンターやエレファントやラングがあるし、これみんなタミヤが供給出来るはずなんで、わざわざドラゴンのキットでやるとは思えんな」
そういえば、黒森峰女学園の戦車は、既にティーガーⅠ、ティーガーⅡ、ヤークトティーガー、Ⅲ号戦車J型、マウスの5車種がプラッツよりドラゴン系製品の箱替えで公式キット化されています。そのうえで、残る4種の車輛も同じようにドラゴン系製品の箱替えで公式キット化、というのであれば、わざわざタミヤが参画する意味が無くなります。
だから、まだ公式キット化されていないパンター、ラング、ヤークトパンター、エレファントについてはタミヤキットの供給になるだろう、というA氏の見解には頷けました。したがって、今回の制作対象となるヤークトパンターをタミヤの製品で作っておくことで、公式キットがタミヤ製品にて実現した場合の制作ポイントやキットの特徴がだいたいおさえられるだろう、と考えました。
ですが、前述したように、劇中車はドラゴンキットの特徴を示しています。本当はドラゴンのキットで作りたかったのですが、商品を入手出来ませんでした。そこで、タミヤの製品で作ることにしましたが、タミヤキットの作り易さ、扱い易さが逆にネックとなるのでした。
タミヤキットのヤークトパンターは、劇中車に近いドラゴンキットと比べると相違点が目立ちます。形状やOVMの装備状況はG1後期型のタイプを再現しており、劇中車の特徴の一つであるG2型タイプの背面パネルの状態は全く表現されていません。
したがって、ガルパン仕様に作るとなれば、改造や修正箇所も多くなります。事前にノートにまとめたところによれば、黒森峰女学園チームの車輛のなかでは、タミヤキットのヤークトパンターが最も改造や修正箇所も多いのでした。当然ながら、その制作過程には色々と追加作業があって、大変だろうな、と感じていました。
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パッケージの中身です。タミヤスタンダードと言いますか、作り易く扱い易いようにパーツ数もおさえられています。ですが、作り易く扱い易いというのは、細部のパーツや形状などがある程度省略されたりしている状況にも繋がる場合があります。
事実、今回のキットにおける劇中車との相違点は、ドラゴンキットでは大半が再現されていますので、その分タミヤキットの方で追加工作が色々と必要になるわけです。
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車体パーツです。その形状や寸法は、タミヤもドラゴンもほぼ一緒なので、実車のそれを忠実に反映させていることがうかがえます。劇中車は、I氏の指摘の通り、車体上半分の寸法が実車よりも若干大きめになっています。見た感じでは前面の傾斜装甲の角度が僅かに大きく、それに伴って車高も増加しています。その結果、後部ハッチの形状がキットのパーツよりも細長くなっています。
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さらに、車体の各所にみられる溶接の合わせ目の形状が、劇中車とキットでは異なります。上図のワンシーンにて、劇中車の合わせ目の状態を御覧下さい。
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キットの車体パーツの前部では、御覧のような合わせ目の状態です。違いは一目瞭然ですので、ガルパン仕様を目指すのであれば、この相違点を看過するわけにはいきません。
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キットの車体パーツの後部でも、合わせ目の状態が劇中車と異なります。キットの方は実車の状況を忠実に再現しているようで、ドラゴンキットでも合わせ目の状態はタミヤのとほぼ同一です。劇中車だけが、合わせ目の形をわざわざ変えてあるのだと解釈出来ます。
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そこで今回は、合わせ目の状態を劇中車のそれに修正する作業から始めました。車体前部の合わせ目は、劇中車ではほぼ等間隔に組み合わさりますので、寸法がほぼ近い下の線はそのまま生かし、上の線を鉛筆で新たに描き起こしました。
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元の合わせ目の線の不要部分のモールドをパテで埋め、鉛筆で描き起こした線をラインチゼルでケガいて新たな合わせ目を作りました。
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車体後部の合わせ目は、劇中車では中央部分が広くなっていますので、それに合わせて修正しました。
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一日置いてパテを乾燥させたのち、ヤスリやサンドペーパーでヤスって整形し、合わせ目の線をラインチゼルでなぞって整えました。上図は車体前部の修正後の合わせ目です。
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車体後部の修正後の合わせ目です。しょっぱなからガルパン仕様への修正が必要なので大変ですが、今回のキットに限らず、黒森峰女学園チームの車輛の多くは溶接の合わせ目の形状が、劇中車とキットとで異なることが多いので、同じような作業はティーガーⅡ、ラング、エレファントでも必要になります。
また、実車には見られる溶接痕が劇中車では省略されているケースもあります。ティーガーⅠ、パンターG型、ヤークトティーガーなどで溶接痕を消す作業をやっていますが、今回のヤークトパンターでも車体側面後端の溶接痕を消す必要があります。
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合わせ目の修正に続いて、車体側面後端の溶接痕を消す作業をやりました。組み立ての前にここまでやっておかないと、劇中車を再現出来ないのですから、今回は色々と手間がかかるなあ、と改めて思いました。この一連の作業は、ドラゴンのキットで制作する場合でも共通となります。 (続く)