梅原屋のガルパンプラモデル新作の3件目は、上図のマークⅣ戦車でした。大洗女子学園サメさんチームの搭乗車輌です。
使用キットは、モンモデルのマークⅤ MAILだそうです。なぜかというと、最終章第1話にて秋山優花里がサメさんチームの搭乗車輌に関して二人での操縦形式(マークⅤの特徴のひとつ)に改造してある旨を述べており、またコメンタリーでも「実質的にマークⅤ」と言及されるからです。
それでNさんは、劇中車の駆動系はマークⅤタイプに換装してあると解釈し、上述のキット選択に至りました。マークⅣとの外観上の相違は天面部分に集中するため、そのパーツだけを交換すれば、劇中車の外観をほぼ再現出来るわけです。そこでマークⅣの天面パーツつまりD部品を、タミヤカスタマーより取り寄せています。
車長のお銀を始めとする、サメさんチームの5人のフィギュアも内外に添えられており、ガルパン戦車の雰囲気を高めて楽しませてくれます。
御覧のように、天面を除いての外観は、マークⅣとほぼ同じです。ですがマークⅣのインテリアキットが存在しないため、今回のキットの選択となったわけです。他にエデュアルドのエッチングパーツやロシア製のレジンパーツの機関銃セットも取り寄せての、こだわりのフルインテリア作品の製作でした。
操縦室天板を外してありますので、フリントとラムの二人が操縦している姿が見られます。アニメではあまり感じられていませんが、実際の操縦室はこのように狭いです。
この作品では、車輌の左側面を外観仕上げ、右側面をこのように内観仕上げとしてあります。こちらから見ますと、車輌の内部が全て見えるようになっています。
サイドスポンソンの後扉からムラカミが身を乗り出してウサギさんチームに怒鳴る、あのシーンが再現されています。大柄なムラカミにとっては、この戦車の内部空間はやや窮屈であることがよく分かります。
駆動部の上に位置する砲弾の収容筒も、ブラ棒をカットして丁寧に再現されています。
このスポンソン部分は内観表示のために側面板および天面板を外してあるため、そのままではグラグラ状態となります。それで上端に真鍮線を張って強度を確保していますが、こういう追加工作をやらないとこうした内観表示のインテリアキットが成立しません。
側面区画内の機銃弾薬箱も砲弾筒と同じようにブラ材での追加工作で再現されています。ですが、Nさんによれば、もっと多数があって内部空間の余剰が無い程に詰め込まれていたそうです。
天面部分を外しました。
御覧のように、操縦席からエンジン、後壁まで続く弾薬庫および左右の砲架部が一つの空間に繋がっていることが伺えます。後ろの弾薬庫内にカトラスが居ます。
左右のガンルームは、実車では車体にスライド収納が出来るとのことですが、この作品でそこまで再現されているかは分かりませんでした。
エンジンが車体の中央にあります。実際にはエンジンは四方を保護板および遮熱板で囲まれており、キットのパーツでもそうなっているのですが、それだとエンジンが見えなくなりますので、支障の無い部分をギリギリまでくり抜いて、上図の状態に仕上げてあります。
カトラスが居る弾薬庫は、劇中ではお銀が陣取っています。機関部を見せるために床板の一部を省略してありますが、この省かれた部分の上あたりにお銀の車長席が位置しているはずです。
今回の製作にあたっては、大日本絵画のオーナーズマニュアルも参照して、マークⅣとⅤとでは給排気系機構が逆になっている等の点もふまえたうえで、メカ的な辻褄を合わせる工作を各所に施しています。なので、元キットのインテリアパーツ配置をそのまま踏襲しているわけではなく、随所にオリジナルの組み付け部分が見られます。
Nさんによれば、エンジン細部の追加工作やディティールアップはあまり必要なかったそうです。というのは、このモンモデルの製品のパーツが細部まで精密に再現された高精度のものであるからです。しかし、小物入れや弾薬箱などは何故か省略されているとかで、そのあたりで色々手を加えたそうです。
なお、エンジンの上に、劇中と同じく燻製肉がぶら下げてあります。こういう細かいネタもきちんとフォローするのが、世界のNさんの造形哲学なのです。
背面部分です。牽引用ワイヤーはキットに無いので、他キットより転用して真鍮パイプで形状を合わせています。
塗装色は、内部は一般的なホワイトでまとめ、外観は劇中車のアニメカラーの彩度が場面によって微妙に変化する点をふまえて、基本色を暗、中、明の3カラーに配分して調整し、場所に応じて丁寧に塗り分けています。
デカールはモデルカステンのセットから使用し、あらかじめデカール範囲のリベットを削って、デカールの貼りつきが綺麗になるようにしています。
以上、梅原屋展示のガルパン戦車プラモデル新作品3点の概要でした。 (続く)