2日前、私は、テレビ中継で民主党大会最終日のカマラ・ハリスの大統領候補受託演説(Acceptance Speech)を聞いた。会場は非常に盛り上がっていたが、彼女のスピーチに何か引っかかるものがあった。
なんだろう。
翌日、ネット上にスピーチ原稿をみつけ、YouTubeの中継録画のスピーチを原稿を見ながら聞き直した。彼女は自信に満ちて話している。自分の苦難に満ちた生い立ちから話している。彼女は人権擁護の運動の中で育ったと言っている。アメリカの国民が豊かな生活をおくれるようにしたいと言っている。一見よくできている構成のようだった。
しかし、つぎのフレーズにぶつかると、彼女は昔の民主党の主張と何も変わっていない、という思いになる。
Because we know a strong middle class has always been critical to America’s success.
(なぜなら、強力な中産階級がアメリカの成功には常に不可欠であったことを私たちは知っているからです)
さらに彼女は私にはわからないことを言っている。
That’s why we will create what I call an opportunity economy. An opportunity economy where everyone has a chance to compete and a chance to succeed.
“opportunity economy”は“economic opportunity”とは違うようだ。「誰もが競争するチャンスと成功するチャンスを持つ」opportunity economyなのだ。
これでは、自分の生い立ちの話は、自分が成功者と自慢していることになる。弱者の味方になると言ってることにならない。世の中にはいろんな事情で努力できない人たちもいるのだ。
中間層を増やすではなく、貧困で苦しんでいる人々をなくすでしょう。競争と中間層増加をセットでは、経済格差の肯定になってしまう。
ガザでのイスラエルの暴力に対しても、プーチンのウクライナの侵略に対しても、ハリスは、どうしたいのか、わからない。誤魔化しているように見える。
現在、イスラエルは、昨年の10月のハマス襲撃に復讐しているのではない。ハマス襲撃でのイスラエル死者は約千人である。現在、イスラエル軍によるガザでの死者は4万人以上である。この不均衡は、ナチスがかって占領地域でやったドイツ人襲撃の復讐を思い起こさせる。これはイスラエルのネタニヤフ政権がハマス全員を殺すためにはガザの住人がいくら犠牲になってもかまわないと考えているからだ。
ウクラナイ侵攻でも、ハリスはロシアの侵攻の5日前にウクライナのゼレンスキー大統領に警告したと受託演説で自慢している。逆だろう。プーチンに警告して思いとどまらせるべきだろう。アメリカ人をウクライナから撤収させるべきでなかった。そうすれば侵攻を防ぎたと私は考える。
こんなことで、ハリスはトランプに勝てるのだろうか。ハリスは左派と思われることを避けるために、右派路線を意識的に主張している。これでは、真面目な若者は、ハリスについていくことに抵抗感をもつだろう。
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