猫じじいのブログ

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ジョー・バイデンはトランプ大統領のことを「恥ずかしい」と言ったのか

2020-11-11 22:19:26 | 国際政治
 
きょう昼に、仕事にでかけるとき、テレビで、アナウンサーが「トランプが負けを認めないのは恥ずかしいことだと批判した」と言っていた。私が気になったのは、そのときの引用された音声つき映像では、“It’s embarrassment”とジョー・バイデンが言っていたことだ。
 
“embarrassment”と「恥ずかしい」とは、意味が違うのではないか。 “embarrassment”は「困ったことだ」という意味で、確かに「批判」とも言えるが、「懸念」といった方が良い。トランプ大統領に投票した人たちに配慮した表現である。
 
夜、帰ってきてから調べると、BBCのサイトでは、つぎのようになっている。
 
The president-elect was asked by a reporter on Tuesday what he thought of President Trump's refusal to acknowledge defeat.
"I just think it's an embarrassment, quite frankly.”
"The only thing that, how can I say this tactfully, I think it will not help the president's legacy."
"At the end of the day, you know, it's all going to come to fruition on January 20." 
 
ジョー・バイデンが上のように呟いている動画(映像と音声)が、BBCのサイトに貼り付けられていた。出かけるとき私が聞いたのは、最初のセンテンス(文)である。
 
朝日新聞夕刊でも、「困ったこと」ではなく、「恥ずかしいこと」となっている。
 
“embarrassment”が、いつから、「恥ずかしいこと」になったのだろう。ジョー・バイデンは、私より5歳上だから、私と同じ語感で使っていると思う。「理解できない言動で対処に困っている」ことが“embarrass”である。誰かが「恥ずかしい」という変な訳を日本メディアに配ったのではないか。
 
ところで、この語には、私は特別な思い出がある。
 
何年か前に、第2次世界大戦で日本軍が無謀なインパール作戦を計画実施し、3万人の兵士を無駄死にさせた、というドキュメンタリーをETVで放映した。インパール作戦を指揮した牟田口廉也中将は、戦後、イギリスの元軍人がこの作戦を”embarrassed” と書いているのを見つけて、イギリス軍を「困らせた」と自分で自分をほめていたという。
 
”embarrassed” は理解しがたい行為に出くわしたときに使う言葉である。ところが、たまたま、彼が読んだ辞書に「困らす」としか書いてなかったのであろう。単語はニュアンスを覚えないと大失敗をする。
 
「恥ずかしい」とは、行為の主体を直接的に責めている。“embarrass”は、その行為を受けた側の気持ちに重点がある。従って、「批判」より「懸念」である。
 
なお、最後の"At the end of ……”は、「結局、1月20日には、何とかうまくいくさ」という程度の砕けた表現である。


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