猫じじいのブログ

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だらしない岸田文雄、安倍晋三の死を活かしきれていない

2022-11-08 23:08:04 | 政治時評

一週間前の月曜日の夕刊に、元首相の大平正芳を讃え、岸田文雄を叱る佐藤武嗣の記事『時代を先取りした「総合安保」 宏池会の先達の広い視野』がのった。

確かに岸田文雄はだらしない。岸田は9月に「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」を立ち上げたが、「生前の安倍晋三元首相らに配慮して自ら議論を主導もせず、年末までの新戦略策定が迫るなかで、有識者会議をにわか作りしても、熟議は望めない」と佐藤は指摘する。

岸田は大平の作った宏池会の後継者にあたる。安倍は福田赳夫の作った清和会の後継者にあたる。大平は国力の柱を経済力に据え、福田は国力を軍事力に据えた。大平はアメリカ頼りの日本経済から脱却するため、東アジア、東南アジアとの関係改善を図った。福田は日本の再軍備のために、戦後レジームの脱却、憲法改正、愛国教育を追い求めた。大平と福田は自民党内の主導権を争って、大平が死ぬまで手を携えることがなかった。総裁選での争い、四十日抗争などが語り継がれている。

岸田は、こともあろうに、安倍政権の外相になり、自分に政権が禅譲されることを待った。岸田には、大平と福田の抗争がわかっていない。

今年の2月24日に始まったロシア軍のウクライナ侵攻で、「核による抑止力」はまったく意味を持たないことが明らかになった。アルマゲドン(最終戦争)を避けるというだけで、戦争そのものは日常的に行われている。

日本が「抑止力をもつ」ということの意味も検討されていない。自民党は抑止力というが、仮想敵国はどこで、どれだけの戦力が必要なのか、それにいくらかかかるのかが、議論されていない。

北朝鮮は、アメリカを仮想敵国としているが、アメリカに核爆弾を打ち込むような技術をもっていない。また、アメリカは国土が広いから、将来、技術を確立できたとしても、アメリカ全体に攻撃をかけれるほどの核爆弾とミサイルを製造できるほどの経済力をもちあわせていない。北朝鮮は先制攻撃を仕掛けれない。起こりうることは、窮鼠猫を噛む、ぐらいである。

中国は日本の3倍のGDP(国民総生産力)をもつ経済大国である。人口は日本の10倍はあるから、いずれ、アメリカのGDPを抜き、日本のGDPの10倍をもつだろう。中国に負けない軍事力を日本がもつことは、どだい無理である。

日本の経済力は世界ではたかがしれている。国と国との紛争を軍事力で解決しようとすれば、無理である。とすれば、わざわざ、軍事力で物事を決めようという意思表示は、外に向かってするのは愚の骨頂である。正義というものが軍事力に負けることを知っていても、日本は、相手を正義は何かという議論に持ち込むしかないのである。それに、日本は勝たなくても、負けなければ、それでいいのである。

国力に経済力があるのと同じく、メッセージ力、ブランド力があるのだ。現実の国は、支配者層と被支配者層とからできている。相手の被支配者層に、相手を武力で支配しない、平和を愛している、というメッセージを伝えることだ。また、国内では、民主主義が行き届いており、みんな平等で、幸せに暮らしているというイメージを持たれることがだいじである。

外交においては、相手の立場を理解して寛容でなければ、大国とやっていけない。

中国だって今以上に豊かになりたい。ヨーロッパと陸路で結ばれたいというのは、無理のない要求である。中国の一路一帯というスローガンを私たちは非難できない。

また、中国が太平洋に出てくるのも、ある程度、認めないといけない。アメリカ軍は、台湾・韓国・日本の軍事基地で、中国を取り囲んでいる。それに対し、中国はアメリカを取り囲む軍事基地をもっていない。明らかに不平等である。

日本のメディアは、安倍派に取り込まれており、今年なって、防衛省の防衛研究所所員、元自衛隊幹部がでてきて、危機を煽っているが、その危機への対応は軍事力一点張りである。せっかく、安倍晋三が殺害されたのだから、「戦後レジームの脱却」の妄想から抜け出ないといけない。岸田文雄はしっかりしろ。



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