(The Remains of the Day)
残念なことに、NPOの仕事があって、昨夜のウクライナ大統領ゼレンスキーの国会演説をリアルタイムでライブで同時刻に聴くことができなかった。家族に聞くとあまり評判がよくなかった。言語の壁が高かったようだ。同時通訳はとても難しい。在日ウクライナ人が通訳したらしいが、自国語を聞いて理解できても、それを同時刻にそのまま外国語に翻訳することは難しい。ふつう通訳者は、事前に話の要旨を聞いていて、同時通訳するのだが。軍事侵攻中の今回はそれもできない。
それでも、深夜のBS日テレの右松健太、飯塚恵子の解説を聞くと、ゼレンスキー大統領のスピーチがとても高く評価されていた。これから、時間をかけて、ゼレンスキーの呼びかけが日本人に行き渡るであろう。そう願いたい。
きょうブリュッセルで行われたNATO首脳会議にも期待をかけている。秘密会議なのでどこまで話されたのか、どこまで合意されたかはわからない。また、バイデン大統領のポーランド訪問にも期待している。
アメリカ政治の研究者、中山俊宏によると、アメリカの民主党の半分はウクライナ侵攻への軍事介入に賛成だが、共和党、アメリカ国民の大半はウクライナに同情するが、介入に慎重な模様である。
ナチスドイツは、第2次世界大戦がはじまる前に、オーストラリアを併合、ポーランドをロシアと分割、チェコスロバキアを占領した。これに対し、他のヨーロッパ諸国は同情すれど、世界大戦に発展させたくなかった。行動をためらった。
奇しくも、きのうの夜、1993年のイギリス映画『日の名残り』をテレビで放映していた。これは、カズオ・イシグロの小説の映画化である。私の妻が中公文庫の翻訳をもっていたが、読むと、映画はうまく内容を絞って134分に納めている。まさに、現在起きていることである。
大戦前夜、世界平和のためにドイツとの友好を維持しようとする貴族に仕える執事ミスター・スティーヴンスの物語である。
彼は、主人に忠誠であろうとして、主人がナチスに利用されいる現実を見ようとしなかった。そして、女執事のミス・ケントンからの婉曲な告白を、本当は好きなくせに、執事の仕事を理由に、答えず逃げたのだ。
スティーヴンスは、大戦後、新しい主人からもらった休暇でミス・ケントンに会いに行き、彼女の気持ちを確認しようとする。その旅の途中、自分が侵略・ユダヤ人排斥・民主主義破壊に傍観者であったことを、彼女を傷つけたことを、心から理解する。しかし、取り返しつかないことをそのまま受け入れ、残りの人生(the remains of the day)を送るために、執事の仕事に戻るという物語である。
今回、私もあなたも傍観者になるのだろうか。少なくも、経済封鎖の反撃で、ガソリンの値段が上がった、カニや鮭の値段が上がったなどという不満は私は言いたくない。
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